第2話 俺の家。
..さて、4か月経った頃。
もちろん今は目も見えてるし、声もわかる。
初めの頃にしたら大分落ち着いた。
そりゃそうだ、
意識はあるが何も出来ないんだぜ。
ずっと暖かい布団に寝てるだけなんだが
マジ地獄。まあ察してくれ。
初めてお母さんを見た時には
びっくりしたぜ。
いきなり変顔だもんな。
バァーいうて舌をだしてた。
笑っちまったよ俺。
しかも何回も何回も!
まじ爆笑。
俺、28歳やで。
まぁでもなんだ、精一杯赤ちゃんやってるよ。
なんも出来ない身体だからな。
腹なんかマジ極限まで減らないと涙がでねぇ。
ってか泣かないと気付いてくれねぇしな。
もう生きるの必死だぜ?
でも感謝はしてる。
両親もマジで本気で愛してくれる。
それだけはなんかわかる。
こんなに何にも出来ない俺に。
事ある度、一喜一憂してくれる。
なんか、前は中々気付けなかったけど、
家族っていいよなー。って思ってる。
やから俺は俺のやり方で
精一杯赤ちゃんするよ。
さあ、今だ。変えてくれ、オムツ。
...それから30分後、
涙が出てきた俺は声もだす。本気だ。
慌てて飛び起きてきてくれた。
お父さん。
ちょ、、今回は失敗だったな。
そう、痛ぇーんだよ親父。
まじガサツだから。
今回はゆっくりでお願いします。
『さあーもう大丈夫だ!ヨッと。』
お、持ち上げられた。
これがいつもの楽しみなんだよなー。
家徘徊。
ちなみに徘徊というても
二部屋くらいなんだけど。
ってか転生なら、
貴族ー♪とか騎士ー♪とかそっち系にしろよ。
まじ普通の木造一階建てだ。
窓から見える景色は山の中って感じ。
たまに人も歩いてる所を見ると、
村?って感じかな?
そんなに大きくはない、って思ってる。
『エレンは本当に可愛いなあー』
『そうよね、口元とかあなたにそっくり。』
両親が俺について話してる。
言葉は何故かわかるんだ。
神様ありがとー。
多分今発見している中で
唯一の転生らしい出来事だ。
普通に日本語に聞こえる。
『じゃあ、仕事行ってくるよっ』
親父は俺の頭を撫でて、俺を優しく置いた。
玄関を開けて出ていく。
そうか、仕事に行ったのか。
がんばってな。
あ、俺の名前はエレンな!
宜しくっ!
ちなみに
母さんは一際綺麗な女性、ではない。
細身で優しい雰囲気を持ってる。
ちなみにいつもフワフワしている。
そんな母さんだ。
フレアって名前だって。
親父は少し男前。
だけど、職人気質な所がちらほら。
そう、ガンコっぽい。
優しいけどな。無精髭が良く似合うよ。
あ、ちなみに職人さん。
ガイって呼ばれてたなー。
さてまたまた寝転んしまった俺は、
ひたすらに何もできない。
さあ、いまだ。
駄々をこねてみよう。
ここ4か月で培った能力。
本気で泣く。
こうする事により、半強制的に抱えられるのを俺を知ってる。
だってヒマだもん♪
『あら、大丈夫かしら?ヨシヨシー。』
作戦成功。俺はにやけた。
『フフッ。もう機嫌が治ったの?かわいいねぇー。
...。火をつけっぱなしにしていたわ...。』
そぉいって俺を抱えたまま台所に行った。
そおいえば、台所で火をつけたり消したりする所は初めてみるな。
いつも親父は近づかないし。
ん?なんか火の中心に5つの石が綺麗に円を描き並べてあるぞ。
水色の石3つ投げ込んだ。
...火が消えた。
俺は驚いた。母は普通だ。
そうか、これが日常か。
よし...なんじゃそりゃぁぁぁぁ‼
俺はそれを見ながら考えてみる。
石はよく見れば色が薄くついている。
赤色の石が3つ。
白色の石が1つ。
灰色の石が1つ。
そして水色の石を投げ込めば、ゆっくりと火が消えた。
うん。不思議石だ。
しかし俺は考える。目をつぶる。おんぶされる。
そして移動した。俺はまた寝かされる。
母の子守歌発動。
良い声だ...この声ならずっと聴いてれる。
......。
『ふぅー寝たー。さてと掃除掃除!』
しばらく経つと、俺は目が覚めた。
部屋は静かだ。
だけど、知らないおっさんがいる。
誰だよお前。
母は封筒を渡している。
『今月分まだまだ足りねぇ。あと18000...。
はあ、いつもいつも。。もう物でいーわ。これ貰ってくぜ。』
おっさんは台所に向かい、先ほどの石を全て持っていった。
母さんは下を向き、唇を噛みしめている。
しかし、何も言えないみたいだ。座り込んだ。
おっさんは少しにやけた。
『来月も頼むわ。』
ドアを開けて出ていった。