第3話 説教
武器を選び終えて簡単なハンマーテールの生態の説明を受けたら、狩場に着くまでは各自部屋で待機をして過ごす事になった。
アルデンサルでは個室が準備されているが、船によっては複数人部屋しか無い物も有り、今乗っている船には二人部屋が割り当てられた、個室も有るが数が限られている為、役職の有る者から順番に埋まって行くと、必然的に俺達みたいなのは相部屋で風呂もトイレも無しになった。
すでに部屋は割り当てられているので名札のある部屋へ入り、入り口側のベッドへ寝ころんだ。
相部屋の・・・名前は何だっけ、自分の名前しか見て無いから誰かわからないけど、空いてるベッドに座ったのが多分そうだろう。
「な、なあシリル・・・」
寝息を立てそうになったところで突然話しかけられた、まったく挨拶も出来ないくせに都合の良いやつらだ、
「はい、シリルです。何か御用でしょうか」
ワザと丁寧に答えると、気まずいのか少し躊躇するのが見て取れたが、あまり虐めるのもこれからの事を考えたら得策では無いだろう、
「ごめんよ、それで、えーっと、名前は何だっけ」
「ブレンドン・ホープ、キアーラ狩竜人学校出身だ、よろしく」
「シリル・エアハート、ディーゼルハット狩竜人学校出身、よろしく」
「知ってるよ、俺もベンヤーンに行ってたし、シリルが剣戟大会で優勝したことも知っているし」
「ああ、剣戟大会の警備の時の、そうだったんだ、それならそうと話しかけててくれれば良いのに」
「そのつもりだったんだけどな、まあいろいろと有って・・・」
ブレンドンは何かを言いかけて言葉に詰まった、色々とってなんだよこうなったらとことん問い詰めてやる、
「その色々を言ってくれよ、言わないなら俺にも考えがある」
考えなど無い、ただ勢いそのままにブレンドンに強い言葉を浴びせた、
「それなら・・・、まず」
まず、まずって事は本当に色々と胸につかえている言葉が有りそうだ、俺はベッドの上に座り直して話しを聞く体制を作った、
「シリルはレイナルドさんと親しいだろ、やっぱり狩竜人にとってのレイナルドさんって偉大な存在だから、そんなレイナルドさんにかなり失礼な事をしてるだろう。それがちょっと許せない所が有って・・・」
俺とレイの関係は他に人から見たらそう見えるのか、確かに言いたい事は何と無くだけれど解る、俺もアル船長とレイの関係にやきもきする事も有るし、
「それにシンディさんやシェリーさんとも仲が良いだろう、その上アルフレッド王子にまで目を掛けて貰ってるじゃないか、そんなのは狡いだろう」
シンディとシェリーはブレンドンが思っているほど・・・いや止めて置こう、フレッドに関しては同じ学校に通っていたんだから、ある程度は仲が良いのは仕方が無いだろう、おまけに死地を乗り越えた仲なんだし、
「ブレンドンやみんなが思っている事はわかったよ、でも俺がレイやフレッドとどんな仲かなんてのは、そんなに嫌われるような事なのか」
「それだけじゃ無い、かわいい彼女を連れて来てるくせに他の女子にも人気じゃないか」
「へへへ、ヘレナをかわいいって、やっぱりそう思う?」
ブレンドンは露骨に嫌な顔をして俺を睨みつけて来た、
「そういう所だぞ、それにな、最初にアルデンサルに来た時にみんなの前で名乗っただろう、それなのに俺の名前も憶えて無いしな、そう言う事の積み重ねなんだからな」
「それは・・・、本当にごめん」
俺はブレンドンに深々と頭を下げた。




