↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三國ノ華 ◇ 偽リノ陽ノ物語  作者: 言詠 紅華
─ 間章[起]─
PR
13/83

木花咲耶ノ名ノモトニ (1/1)


 住 人間(ニンゲンガ スム) 世界(セカイ)、則(スナハチ) 人間界(ニンゲンカイ) 也(ナリ)。

 其(ソノ) 世界(セカイ)、元来(ガンライ) 惟 人間(ニンゲン ノミ) 在(アル) 世界(セカイ) 也(ナリ)。

 現在(イマハ) 鬼(ソコニ) 在(オニ) 於 其処( アリ )。 夫(ソレ) 所以(イツハリノ) 偽之時間(セカイノ ユエン) 也(ナリ)。

 在(イツハリヲ) 立上者(タダスタメ) 為(タチアガリ)正偽《シモノ アリ》。

 偽(イツハリ) 之(ノ) 時間(セカイ)之( ノ )住人(ジュウニン)、夫等(ソレラヲ) 呼〈六華將〉(ロッカショウト ヨブ)。

 其(ソノ) 意味(イミ)、持(ツヨキ) 強(ハナヲ)〈華(モツ)〉六人(ロクニン) 之(ノ) 将(ショウ) 也(ナリ)。


【人間だけが暮らす世界──即ち人間界《にんげんかい》。

 本来は〝人間しか存在しない〟場所。

 その場所に、今は鬼がいる。

 故にこの時間(せかい)は〝偽り〟なのだ。


 その偽りを正す為に、立ち上がった者達が居た。

 偽りの時間(せかい)の住人は、彼等《かれら》をこう呼んだ。

 強き〈華〉を持つ六人の将、即ち〈六華將(ろっかしょう)〉と──】



───────────────



 ──〈六華將(ろっかしょう)〉。

 花の名を姓に持つ六人。


 春の闇夜に潜む花、菖蒲(あやめ)。


 夏に飛翔(はばた)く白き花、鷺草(さぎそう)。


 秋に香る千代(ちよ)の花、菊(きく)。


 冬の雪に隠(かく)る花、柊(ひいらぎ)。



 そして──花を代表する存在、桜。



 六人で、五種類の花を咲かせる〈六華將〉。

 彼らのうち、一人でも国に所属していれば百人力となるほど、強力な力を持つ存在だ。


 時は今、北方に領土を展開する魏国(ぎのくに)に対し、南西地方では蜀国(しょくのくに)、南東地方では呉国(ごのくに)が中心となって土地を治める、三国鼎立(さんごくていりつ)の時代。

 しかし昨年、北伐(ほくばつ)と称して魏を責めていた蜀の諸葛亮(しょかつりょう)が亡くなったことをきっかけに、現在の三国間は膠着状態にあった。


 そんな状況の中、仲達率いる魏国には、桜が加わったことで二人の〈六華將〉が所属していることになる。

 魏国に所属するもう一人は鷺草。

 そして他国──蜀国には菊。

 菖蒲と柊の行方は、現在もわからないまま。

 呉国は何れかの一人を既に雇っているのではないかと、そんな噂もあるが。

 その〈六華將〉に関して、この時間(せかい)にはとある奇譚(きたん)、即ち不思議な言い伝えが存在していた。




◇───────────────────


 桜(サクラ) 咲(サキシ) 時(トキ)、動(シンシガ) 神使(ウゴク)


 菖蒲(アヤメノ) 示(シメシハ)、烏(カラス) 之(ノ)〝陰陽(インヨウ)〟

 〝祓(ハラエ)〟之(ノ) 鷺草(サギソウ)、如(シラザキノ) 白鷺(ゴトク)

 千代(チヨ) 之(ノ)〝守護(マモリハ)〟、鬼狼(キロウ) 之(ノ) 契(チギリ)

 潜(ヒイラギニ) 柊(ヒソムハ)、〝隠(カクレ)〟之(ノ) 白蛇(シロヘビ)


 逍遙(ショウヨウ) 之(ノ) 桜(サクラ)、繋(スベテヲ) 全(ツナギテ)

 将(マサニ) 示(ロッカノ) 六華(シンジツ) 之(シメ) 真実(サントス)


 桜(サクラ) 咲(サキシ) 時(トキ)、進(モノガタリガ) 物語(ススム)

 在(ソノ) 其(サキニ) 先(アルハ)、偽(イツハリ) 之(ノ)〝終焉(シュウエン)〟


───────────────────◇




 この奇譚は、約四十年前の、桜の鬼がいた時代に言い伝えられたものだという。

 しかし、その奇譚は今になって、こんな解釈をされたのだった。




◇───────────────────


 桜が咲くとき神使(かみのつかい)が動き出す


 菖蒲(あやめ)が示す烏の〝陰陽(いんよう)〟は

 陰影(かげ)と陽光(ひかり)の二面性


 〝祓(はらえ)〟の鷺草(さぎそう)は白鷺(しらさぎ)のように

 悪しき者を排除する


 菊が施す千代の〝守護(まもり)〟は

 鬼狼が結んだ契によるもの


 柊に潜む〝隠(かくれ)〟の白蛇(しろへび)は

 雪に忍びて姿を消す


 彷徨う桜が全てを繋ぎ

 〈六華將〉の真実を示すだろう


 桜が咲くとき物語が進む

 そして偽りは〝終焉〟を迎える


───────────────────◇




 このような解釈が成されたことが、奇譚を知らなかった者も知る機会となり、各国でも再び話題に上がるようになったのである。

 解釈の発端は、噂によるととある呉国(ごのくに)の将だという。

 しかし、これはあくまでも解釈。

 その真実を知っているのは〈六華將〉のみである。


 そして、その解釈をきっかけに。

 複雑に絡み合う謎は、徐々に明かされていくこととなる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。