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番外編「同担拒否の人」


――皆、元気で過ごせているだろうか?

私だ、マーシャだ。


現在この赤薔薇では、少々厄介なことが起きている。

今はその処理に追われていてな、本当はメッセージなど書いている暇はないのだが……。


フッ。

送りもしないこの文字の羅列を作っては眺めるのが、今の私のささやかな楽しみになっている。


少々厄介なこととは何なのか?

君たちの方に飛んでいった火種の件だ。

詳しく話さなくても、わかるだろう?


あの二人が任務につく、そのこと自体に問題はなかった。


――ただ、来てしまったのだよ。

ダン隊長からの定期連絡で、ショウ君。

君との接触が……。


私だって急いで証拠隠滅を図ったが、遅かった。

今思えば、“あの人”には予感があったのかもしれない。


君との接触という予想が的中し、

司令官はかつてないほどの駄々を――


「いぎだぁぁぁぁい!!!」

拠点中に大音量の放送が響き渡り、

誰かの絶叫が乗る。


マーシャは、ひと時の息抜きを邪魔され、手を止めた。

「はぁ……始まったか……」

「いぎだい、いぎだい、いぎだいぃぃぃぃぃ!!!!」

マーシャは作業を中止し、部屋を出て指令室へ向かう。

その手には、電気ロッドが握られていた。


「なんであの二人なの!

私でいーじゃん!!

ずるいずるいずるいずる〜い!!!」


放送には声だけでなく、

バタバタ、ガシャガシャと不満をぶつける音まで乗っている。


部下に示しがつかないと頭を抱えながら廊下を歩くマーシャ。

その足は、元凶の声に近づくほど早くなっていった。


「じょ~ぎゅ~~ん!!

わだぢだっであいだいのに~~!!!」


ガシャン、ガシャンと、

今度は廊下の奥からも騒音が聞こえる。


ついにマーシャは、迷惑者の本拠地へ辿り着いてしまった。


「……はぁ……。

気合を入れなさい、マーシャ。

貴方ならできるわ……」


深呼吸をして、扉を開く。


そこには――

ズタボロに切り刻まれた抱き枕を抱き締め、

目から大量のオイル涙を流し続けるバレッタの姿があった。

床には大きな油溜まりが出来上がっている。


「うぇ……うぇ……

しょうぎゅん……グスッ……

しょうぎゅんどご~……?」


もしマーシャが人の身体なら、

確実に顔が引きつっていただろう。


ここまでの醜態。

これは、相当深刻だ。


「……司令官。

いい加減にしてください。

わざわざ涙をオイルで再現して……

そこまでの理性があるのなら、早く業務に戻ってください」


「ち、違うもん……

悲しすぎて、勝手に流れ出したんだもん……」


「そんなことあるわけないでしょう……」


「それより!

なんで通信端末まで二人に持たせたのよっ!

最初からショウきゅんと接触すると分かってて壊れたところを直してもらおうとしてたんでしょ!?」


「ぎくっ!?

い、いや、そんな訳ないじゃないですか……」


マーシャは慌てて言い訳を並べる。


「エリナたちに端末を持たせたのは、

赤薔薇より聖街の方が彼らの現在地と恐らく距離的に近いですし、救援要請があった場合にすぐに対応可能なはずです。

それに、あちらは生粋の戦闘部隊ですから……」


「ほんとにほんとに?

まあ、大型戦闘ヘリまで持ち出してる作戦……

確かに救援要請という面では、こちらは分が悪いわね……」


「で……でしょう……?」


(危ない……。

二人に通信端末を持たせてるのがもうバレてるなんて、でも手元から離れてしまえばこちらのものだわ……我々に今の無防備な送信機能は危険すぎる.....作戦通りショウくんに頼んで対策を講じてもらわなくてわ......)


「過ぎたことはもういいわ~!

これから私たちも出動するわよっ!

救援は多い方がいいでしょ~?」


「いえ、二人はショウくんからの救援要請で動いたわけでは……」


「い~いから行くのよっ!

早くショウきゅんに会うのっ!

逢いたいのぉぉぉおおお!!!」


「……本音ダダ漏れじゃないですか」


マーシャは、最後の切り札を切る覚悟を決めた。


「……ショウくんのお風呂シーンフォト、五枚」


ビクッ!


それまで暴れていたバレッタが、完全に硬直する。


「しょ……ショウきゅん……

おふりょ……

おしゃしん……

ごみゃい……?」


「はい。

ウィル・フライト拠点にて、

ショウくんの入浴シーン写真が入手されたと報告が上がっています」


「……っ!!

それは由々しき事態ね!?

早急に回収して、厳重に保管しなきゃ!!」


「私も同感です。

すぐに動きましょう」


「副官マーシャ?

ウィル・フライトと連絡を取って、迅速に回収してきなさい」


「はっ!

失礼します!」


マーシャは足早に部屋を後にする。

トップの我儘という拠点の指揮に係わる最大の懸念が解消され、

ようやく肩の荷が下りたのだった。


――部屋の中。


「ふふっ……

ショウきゅんのおふりょ……

どんな、あられもないおしゅがたが……」


ここに変態がいる。


油溜まりの中心で女の子座りをし、

抱き枕を抱き締めてモジモジする変態が。


「ショウきゅんの生まれた姿を拝めるなんて……!

はっ!?

これは準備が必要ね……神棚よっ!」


作業開始。


机と椅子を破壊し、再構築。

完成したのは三段の神棚。


周囲には無数のロウソク。

――だが、幻想的とは程遠い。


壁に飾られた、等身大のショウの絵。

よく見ればそれは写真の貼り合わせ。


狂気の芸術。


そして最上段には、

秘宝が飾られる予定だ。


嘆かわしい。


「……ね?

しょ~きゅ~ん?」


ふと、抱き枕に顔を埋めた変態が気付く。


「……え?

なんでこんなにズタボロなの!?

誰にやられたの!?」


自分の所業を他人のせいにし、怒りを燃やす変態。


布と針と糸を手に取り、

今日も救済(修理)が始まるのであった。

皆さん、ども!樛樹です。

クリスマスってイブの方がイラつくんですよね、多分

25日の方は消化試合感があってあんまりイラつきませんね、という訳で番外編は本日24日のみになります。

歯食いしばり過ぎてちょっと痛いかも……。

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