狂気の夏 作者: さかむ 掲載日:2019/04/14 和くんは目が全然笑ってないよ。 彼の友人は彼と会う度そう言う。 彼はというと、そう言われることにすっかり慣れてしまっていた。 それもそのはず、去年の夏、こんがりと日に焼けていた彼の顔は、逞しい腕は、胸は、背中は、よく地面を蹴り進む脚は、夏を終え、秋を過ぎて冬を越え、そして春を迎え、次の夏を待っているところだ。 友人の言うことは最もだ。 彼は笑ってなどいない。 今なおこの瞬間も、夏を待つ間の時間潰しに過ぎないのだ。