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三國ノ華 ◇ 偽リノ陽ノ物語  作者: 言詠 紅華
─ 間章[承]─
37/81

櫻桃ノ籠ハ鳥ヲ隠ス (1/1)



 回廊に響くは靴の音。



「……短命(タンメイ ナル) 咲儚(サクラノ) (ハナ)



 紡がれるは妖艶な(うた)



  短命(タンメイ ナル) 咲儚(サクラ ノ) (ハナ)

  解放(カイホウ スルハ) (ネムリシ) 籠鳥(ロウチョウ)

  (ソレ) (スナハチ) 終焉(シュウエン ノ) (トリ ナリテ)

  不在(アラズ ノ) (トキ ガ) 告終(オハリ ヲ ツグ)



 靴音は、一つの扉の前で止まる。

 扉の前に居た二人の衛兵が拱手(きょうしゅ)し、ゆっくりと扉を開けた。

 開けばそこは、豪華絢爛な一室。

 中央にあるは玉座なるもの。

 その通り道には、左右に一人ずつ、片足をつき、拱手(きょうしゅ)の姿勢を取るようにして男女が(はべ)る。

 その間を、彼は詩を紡ぎながら通ってゆく。




  (エン ナル) (トリ ハ) 出自籠(カゴ ヨリ イデテ)

  其籠(ソノ カゴ) (ヤクメ ヲ) 役目(オヘル ナリ)────




枯木(こぼく)の如く朽ちる籠、か」



 詩の最後に、ぽつりと呟いた。

 彼は玉座に腰を下ろし、侍っていた二人を見下ろす。


「桜は無事か?」

「はっ、先程目覚めたとの(しら)せが御座いました。そのうちお会い出来るかと」


 滑らかな、それでいて威厳のある声での問いかけに、拱手をしながら男性が答える。

 同時に、女性も口を開いた。


「既に手筈は整っております。いつでもお申し付け下さいませ」

「そうか」


 二人の言葉を聞いて満足したのか、彼は(わら)った。




「では命ず。子桓(しかん)、そして神流(かんな)よ。

 桜の鬼を──この(そう)孟徳(もうとく)のもとへ連れて来い」


「「はっ!」」




 玉兎(つき)明かりに照らされるは、(ぎょう)の都。

 〝最初(はじまり)の鬼〟が動き出す。



───────────────



 最初(ハジマリ)( ノ )(オニ)

 (カレガ) 為 紡(ツムギタルハ)終焉(シュウエン)( ノ )(ウタ) 焉。

 為 解明(ロッカノナゾヲ) 六華之謎(トキアカスタメノ)要 物語(ヨウタル モノガタリ) (ナリ)


最初(はじまり)の鬼。

 彼が紡ぐは終焉の(うた)

 六華の謎を解き明かす、要となりし物語。】

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