表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/26

06 時間を止めて

 船に着くと、戦いは終わっていた。もともと生きていた者達が倒れている。相討ちだ。負けや勝ちなど、どこにもない。静寂だけがあった。

 ウェンは何も考えられなくなった。

「フェンロン・・・フェンロン?」

 名前を呼んで、見渡した。どこにいるのか。姿が見えない。血まみれの人の体を避けたり跨いだりしながら、船室に入った。

「フェンロン?」

「・・・ウェン・・・。」

 フェンロンの声だ。ウェンは急いで声のした方に行った。だが、そこにはもとのような美しい妻はいなかった。床に倒れ、もう身動きのとれないくらい怪我がひどい。顔にひどい火傷も負っている。

「フェンロン、もう大丈夫だ、すぐに止血を―。」

「ウェン、もういいわ。嘘もよして。」

 もう助からないだろう。分かっている。でも、何もしないのは嫌だった。まだ人間とは違うから、何とかなるのではないか、と思いこもうとした。心臓が破れそうだ。

「喋るな、はやく血をとめないと。」

「ウェン・・・アルを・・・あの子をお願い。」

 フェンロンは、ふうっと大きく息を吐くと、静かに目を閉じた。

「フェンロン・・・?」

 もう分からない。何が起きている?それっきり動かなくなったフェンロンを床に降ろし、ウェンは部屋の隅へ歩み寄った。今になって、自分が血まみれなことに気付いた。

「アル・・・。」

 生まれて間もない自分の息子が眠っていた。何が起きたかも知らずに。子どもが本当に羨ましい。そっと抱えた。フェンロンの胸には、魔術の直撃をくらった跡があった。アルを庇ったのか・・・。

「お頭!」

 振り向くと、部下が立っていた。

「どうした・・・。」

「クシュ族は全滅した模様です。」

 部下はそう言うと、ウェンの足元に横たわるフェンロンを見て、息を飲んだ。

「全滅?」

 ウェンが部下に聞き返し、息子を抱えて部屋を出ようとした時、かすれ気味の声が聞こえた。

「まだ終わっていない、ウェン・ツェン!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ