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第七十話「疲労蓄積の湯」


「……ワッセ……ワッセ……ワッセ……ワッセ……」


階段から人機たちが何かを担ぎ、掛け声を発しながら降りてくる。


「……ワッセ…ワッセ、ワッセ、ワッセ!」


掛け声は次第に大きくなっていき、

目的地に近づくにつれて期待が大きくなっているようだった。


「ワッセ!ワッセ!ワッセ!ワッセ~〜!!」


集団は遂に"会場"へと到着する。

そこは"湯"と書かれた暖簾が垂れる、風呂へと続く異界の扉、担がれていたショウは降ろされ、人機たちの興奮は最高潮に達していた。


「森で捕まった時より怖いかもしれないっ!!」


「だ~いじょうぶよっ ショウ! アタシたちは何も取って食べようとしてる訳じゃないんだから、ね?みんな??」


『…………うん!』


「何その嫌な間っ!!

こ、こうなったら…これでどうですか!」


ショウは別に縛られてはいなかったので、バックパックに手を伸ばして何かを取り出そうとする。


「っっ!!?

ここまで来てイチャイチャを邪魔させないわーー

きゃぁっ!?」


セレナは即座に反応し動こうとするが、

彼女はなぜか両手を横に広げ、足は大きく開いて硬直する。


「なんで!?

二回引っ張ってないのに!!」


よく見るとセレナの腰に着いた糸がピンッと張っている、凄い力で引っ張られているようだった…


「みんな!セレナちゃんを助けるよっ!!」


ミアの指示で聖歌隊やシェルンとエリナがセレナにしがみつく、それでも糸を引っ張る力の方が優勢に見えた。


「あ、アンタたち……っ!」

セレナは流れない涙を拭い、気合を入れる。


「…………」


「………ありがとう……アタシ負けないわっ!!

ママになんて負けない!

今日は絶対にここで泊まっていくんだからっっ!!!」


「その意気だよセレナちゃん!」


「一緒に泊まろ~」


「話したいことがいっぱいあるものねっ」


「セレナは」

「奪わせない」


聖歌隊もセレナの心意気を見て気合いを入れ直す、ショウだけがその空気から取り残され、ただ呆然と眺めていた。


「じゃあ……せーのっで行きましょう…?」


セレナの指示に一行は頷く、

全神経を集中させて指示を待つ


「行くわよっ! せーのっ! (ビリッ) あっ……」


支える人数が多いことはいいことだ……

だが、いくら掴むところがなかったとはいえ、服を掴むのは不味かった。

セレナの服はビリビリに破れ、支える人数が一気に減る。


「イヤァァァァァァ!!!!!」


手や足を掴んでいたミアやフリアたちもこれはイケナイと手を離す。

身体を丸めるセレナは糸に対して無力になり、掃除機のコードのようにビチビチとのたうち回りながら廊下や階段を戻って行った。


「ママのバカァァァアアア!!!」


ショウは見てはいけない光景に顎を落としながら硬直しているーーが直ぐに正気を取り戻してバックパックから通信端末を取り出し誰かに発信した。


「いけないっ!

ショウに逃げられちゃっっ」


同じく大惨事に放心していた、ショタコン連合軍だったがシェルンがいち早く正気を取り戻してショウの方を見るが既に先手を打たれていた。


「……もしもし?

ショウくんこんな時間にどうしたんだね??」


ショウはスピーカーから流れるダンの声を盾に片膝を着いて構えていた。


「なっ!!?」


シェルンは気付く、なぜこのタイミングにダンへ連絡を入れたのか……直ぐに止めに入るが…遅かった。


「ショウっ……待って!!!」


「こんな遅くにすみません、ダン隊長……でも、どうしてもお耳に入れておきたくて……シェルンさんとエリナさんが今宿舎に居るんですけど、そちらに戻らなくて大丈夫ですか??」


「……なんだって…?」


ダンの低い声がいっそう低くなって発せられる。


「や…やっほ~……隊長元気………?」


「……てへ…」


スススッとシェルン、エリナがスピーカーに近付き返答する。


「……はぁ…寄越す人員を間違えたな……

まぁいい、今日はそこで泊まっていけ……」


「さっすが隊長! わかってるね!!」

「......ナイス........空気の読めるイケオジ」


グッドサインを出す二人の横で

ショウは膝から崩れ落ちていた。


「なんの事か分からんが……

それで謁見の件はどうなった?」


「バッチリ明日のお昼にってことで約束を取り付けておいたよっ!!」


「明日の昼!?

私は最短でも三日間くらいの余裕は持って約束するように言っただろ!!」


「そうだったっけ? エリナ??」


「.......そうだよ」


「~~っっ!!

なぜ知ってて指摘しないんだお前はっっ!!」


「?? ........早いほうがいいと思って?」


「いいわけないだろ!

はぁ......まあいい.....すまないがショウくん、そうゆうことなので作戦の決行は明日だ、問題ないか?」


「……ぼくたちは全然大丈夫ですよ…集合場所はどうしますか?」


絶望したショウが諦めのこもる声で返事をする。


「?......そうだな、私は君達の居場所を知らない、またあの喫茶店で落ち合えるといいんだが.......」


「それなら宿舎に来ちゃえば?

うちのスタッフに迎えに行かせればいいよ!!」


ショウの背後を取って抱き上げるミアが話に割って入る。


「本当か? それは有り難いな」


「任せてっ!

ショウくんの仲間の方にも迎えに行かせるね!」


「……ありがとうございます………

シンたちにはこれから無線で伝えておきます……ね」


ショウは無線を取り出し、シンたちに作戦の進捗を伝える。


「……これでよし。

あれ? そういえばシェルンさんたちは通信端末を持ってましたよね?

回線を繋げばダン隊長と連絡取れるんじゃーー」


「ショウそれ以上はイケナイ!!」

シェルンが急いでショウの口を塞ごうとするが遅かった。


「ーーほぅ…?

すまないがショウくん一ついいかな?」

ショウはダンの指示で通信端末をエリナとシェルンに渡たし、二人は説教を喰らった。


ーー


ここは脱衣場、

ショウは遂に連れてこられてしまった。


「……うぅっ………!!」


ショウは両手で顔を覆って刺激をシャットアウトするよう努める、そうしなければ美しい人機たちの肌がどこを見ても目に入るからだ。


「ショウも」

「脱ぐ!」


まだ服を着ている双子がショウの服を脱がせる。

抵抗する間もなく下着姿まで身ぐるみを剥がされたショウはその場にへたりこんでしまった。


『キャーーーッ!!』


ショタコンたちは嬌声を上げ、祭りがまた熱気を増す、彼女達は次のステップが待ちきれないとでも言わんばかりにギラギラした目でショウを見つめている。


「うぅ~……誰か助けて……」


「もぉ~ショウくんったら恥ずかしがらなくてもいいのにっ~」


フリアが何とは言わないがバインバインと揺らしながらショウに接近する、好奇心が視界の端を捉えてしまう劣等感に耐えられず、ショウは切り札を投入する。


「ごめんなさい! 見てられません!!」


『ドロップ!』


棚に置かれていたバックパックがショウの声で開き、こぼれ落ちた円筒から煙が吹き出す、スモークグレネードが脱衣場の視界を完全に遮った。


「え!?」「こんな切り札がっ!!」


「今のうちにっ!!」


ショウは下着一枚だが、なりふり構っては居られず数センチ先も見えない部屋の中を一直線に走り出した。


「ショウくん!

また逃げる気だね、エイッ!」

(もにゅんっ)

「キャッ」

「あれ?」


ミアは視界を遮られる中、逃がすまいと抱き着く


「ちょっとミア!? どこを掴んでるんでして!!?」


「ああ、ナフタだったんだごめんごめん!」

「いいからその手を退けなさい!!」


真っ白な視界で捕まえたのはショウではなくナフタの胸だった。


(よしっ! 煙のおかげで撹乱成功だ!!)


「煙が凄くて誰が何処にいるか分からないよ~

ヒャッ////!?」

(むにゅっ)

「ショウ討ち取ったり!」


「シェルンちゃんそれ私だよ~

離してぇ~〜!!」

「あれ??」


シェルンも自信満々にショウを捕まえたと宣言するがこれまた見当はずれでフリアの柔肌を揉みあげていた。


(いや、ぼくそんなに身長無いんだけど!?)


「みんな落ち着いて!ここはまず出口を塞がなきゃっ!!」


「……同感、退路を断って煙が収まれば確実に捕まえられる………」


ケーニャの案にエリナが同意し、出口へと走り出す。


「発見」

「確保」


(むきゅっ) 「へぅっ…!」

(ぽよんっ) 「…んっ……!」


足音を聞きつけた双子が飛び付き、リリはケーニャの控えめな山に、ララはエリナの豊満な山に揉み着く


「ちょっ……! 離れなさい…リリィイ…!」


「……ふっ……んっ!

………そこは、ショウ………専よぉ………」


「ラッキー」

「スケベ」


双子はショウそっちのけで遊び出していた。


脱衣場は本来の用途とはかけ離れた状態に包まれカオスと化していた。


(……初手で動くと確実に捕まると思ってたから様子見してたけどこれは聞いちゃいけないやり取りだ……!!)


ショウは部屋の隅で縮こまっていたせいで聞いてはいけないやり取りが嫌でも耳に入り、心臓にジワジワとダメージを受けている気がした。


(これ以上ここに居ると心が持たない……

早く脱出しないと……!)


脱衣場は真っ白で何も見えない、

ーーが絶対に少年が居てはいけないはずであるこの淫靡な部屋から離れるべく、ショウは壁伝いに出口を探す。


(ここ…扉だ! よしっ、やっと出られるぞ!!)


ショウは扉をゆっくり開けて中に入る、とにかくこのアブナイ部屋から脱することが彼の最優先事項だった。

ーーだが、その扉が最初に入ってきたものと全く違う扉だったのだと、少年に気付く余裕は残されていない。

その部屋は煙でなく、湯気で満たされていた。


皆さん?セレナは人機ですからね?

いくら精巧に作られているとはいえ、

さすがに"そこ"までは……

あっ、愛も感じれる仕様だった…………


今のは聞かなかったことに……

え?無理……?

チクショウ…


聖歌隊やシェルン、エリナもセレナ程でないですが精巧ですよ…………


でも人機っ!人機だからっっ!!


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