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第二十六話「裏切り」





修復は夕方から始まったこともあり、軽微な者たち二十二名はその日に完了し、残りの八名は翌日から順次行うことになった。


「ブハァ〜、やっと終わったよ〜!」

「お疲れ様、ショウ!」

「シン、ありがとう。」

「大したもんだぜぇ、ショウ!」

「コールもありがとう。」

「ショウにしては頑張ったんじゃない?」

「セレナもありがとね?」

「セレナ可愛いわぁ!」

「コメットさんもありが――えぇぇ!?」

「うふふっ、どういたしまして〜♪」

「そのまま行くんだ……。」


「フェムニカからずっと荒野を走り抜けてきたから、砂まみれだし、お風呂に入ろうかな?」

すかさずセレナがコメットの肩から降りる。


「それは名案ね! 私が見張っておくから、安心して入りなさいよねっ!!」

「いや、こっち見ながら何を見張るのさ……」

「べ、別にアンタの裸が見たくてこっちを向いてるわけじゃないんだからねっ!」

「そりゃそうだけど……じゃあなんでこっち見てるの?」

「こっ、これはそのっ……危ないから……そう!ショウが転んだら危ないから見張ってるのよ!」

「いや、セレナの体じゃ受け止められないでしょ?」

「うるさいっ!!」

「はいはいセレナ、男の子の裸なんてマジマジ見るんじゃありませんっ。髪を梳かしてあげるからぁ〜、あっちのお部屋に行きましょぉ〜ねぇ〜?」

「ママ離してっ! 離してってば! 離せぇ〜〜!!」

「ほぉら暴れないのぉ〜。」

「……やっと行ったか。」


「それよりショウ、お風呂なんてどうやって持ってきたの?」

「お風呂というか、プールみたいな感じなんだけどね。」


そう言うとショウはバックパックの下側を開き、空気の入っていない青無地の子供用プール型浴槽を広げた。


「バレッタさんの部屋に招待された時に、使えそうだなって思って、お願いして貸してもらったんだ。」

「よく貰えたな。」

「ううん、“貸して”もらったんだよ? バレッタさん、『返す前に最後使ったら洗わず返して!』って言ってた。なんか拘りがあるのかなぁ?」


コールとシンはショウに聞こえないように話し合った。


「……絶対よくねぇ事だな。」

「……だろうね。」

「…止めるべきか?」

「絶対に。」


「どうしたの?二人とも?」

『絶対に洗って返すように!』

「え?……でもバレッタさんが……」

『いいからっ!!!』

「わ、わかった……そうするよ……。」


バレッタの欲望は、此処で潰えた。(グヤジィィィ!)


「エアベッドを膨らませる時に使ってるコンプレッサーを接続して、スイッチオン!」

空気が入り、浴槽が形を成す。


「浄水性能付き水筒を改造して、浄水性能付きポンプでアジトの近くにあるオアシスの水を汲むっと。」

「凄いねこのポンプ……でもこれじゃ冷たい水じゃない?」

「フフフ、良い方法があるんだよ! シン、ブレードを展開してくれない?」

「……? いいけど……『ブレード!』」

「じゃあそのブレードの先端をプールに入れてくれるかな?」


ジュゥゥゥウウウ……


ブレードが水に入ると、一瞬で湯気が立ち上がった。


「もうおっけいだよシンっ!」

「このブレードにこんな使い道が?」

「この刃はすごく強い熱エネルギーで構成されてるからね、意外と便利だよ?」

「バカみてぇな使い方だな。」

「いやいや、コール!これを使えば敵との戦いで有利になるかもしれないよ?」

「いい湯で敵に勝ててたまるか。」

「もっと深く考えてみてよぉ〜。」

「時間の無駄だな。」


「じゃあぼくはお風呂に入るから。」

「ぜったい使えるってぇ〜!」

「いつまで夢見てやがるこのバカシンは。」

「ええぇぇぇ〜!」



---


翌日、ショウたちは昨日と同じ部屋でハデッドと話をしていた。


「現状、ラグナロク・レイダーズの拠点は分かっていません。奴らは私たちの動きを何かしらの方法で読み、裏をかいて逃げていきます。我々だけではにっちもさっちも行きません……ショウ様、どうすれば良いのでしょうか?」


ショウが頬杖をつきながら考え込んでいると、外からドタドタと音が響き、一人の人機が飛び込んできた。


「略奪者共のアジトが分かったでぇ!!」

「サラ!本当か!?」

「マジやっハデッド! あいつらはこっから西行ったところの谷底に拠点を持ってるで!!」

「でかしたぞ、サラっ! 大手柄だ!!」

「ウチだけの力やない……皆のお陰や…。」

「謙虚な姿勢まで……君は最高な妻だよ。」

「そ、そないなことっ……」

サラはモジモジと声が照れの音に変わる。


「早速アジトに向かって奴らを制圧しよう!」

「屑の所に行くの? いいわぁ粉々にしてあげる。」

「うっし! いっちょ壊滅してやろうぜぇ!」

「はい! そうしましょう!!」


「ちょっと待ってーなハデッド!」

「……どうしたの?……サラ?」

「あんたまた全員で突撃する気やろ? そんなんしとったらまた裏かかれて終わりや!」

「……それは、そうだけど。」

「ウチから提案がある。すぐに襲撃する組と、退散する敵を包囲する組を分けた方がええと思うんや。」

「ほんとに分散して大丈夫かな……。」

「大丈夫やっ! こっちにはコメットさんたちもおるし、それにショウ様が攫われる可能性もゼロやない。しっかり分散せぇへんと穴つつかれるで!」

「……分かった! その作戦で行こう!!」


「そうだなぁ、こっちは奇襲っつうアドバンテージがあるし、しっかり作戦立てりゃ少数でも十分壊滅できると思うぜぇ。」

「まずはそれぞれのメンバーを決めよう! ショウ様の護衛として拠点で待機する者も考えて――」



---


拠点待機組

ショウ、セレナ、ボウリー、その他5名


奇襲組

コメット、コール、ハデッド、ジェフ、その他10名


奇襲・救援組

シン、サラ、テンス、その他9名



---


「よっしゃ! これなら奇襲に失敗しても、遅れて攻撃を仕掛ける組が援軍として機能するやろし、ショウ様の方もこんだけ人手を割けば避難くらいはできるんちゃう?」

「ぼくのせいで戦力を減らしてしまってすみません……。」

「ショウ様、どうか思いつめないで下さい。あなたにはあなたにしかできないことがあります。」

「……ぼくにしか……できないこと?」

「そうだぜぇ、ショウ! おめぇは俺たちの希望だ。戻ってきたときにお前がいないんじゃ、体張って帰ってきても誰が機体を直してくれんだぁ?」

「そうだよショウ! 僕たちは必ず戻る。でも、どこも壊れないで帰ってこれるわけじゃない。帰ってきたら存分にみんなを直してほしいんだ。これはショウにしかできないことだよ!お願いできるかな?」


ショウは軽く考えを巡らせたが、自分の必要性を理解し、納得した。

「……うん!わかった。ぼく、待ってるから!きっとみんなで帰ってきてね!!」

「おう!任せとけ!!」


そして、各チームはそれぞれの配置についていった。



---


「そういやコメットよぉ、セレナを置いてきて本当に良かったのか?」

「ええ、あんな屑を娘に見せたくないわぁ~、首だけ捥いだら連れてくつもりでいるの、安心してっ!」

「何一つ安心できねぇな...」

「歓談中にわりぃっ」

脇から声が聞こえる

「ジェフだ、よろしく頼む。いっちょ暴れてやろうぜ!」

「ご丁寧にどうも」「おう!よろしくな!」

「皆さん、そろそろ例の谷に到着します。突撃予定は一時間後です。準備を整えておいて下さい!僕はズーム機能で拠点の詳細を把握してきます。」

「俺もいくぜぇ」



「外周に三人、内周の正面に一人、建物内は不明。入り口は正当なものが正面の一つ、構造上裏口がありそうなのが二か所、まさかこんなところに少数で潜伏してるなんて......」

「少ねぇほうが移動は楽だしな。これなら増援も要らねぇんじゃねぇか?」

「よしっ!皆のところに行って、作戦を立てます。」


そして、準備を整え、一時間が経過した。


「皆さん準備はいいですか、これよりレイダーズのアジトに突撃します!これ以上奴らの好きにさせる訳にはいきません、今日で終わらせましょう。」

全員が静かに頷く

「では、突撃しますっ!」

一行は外周の敵三人を背後から近付きテイクダウン、内周の一人をコールがバラバラに分解する


「外回りは制圧したな」


「敵が脱出した場合の抑えで二名二組を配置します、どちらも信号弾を配布。何かあればすかさず発射するように」

「了解!」

「では我々は正面から突入します!!」


ドカンッ!扉が爆発で内側に吹っ飛んだ、十人が整列して雪崩込み、横一列に展開して火力を発揮しようとする。


「誰も……居ねぇ……?」

アジトはもぬけの殻だった。正面の広間も、奥の部屋も、人の気配が全くしない。


「クソッ!!逃げられたかっ!」

「おい!ちげぇぞ!!」

「?」

「さっきまで人が居たどころか、この埃の積もり具合……何年も使われてねぇ。」

「だが確かに仲間の情報が……」

「そんなことはどうでもいいわ!セレナが危ないっ!!」


コメットが駆け出そうとしたその瞬間――床が大きく開いた。


「まさかっ……!!」

「おいおい……」

「めっちゃくちゃ罠じゃねぇ〜か〜!!!」


サラ

弓使い、〇PEXの弓みたいなのを使います

大阪弁、女性人機でハデットの妻


ジェフ

どこぞのビックボスみたいにかっこいいイケおじ人機、背中にワイヤーガンと腰にハンドガン二丁の凄腕兵士


テンス

アサルトライフル使い、楽観的、面倒くさがりな性格


ボウリー

短剣と電気ロッドを使う、忍者のような立ち回りが得意


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