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05 風の龍

「その扉をあけるには、竜の涙が必要だ。クシュ族以外に竜を操る者はいない。この扉は、クシュ族にしか開けられない。」

 ウェンは不敵に笑った。

「なら、竜を捕まえてきて、無理矢理にでも取ればよいだけだ。鱗を一枚一枚剥がしたり・・・目をくり抜いてもいいし、足を一つずつ折ってもいい。こんだけいるんだ。一匹くらい、泣くだろう。許しを請うてな・・・。」

 アイエスの顔が歪んだ。想像しただけで、吐きそうだ。ぞっとすることを、平気でこの男は。竜達を・・・。だが、甘い。

「ふっ・・・ウェン、お前、我々の宝玉に気をとられてばかりいる。お前の宝玉はどうしようか?」

「・・・何?」

 ウェンの眉間にしわが寄った。なんだか、嫌な予感がする。

「見ろ。」

 アイエスが指先で魔術を放った。祭壇の水入れに入れられた水が、今まで天井しか映していなかったが、ぐにゃりと歪んだ。海が見える。船もだ。これは、俺の船、干戈号じゃないか?戦っている。何と?竜に乗ったクシュ族が船に火の弾を放っている。干戈号の水夫達も応戦している。こちらの指揮をとっているのは・・・。

 一人の女海賊が目にとまった。ウェーブした黒髪を振り乱し、戦っている。普段は人形のような大きな愛らしい目は、憎しみに溢れていた。もう何もしなくとも、体はぼろぼろの筈なのに・・・聖水を手に入れるため、無理をしてここまで来たのに、この上戦いなどしては・・・!

「フェンロン!」

 聖水を取って帰ると約束したが―!ウェンはアイエスを無視して駆けだした。襲いかかって来るクシュ族や骸骨は、やみくもに殺した。

「ははは・・・もう遅い。」

 後ろで嫌な声が幾重にも響いたが、どうでもいい。ただ走った。



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