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第五十五話 「救出」


「キューイの親は、機械軍に捕まっていたわ……」


「!?」


「確かなのかっ?」


「ええ…スコープで確認したから間違いないわ

水竜たちはここから西に行くとある洞穴のような場所で出入口に檻をされて閉じ込められている、周辺を索敵して三体の丸っこい機械……デヘンを二回りくらい小さくした機械と、ドローン型の機械が警戒していたの」


「随分と見張りが少ねぇんだな?」


「ええ、怪しいと思って調べてみたら付近に壊された機械がゴロゴロ落ちていたの、恐らく水竜が暴れて数を減らされたようだわ」


「さすが!なら今救出するのが絶好のチャンスだってわけだな?」


「アタシはそう思う」


「なら直ぐに向かおうでござる!」


「ワンワン!」


「キューン!」


「……どうしたの………シン?」


「いや、本当に今がチャンスなのかな……?って…」


「シンの言いたいことは分かるぜ…元々は大勢で警備していたが現在は手薄、少数でも諦めていないところを見るに必ず増援は来る。だが、今敵の数が少ないのは間違いねぇんだ、これから来る増援が強敵だった場合、足場の悪いこの沼地では俺たちは完全に手出できなくなるぜ?」


「そうだね……皆の言う通り今が最大のチャンスだ、増援が来る前に水竜たちを助けよう!」

シンは迷いを捨てて覚悟を決めた


「キューイ!今から君のお父さんとお母さんを助けに行こう!!」


「キュンキューン!」


「敵は少ねぇが油断せずに行こうぜ?」


一行は西に進み出した。


◆◆◆


洞穴で首を丸めて休んでいた二匹の竜は、微かな声を聞いて首を上げる、その目は二匹とも東の方向を真っ直ぐ見つめていた。


「ム?ナンダコイツラ、キュウニカオヲアゲタゾ??」


「ホントダ、オトナシクナッテタンダケドナ」


「マア、アバレルヨリマシダロ」


「タシカニ」


機械たちの会話など1ミリも興味を向けずに水竜たちは東を見つめ続ける

すると、


「キューン、キューン」

と鳴き声を上げ出した


「ウオッ!?」

「ナンダナンダ??」

「キュウニナキダシタゾ?」


「ナカマデモヨンデルノカ?」


「ソレハマズイ…」


「ダマラセルゾ」


機械たちは檻の外で何やら四角い箱の前に移動してスイッチを押す


「ライゲキ、オン」


バチバチッと音を立てて檻の奥がチカチカと光る


「キューー!!」


懸命に鳴いていた水竜が電撃で力なく首かま地面に倒れる


「ヨシ、ダマッタナ」


「コレデ ヨルマデハオトナシイナ」


「ケイビニモドルゾ」


「シカシコンナトコロニテキガクルノカ?」


「ウルサイ、ソンナコトオレガシルカヨ。チャントヤッテレバイインダカラソレデイイダロ」


「ソレモソウダナ」


「イイカラハイチニモドレーー」


強烈な電撃で遠のく意識の中で二匹の竜の眼はただただ機械たちの顔を忘れないように睨み続け、とうとう意識を失った


◆◆◆


洞穴の外辺りは暗くなり始め、東から数人がなるべく音を立てないように近づいていた

「ここか?」


「ええ…あれが洞穴の入口よ、奥行もそんなにないから檻を壊せばすぐに脱出させられる」


「まずはあのドローンを何とかしなくちゃならねぇな……」


洞穴の周辺を等間隔で飛ぶドローンを見つめながらコールが言う


「銃は音が大きすぎるけど、近接で三体同時は難しい気がするね……」


「私に任せなさい?」


「え?……コメットさん??」


コメットはそう言うと、ドローンが周回する場所へ移動し、見つからないように何かを刺し、戻ってきた


「これでいいわ」


「あれは……槍?なんで槍なんてを刺してきたの?」

スコープを覗き込みながらセレナが疑問を投げかける


「セレナ?見た目だけに囚われてはダメよ?

あれはこうやって使うの、よっ!!」


コメットがエア背負い投げをすると、槍を刺したところから泥が少し飛び、ちょうど上を飛んでいたドローン三体が串刺しにされてこちらまで飛んでくる


ヒューン ベシャッ

ショウたちよりも遥か後方に落ち、ドローンたちは沼に沈んで行った

「こんなものね」

「すっ、すごい……」

「完璧な空間把握でござる……」

「アタシも負けてられないわ……」


「よし、行こう!」

「ええ、あとは丸い機械三体よ、位置は大体わかってるから極力戦闘は避けて救出を優先しましょう!」


セレナの指示に全員が頷き行動を開始する、三体の機械は洞穴の開口部をこちらも等間隔で並んで警戒しているが、周辺はゴツゴツとした岩が沼の所々から飛び出ており、綺麗に横並びになれず、死角も多くとても三体でカバー出来るものではなかった


「キューイが目立つから洞穴の真裏から壁に沿って入口に接近しよう」


シンが小声で提案し、全員がゆっくり頷いて同意した

岩を上手く使い、見つからないように出入口へと近付く、何とか全員が発見されることなく檻の前まで到着した。


「ここからどうする?檻を外すのには必ず音が出るぞ」


「うん、この檻には扉のような構造は見当たらない。多分連れて行く時は壊していけばいいと考えられてるみたいだ……」


「壊すとなると戦闘は避けられませぬな…」


「よし、陽動作戦で行こう!

アンバーとセレナは少し戻って相手に気付かれない距離で飛んで上空で待機!

周辺の警戒と緊急事態になったら応援をお願い!!」


「任せなさいっ」

「ワフッ」


「デヘンさんとキューイは真ん中と一番近い機械を破壊して欲しいんだ」


「任せるでござる」

「キュイ」


「コメットさんは合図したらここから反対側にいる機械を糸で拘束してください」


「あら?こっちは破壊じゃないのかしら??」


「いや、なんで水竜を捕まえたのか、理由を知りたいんです…」


「捕まえて吐かせるのね?分かったわ」


「シンとコールは檻を破壊するのを手伝って」


「おうよ」


「僕に任せて、ショウ!」


「それじゃ、みんな配置について!パパっと終わらせてすぐに脱出しよう!!」


◆◆◆


洞穴の上部によじ登り、コール、シン、ショウの三人は破壊工作を開始していた


「威力を考えりゃあ、この間隔でイケるはずだぜ?幸い格子の下は固定されてねえ、ここを壊せば重力で落ちる」


「うん……そうだね!あとは落下予測地点だけど……」


「それならみんなに当たらない位置で落ちる計算だから問題ないと思う!」


「ありがとう!準備万端だ、降りながらみんなに連絡しよう!!


「おう」


「みんな聞いて、檻破壊の準備が整った。まずは檻を設置した爆弾で破壊して敵を動揺させる、そこからキューイたちの出番だよ!」


「こっちはいつでも大丈夫でござる!」

「キュイ」


「私も準備いいわよ〜」


「それじゃ、作戦開始!」


ドドーン

突然の爆音、背後からの突然の爆発で機械たちは驚きのあまり跳んだ

「ナッ、ナンダッ!?」


「オリガコワレルッ」


「コッチニタオレルゾ!」


「ハナレロハナレロー!!」


ズズン……

檻が付け根から崩れ落ち、沼の中に沈んでいく

「よっしゃあ!沼のおかげで邪魔な檻も沈んだぜ」


「これで水竜たちも泳いで脱出できそうだね?」


「ナンダコイツラ!?」


「ドローンタチハナニヤッテルンダ、アノポンコツメ!」


「トニカクタタカウーーグヘェッ」


「背中がガラ空きでござるぞ?」

デヘンの青い機体が一瞬で背後を取り両腕で左右から挟み込んで敵機をペシャンコにする


「コイツキュウニアラワレヤガッーーゴボァッ!?」


「キューン!」

すぐ横にいた機械も音を立てずに現れたキューイに顎ハンマーで沼に沈められて水没する


「マダスイリュウガイタトハ…コレデハブガワルイ……ニゲッ」


「あらぁ?どこへ行こうと言うのかしら??」


「イッ…イツノマニ……!?」


最後の機械もコメットの糸でギチギチに拘束される


「ショウ殿、終わったでござるよ?」


「ソイツは後からで!まずはキューイのお母さんとお父さんを救出しよう!!行くよっキューイっ!!」


「キューン!」


ショウはキューイの背中に乗り、洞穴の奥へ進む、奥行は狭くすぐに壁際に着く、そこを見ると二匹の水竜がボロボロの状態で倒れていた

「!?」

「キューン、キューン」


キューイの声で二匹が目を覚ます、その顔は非常に疲れていた

「キュン……キュン……」


「何でこんなことを!!」

ショウは拳を握りしめ怒りを抑え込む


「キューン…」

心配そうに父と母を舐めるキューイにハッとしてショウは我に戻る

「キューイ!とにかくここから出よう」

「キューイのお父さん、お母さん!ここは危険だ、今すぐ出るよ!動けそう??」

ショウの声に二匹の水竜は首を上げ、頷く

「よし、じゃあ早速出発しよう!」


洞穴から出るとシンやコールがソワソワしていた

「やべぇぞショウ!セレナからの連絡で機械軍の増援が北から接近中らしい」


「今すぐここを離れよう!」


「とりあえずホバーのある岩場まで戻ろう!」


「急げ急げぇ!!」


◆◆◆


「なあに?この有様はーー」


「水竜も居ないし機械も全て沈黙してる、報告ではまだ数体はゴミが居たはずだけど?」

「ナーガ様、マダ動けるモノがいました。」


そこには泥まみれになった機械がかろうじて稼働していた。

「そこのゴミ、何があったか報告しなさい?」


「ゴミよ、最後の仕事ダ」

そういうと泥んこ機械を掴んでいたマシンが自分の機体から延びるケーブルをジャックに差しデータを移送する。

「記憶読み上げマス。水竜を捕獲シ警備中にウィルスどもに襲われましタ。水竜は奪ワレ、ウィルスとともに逃走しまシタ。警備部隊は御覧の通り全滅デス。」


「はあ......やっぱりウィルスの仕業なのね?もういいわ用済みよ」

親玉と思われる機械がそう吐き捨てると、何かに噛み千切られて泥の機械は沈黙した。


「まだ一つ報告が残っているようデス」


「ふーん、言ってみなさい?」


「ウィルスどもの中に人間の少年が紛れておりまシタ、報告は以上です。」


「ゴミでもたまには使えるのね?

......人間の少年、べレムナイト様の今一番欲しているモノ.........

フフッ、このチャンス逃す手はないわね。

全機鰐兵は明日の明け方から捜索を開始しなさい?

手負いの水竜を引き連れてそう遠くへは逃げられないはず

この沼から何も逃がしはしないわ」


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