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第七十八話「アレス・ギア」


薄暗い部屋の中央に円卓が一つ、卓の前に居るのはナーガ、その周りにも機械が居るが、着座しているナーガ以外は顔や機体がよく見えなかった。


「ナーガよ、

何故か機体が新しくなったようだな」


壁にもたれかかる機械が

そのままの姿勢で低い音声を出す


「そんな貴方はまだインテリジェンスチップを

アップデートしてないのね」

少し挑発が込まれた言葉を返しわざとらしく

クスクス笑うナーガ


「戦闘特化ならばver5.1の方が都合が良いのは

承知の上だろう?

ベレムナイト様もこのバージョンだぞ?」


「……それは…そうだけど……」

ナーガの嘲笑のリズムが崩される

先程の嘲りは敬愛する者への侮辱ともとれると

気付き、彼女は明らかに動揺していた。


「アンマリイジメテヤルナ、フォボス」


「私は虐められてなんか居ないわよ!

ディモンズ!!」


天井にくっつく八足の機械が

カタコトで話に割って入り、

ナーガも入れ食いのように噛み付く


「ドウミテモイジメラレテタガナ……

オマエモソウオモウダロウ………? フェロス」


「…………」


天井からディモンズが地べたに座る四足の機械に

問い掛けるが返答はなかった。


「フェロスは喋んないんだから

いちいち聞く必要ないでしょうが!」


「まあまあ…

会話に入れてやらないのも可哀想だ」


「そもそも喋んないんだから

会話が成り立たないわよっ!」


「………」


「うるっせぇな〜

騒ぐなら出てってくんねぇ?」


突如、円卓の下から声がして鉄羽の生えた機械が出てくる


「ああ?

あ〜…居たの?"アエネ"

空から降りられないと思ってたんだけど〜??」


「チッ…

あんたこそ任務に失敗してベレムナイト様に

顔向けできんのかしらね〜???」


「ぐぬぬ…

……今回の作戦は私がウィルスを追い詰めた成果

でもあるのだけど??

まあ、ほぼ偵察任務しかない"あなた"よりはマシかしらね??」


両者とも露骨に嫌な態度を全面に出して会話する

声音は笑っているようだが中を開けるとおそらく乾ききっているのだろうと蚊帳の外の機械たちは悟っていた。


「………」


最初こそ謎の強者感で溢れていた円卓だったが、

今では騒がしいごちゃごちゃした部屋へと様変わりしていた。


「戯れもそこまでにしておけ」


部屋の後方、ナーガたちが居る場所の反対側にある自動ドアが開き、漆黒の機体が姿を現す。

先程まで賑やかだった部屋が一瞬で静まり返り、ディモンズは天井から降り、フェロスは四足で立ち、ナーガ、アエネは頭を下げ、フォボスは変わらず壁にもたれていた。


「全員揃っているな?」


『はい、ベレムナイト様』

ナーガとアエネは同時に返答し、息があったことを心の底から嫌そうにしながら睨み合っていた。


「…………」

ベレムナイトは二機を眺め、その後に残りの三機も順に見詰めていた。


「ドウカサレマシタカ?

ベレムナイト様……??」


「…いや、……何でもない…」


「?」


歯切れの悪い返答に機械たちは首を傾げるが、フェロスだけは無言で両眼をチカチカと点滅させていた。


「そんなことより、ナーガの報告の件だ

本題に入ろう」


ベレムナイトは直近の問題を達成するべく話を移す、するとナーガが語り出した。


「24時間前、水竜捕獲作戦に問題が生じ、私が増援として向かいましたが、そこで例の人間とエンカウント、ウィルス共が邪魔に入りこちらは………壊滅して……水竜も人間も…………確保できませんでした。」


アエネが何か言いたげだったが、先にベレムナイトが声を掛けたことにより、彼女は口を閉じた。


「確保できなかったのは残念だが、お前が戻って何よりだ、我が軍の戦力が大幅に削られるところだった。」


「ベレムナイト様……」


ナーガはベレムナイトの言葉にそれ以上の意味は無いことも気にせず、感嘆の声を漏らしていた。


「で?この話には続きがあるのか?

取り逃した謝罪で集められた訳では無いだろ?」


折角感動に浸っていたナーガにフォボスの邪魔(質問)が入り、気分を害するが、そのまま話を続けた。


「……ええ、作戦場所の沼地周辺に今までナマクラしかいないと無視していたウィルスの群れが居る。人間たちはそこに」


「ナルホド…ソコヘ"アレス・ギア"デ

コウゲキヲシカケルノカ」


「そういうことよ」


「ナーガ様、作戦ノ進捗報告ニ参リマシタ」


ベレムナイトの後ろの自動ドアから一体の機械が

入って来て報告する。


「作戦の報告……?

私は戦闘部隊に出撃準備をするように伝言をしただけのはずだけど…??」


「……ソレガ…」


機械は言いづらそうにしながらフラフラしている


「なんだ?

さっさと報告しろ」


アエネが痺れを切らして強い口調で問いただす、

その圧に機械は報告を続けた。


「実は現在、戦闘部隊はウィルスの群れの元に進軍しております。

編成は指揮機械一機とA級機体五機とB級以下の機体が三百機です。」


「なんですって!?

なぜ私の指示なく進軍なんてっ!!」


ナーガが声を荒らげるが報告に来ただけの機械は何も言えずオロオロしていた。


「指揮機械の個体名はなんだ?」


ベレムナイトが冷静に聞く、圧も何もない業務的な声音は機械に落ち着きを取り戻させ、すぐに返答した。


「………バルク=ハウザーです」


「勝手なことをっ!!」


ナーガが円卓をダンッ!と叩きながら叫ぶ

追撃の一発を卓に響かせようと手を上げるが、

ベレムナイトによってそれは阻止された。


「無駄だろうがバルクに待機命令を出せ

すぐに私が現場に向かう」


『ッッ!?』


「ベレムナイト様!であれば私がっ!!」


ナーガが一歩前に出て進言するがベレムナイトは首を振る


「今回の作戦上、お前は適任ではない」


「それなら適任である俺が行こうじゃねぇか」


壁にもたれるまま口を開くフォボスは問題ないだろといった意味を含ませる口調で提案した。


「ああ、お前なら問題ないな、一緒に来っ」


『今回の作戦に追加の人員は認められない』


「!!?」


突如部屋にノイズの乗った声が響く

扉とは真逆の壁に映像が展開し、そこには人型の黒いシルエットが映っていた。


ザザッ

ベレムナイト以外の機械は姿勢をただし頭を下げる

黒い影はベレムナイトが頭を下げないことに何の関心も示さず話を続けた


『今回の進軍は私が指示したものだ、

"あの街"は現在の編成で容易に落とせる

現状の戦力で足りている以上お前たちの出る幕はーー』


「それが早計だと言っているんだっ!!」


淡々と話す影に、ベレムナイトが柄にもなく声を荒らげて発言する。

その姿にナーガたちは呆気にとられていた。


『………まあ、いい。

とにかく今回の作戦に増援は必要ない

お前たちは別の任務を遂行しろ』


「ハッ!」


「待て!

まだ話は終わっていないっ」


一方的に回線を切られる

普段と違いすぎるベレムナイトに部下たちは声をかけざるを得なかった。


「どうしたんだよ隊長、あの方にアンタが声を荒らげるなんて初めてじゃねぇか……?」


「アキラカニイツモトヨウスガチガッテイマシタ」


「ベレムナイト様と言えど…先程の発言は流石に……」


「お前たちは何とも思わないのかっ!」


「あの方の命令は絶対では無いですか…」


「ッッ!!

……もういい…私は隠密部隊を連れて急行する」


ベレムナイトはヅカヅカと大股で歩いて扉から出て行った。


「………どうしちまったんだぁ?」


「ナニカオモイナヤマレテイルノダロウカ……」


再び壁にもたれかかるフォボスに同意しながら

ディモンズも考えを吐露する。


『ベレムナイト様…』


憂いの込もった声でナーガとアエネは扉をただ眺めていた。


ーー


廊下を大股で歩く機械、

目的の場所までまだ距離がある。

最近感じた幾つかの違和感を思い返しながら不満を発して進む。


(部下の様子…いや……軍全体の思想が、

明らかにおかしな方へ進んでいる……一体何が起こっているというのだ)


誰の同意も得られないが自分だけが確信して止まないこの違和感の発生を突き止める術を探しながら、ベレムナイトは前へ前へと歩き出していた。

アレス・ギアのメンバー


撃狼フェロス・ヴォルフ

犬型機械、アンバーとは違い

→ 翼はなく、代わりに背部に多段ロケットミサイルを装備している。

人機の追跡を得意とする機械で追跡に「相違反応追跡」というモードを行う。


狂壊機フォボス

人機軍戦闘部隊隊長ダン・シュナウザーの機械軍版

一つ目の巨躯人型機体

(モンスターだとサイクロプスに近い見た目)


滅鳥アエネ=ナス

見た目はハーピーのようなロボット、両手が鉄の翼でジェットブースター搭載

声は女性的でヤンキーのような荒っぽい感じ


溶断糸ディモンズ

蜘蛛型の機械、その八本の足は鋭利で凶悪

目も八つあり、その目で見えない攻撃などない


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