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第七十九話「宣戦布告」

めっちゃ誤字してました、すみません


聖街セクリプレスから北へ少し進むと

小さな丘がある。

いつもならのどかなところだが、

今は工業地帯のように大小様々な鉄の塊が丘の上でひしめき合っていた。


丘の上に建物が建築されたのではない、

よく見れば鉄の塊はロボットで、

それぞれが準備を整えるために規律正しく蠢いていた。


丘の頂上では巨大な筒状の鉄が三つ、街に向かって揃って並んでいる。

その横には戦闘機体の中でも

一際大きな体躯の機械が小さな腰掛けにどっしりと座っていた。


「バルク様、準備完了シマシタ」


腰掛けに座る機械に一つの機械が近づき報告する

バルクと呼ばれた機械は立ち上がり、大音量で整列する機械たちに声をかけた。


「鉄くずども、気合い入れろぉ!

今回はあの方からの勅命で出撃している

失敗は許されないぞ、まあ、相手はナマクラだ

余裕だとは思うがな? ガッハッハッ」


バルクは仰け反りながら笑い声を上げる。

報告に来た機械の後ろから別の機械が現れ、こちらも報告を行う。


「破城砲イケマス」


「よし威嚇射撃だ、ブチ当てろ」

バルクは上体を起こして外壁を指差し、指令を出した。


ーー


「クソッ!

随分と時間がかかってしまった!!」


北の街門に数名の部下を引き連れてダンが到着する

満足に防衛の準備を進められていないのか、彼の声には焦りが見えた。


「隊長、街壁に配置した部隊への連絡は済んでいます。

北以外は最小限の人員を残し、こちらに大多数の兵士が急行しております。」


「そうか、まずは偵察だ

ホークス隊から二名選出し丘へ、敵の詳細を確認したら速やかに戻り、信号弾をーー」


ドンッドンッドンッ


指揮をとるダンのすぐ横の壁が大きな衝撃音とともに崩れ落ちる

突然の事態にゆっくりと顔を向けると、

街壁にぽっかりと三つの穴があき、丘の上に立つ

ガタイの大きい機械が目に入った。


「………敵しゅっ」


ダンが応戦の指示を出す前に、大きな機械が

声をあげる。


「ウィルスどもに告ぐ、今すぐ人間を渡せ

お前たちの削除は免れないが、人間は必ずや有効活用してやると約束しよう」


「バルク様、ソレデハ群レ全体ニ声ガ聞コエマセン

今ドローンヲ飛バシマスノデ少々オ待チヲ……」


「ああ?

めんどくせぇな…分かったからさっさとしろ」


ウンザリしたように天を仰ぎ、

急かすように手をピッピッと振るバルク、

その様子を見て部下の機械は急いで指示を飛ばした。


「ドローンが飛んできたぞ!」


「撃ち落とせぇぇええ!!」


「全員待機!」


『!!?』


無数のドローンがこちらに向かって飛んでくる様に絶望し、

取り乱した戦闘部隊の隊員達が慌てて武器を構えるが、

ダンは攻撃しないように指示を出す。


「ですが!」


「落ち着け、これは攻撃ではない。よく見ろ」


街の上空を飛ぶドローンは規則正しく街全体に等間隔で並ぶ。

その機体には攻撃用の装備は付いておらず、スピーカーだけが付いていた。


「......本当に襲ってこない....。」


「………こんなことが…?」


隊員達にとってもこの状況はよっぽど異常なのか固まっている。

ダンもドローンを睨みつけながら黙っていた。


「バルク様、準備ガ整イマシタ」


「意外と早かったじゃねぇか」


オロオロする機械に声をかけ、

バルクは差し出されたマイクを手に取った。


街の上空に並んだドローンは、

一斉に動きを止め、


数秒の沈黙の後――バルクは口を開いた。


「.......あ〜、ウィルスどもに告ぐ、

今すぐ人間を渡せ

お前たちの削除は免れないが、

人間は必ず有効活用してやると約束しよう。」


バルクは声高らかに宣言するが目の前に相手がいる訳もなく、

一方的な勧告なので当然返答はない。


(……壁にあけた穴から何匹か見えるが

ウィルスどもはなんで何も喋らないんだ?)


(…サァ?ソウイウ作戦デショウカ………??)


バルクと部下はヒソヒソと相談するが相手の考えが読めない


「………………」


「………………」


「…………明日の午前九時まで待つ!!

それまでに白旗を掲げて人間を差し出しに来れば、お前たちに攻撃はしない。

丁重に一人ずつ削除することを約束しよう。ククッ」


沈黙が耐え切れずリミットを決めたバルクは最後の一言に込められた矛盾に小さく笑った。


「よしお前らドローンを戻せ、明日の昼にこの場は塵と化す。

そうりゃ俺は、晴れてアレス・ギアだぜ!」


両手を広げて嗤うバルクは

踵を返して丘の下に歩いて行った。


「………行ったか…」


「隊長!今すぐ攻め込んでヤツを破壊しましょう!!我々全員でかかれば倒せます!!」


隊員たちは武器を構えて今にも突撃できると訴える。


ーーが

「馬鹿なことを抜かすな!!!」

と、ダンは怒声を浴びせてそれを拒否した。


ダンは踵を返して歩き出す、向かう先はただ一つだった。そうーーショウの元へ


「………た、隊長……では我々はどうすれば……?」


進むダンをすぐ側の隊員が呼び止める

その声にハッとしたダンは私情はひとまず置くべきだと言い聞かせて顔を上げた。


「奴らは敵将を破壊したところで止まるような生易しい物たちではない

相手の戦力や装備も不明な以上、今突撃するのは愚策だ。

こちらも準備を整える必要がある、明日の九時までにっ!!

北門も別の門と同様に最低限の見張りを残して残りは戦闘準備!

お前とお前は私と聖堂へ来い

そこのお前は動ける人機を集めて手伝わせろ、

戦闘は無理だろうから明日の朝には避難させるように!!」


『ハッ!』


ダンの指示で隊員たちは一斉に動き出す、

彼も選出した部下二人と目的地に向かう。


(......奴らの挙動…明らかに異常だ…

しかしこれは吉兆かもしれん……)


まっすぐ前を見つめる彼の、誰にも聞き取られずに消えていった言葉だけがその場に取り残されていた。


ーー


一方、聖堂前では

白い布で包まれた人機が百数機集まり、

希望に縋ろうと建物の中へ言葉を投げかけていた。


「巫女様にお目通りを!」


「巫女様どうか我らをお守り下さい!!」


「お助けをぉぉおお!!!」


聖堂に雪崩込まんとする人機たちを警備の人機が押し返す。

静かで荘厳な聖堂は今ではお祭り騒ぎのように叫び声や奇声で溢れかえっていた。


「皆さん、落ち着いて!

落ち着いてください!!」


ツヴァイが両者の間で挟まれながら声をかけるが

希望の一欠けらにも成り得ないどうでもいい人機の声が混乱を収められる訳もなく、

彼は人混みに埋もれて行った。


「ちょっと、なによこれ?」


「今まで攻められなかった街だ

そしてここには戦える人機が少なすぎる

………パニックにもなるだろうさ」


とんでもない数の人機が聖堂の入口に押し寄せる光景に

驚きの声を上げるセレナと冷静に分析するコールは屋根の上にいた。


「これじゃ戦いどころじゃないわよ?」


「だろうな」


「どうすんのよ?」


「そらお前、一番影響力あるやつが

説明すんだよ」


コールがセレナに答えたすぐ後に街全体に声が響く


『皆さん、どうか落ち着いて

私は聖街の巫女 ルナ・アルシェです。』


「巫女様だ!」


「巫女様のお声だっ!!」


「巫女様が我々にお言葉をくだされるぞっ」


先ほどのドローンとは違い、町に設置されたスピーカーから

巫女と名乗るペルジアの声が聞こえる。

聖堂の前に集結した人機は勿論、セクリプレスにいる人機のほとんどが

その声にひれ伏して祈りをささげていた。


「......なぁ.....巫女様のお声ってこんな感じだったか?」


「バカ!三か月ぶりのお言葉だぞ?

お前は久しぶりすぎて混乱してんだよ!」


「そうかなぁ......」


「そういうもんだ

ほら、巫女様がお話なされるぞ

きっと我々を守ってくださるというお言葉がある、

あぁ...ありがたや、ありがたや........」


違和感で首を傾げる人機を他所に

巫女(?)の言葉は続く


『現在、セクリプレスは未曽有の危機に瀕しています。

今まで一度も攻められなかったこの街が、遂に機械軍の標的にされています。

......ですが、我々には幸運なことに降臨祭の警備のために訪問されている

人機軍戦闘部隊の方々がいらっしゃいます!』


「そうだ!

俺達には人機軍の戦闘部隊が居る!!」


「これなら安心だっ」


先程まで絶望に染まっていた空気は払拭され、

今では人機軍を称える声で溢れていた。


希望が見え始める中、巫女(ペルジア)の言葉は続く


『そうです、皆さん!

私たちにはこの強力な助っ人が居ます!!』


「ん?

........助っ人??」


期待していた発言と若干ニュアンスが違う言葉が発せられ、

街全体に不穏な空気が流れ始める。

そんな空気などお構いなしに巫女様は最後の言葉を

覚悟を決めて口に出した。


『聖街の巫女 ルナ・アルシェ、一生に一度の願いを申し上げます。

.........機械軍を迎え撃つために、どうか聖街の皆さんのお力をお貸しください!!』


まさかの発言に一瞬理解が追い付かず

街全体が沈黙に包まれる。

だが数秒の間に理解が追い付き、街の彼方此方で

絶望の雄たけびが、響き渡る。


「そんなっ

巫女様ぁぁぁぁああああ!!!!!」


求めていた言葉とは違う、巫女からの願いに

セクリプレスの人機たちは絶望しながら叫び声を上げ、

まるで街一つが悲嘆にくれる一体の人機のように

全ての叫びが一つとなって空に響き渡っていた。

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