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第十五話「クリムゾン・ウィドウ」

コールは敬語を使われるのが苦手なので、ホバーを作るときにショウにもため口でしゃべるようにと伝えております。


 開けた荒野を、一台のホバー戦車(下半分だけ)が高速で進んでいた。


「うおぉぉぉぉ!はぇぇえええ!! 決めた、こいつの名前は“ホバー”だぁ!!!」

「これなら思ってたより早く拠点や街に着きそうだね」

「任せろぉ! どんどん飛ばすぜぇぇえ!」

「それにしてもビックリしたよ。こんな凄い乗り物をショウが一人で作っちゃうなんて!」

「えへへ、まあ、材料が重すぎて二人に運んでもらったけどね」

「それでも十分すごいって!」



---


「これから別の拠点や街を目指すんだよね? その場所ってここから結構遠いんじゃないの?」

「そりゃそうだけど、その“いい考え”ってのと関係あんのか?」

「うん、これから乗り物を作って、それで向かおうと思うんだ」

「作る……?」

「さっきのショウの加速や、俺のこの武器の作成。いったいどうやったんだ? 説明してくれよショウ」


「さっきシンが渡してくれたこれで作ったんだよ!」

ショウが小さな円柱の機械を取り出して、二人に見せる。


「リペアツール……でもこれは人機の修復用の装置のはずじゃ……」

「そんなことないよ! この装置はもともと“どんな機械でも直せるし作れる”ツールで、ダン隊長はそれを人機の修復用に改造したんだ!

 これでクーパーさんにもらったリュックに、ゴミ山で拾ったミニロケットブースターを取り付けて加速したんだよ。アイデアは、ボン爺が助けてくれた時の動きをマネしてみたんだ!」


「なるほどなぁ……そんで俺のこの武器も作ってくれたってわけか。助かったぜ、ありがとよ!」

ショウが照れくさそうに頭をかく。

「ショウ、君は……いったい……」


「とにかく、これでここにあるパーツを使えば乗り物ができるってわけ! 二人とも、手伝って!!」

「そういうことなら、俺にまかせろぉ!!」

砂を巻き上げながら一行は猛スピードで進んでいった。



---


「そういえば、次の街ってどんなところなの?」

「そうだなぁ、ここからなら“フェムニカ”が次の街になるだろうな」

「フェムニカ……そういえば僕、拠点以外の場所なんて初めて行くよ」

「そういやそうだな……せっかくだから教えてやろう。フェムニカは三十代の女の意識が入った人機が集められた街だ。昔は“女の幸せの街”――『愛都フェミリア』って呼ばれてた。愛の都と書いて“愛都”だ」

「愛都……」

「当時、軍人は一番稼ぎがよくて、その妻になりゃ一生安泰って言われてた。だが夫はなかなか帰ってこねぇ。育児も手伝えねぇ。孤独になって、離婚することも多かったんだ。

 それで軍施設の横に自然とできた街――それがフェミリアさ」

「そうなんだ……」

「まあフェミリアなんて昔の話だけどな! 今は“フェムニカ”だ!」


「そういえばエクスペンダブルズ・ホームは“拠点”だけど、フェムニカはなんで“街”なの?」

「ああ、それはな――」


(ズズゥゥゥゥンッ)

地面が揺れた。近くで地響きが起こる。


「もう追手が!?」

「いや、追手なら後方から音がする。今のは前方だ!」

「ねえ見て! 誰か戦ってるみたいだよ!」


砂煙の中、長い何かと四つの紅い人影がぶつかり合っている。


「あの紅い機体……間違いねぇ、“クリムゾン・ウィドウ”だ!」

「クリムゾン・ウィドウ?」

「フェムニカの防衛部隊だ! 助太刀すっぞ!!」


コールがさらにスピードを上げ、砂煙の中に突っ込む。



---


(ゴォォォォォ!)

横から迫る轟音。赤い機体たちは後方に跳び退った。


「横っ腹にアターーック!!」


長い“何か”の側面にホバーが突っ込み、土煙を巻き上げる。

そこに現れたのは――サンドワームのような巨大機械だった。


ワームが衝撃で口を開ける。奥に赤い球体――コアが見えた。

紅い機体たちが一斉に銃口を向け、(ビュゥゥン! ビュゥゥン!)

レーザーがコアを貫き、ワームはのたうち倒れこみ、動きを止めた。


「うおぉぉぉ! やったぜ、見たかこのヤロォー!!」

コールがワームの上に立って勝ち誇っている。


シンがホバーからショウを降ろそうとすると、紅い機体たちが近づいてきた。


「助太刀感謝する。我々は人機軍拠点《赤薔薇レッドローズ》所属、防衛部隊クリムゾン・ウィドウだ。

 助けてもらった身で申し訳ないが、あなた方はどこの所属か?」


「僕たち、人機軍拠点エクスペンダブルズ・ホーム所属“ガラクタ部隊”のシンとコールです。そしてこの子が――生身の人間、ショウです」


シンはホバーからショウを抱えて降り、彼女たちの前に立つ。


「生身の人間……だと?」

「うそ……」「ほんとに!?」「しかも子供っ!?」


紅い機体の表情は動かない。だが、声には明らかな驚きがあった。


「(咳払い)すまないが、事情を聞かせてもらえるだろうか?」


――シンは、これまでの経緯を話した。


「なるほど……事情は分かった。まずは我々の拠点へ向かおう」

「その前に……えっと、皆さんのお名前は?」

「そうだったな。私はマーシャ。《赤薔薇レッドローズ》で副官を務めている。そしてこいつらが――」

「私はシェルン。よろしくね、ショウ君!」

「…エリナ……よろしく」

「あたいはメルダ。よろしくな、坊や!」

「はい、よろしくお願いします!」


「それじゃ行こうか。拠点はこの先だ!」

「あのっ!」

「なんだ?」

「よかったら、これに乗って行きませんか?」



---


(ゴゴゴゴゴ……)


「なんだいこりゃ、めちゃくちゃ早いじゃないかい!」

「爽快だねぇー!」

「……楽ちん」

「まさかこんな便利なものがあるとは……」

「それだけじゃねえぜ! こいつはショウが作ったんだ!!」

「えぇっ!?」「本当に君がこれを?」

「はい、本当です。ぼくが作りました」

「にわかには信じられんな……」

「副官、見えてきました!」


「そういやショウ、さっきフェムニカが“街”なのはなんでか聞いてたな。

 まあ、もう大体気付いてるだろうが――アレが理由だ」


 目の前に広がるのは、フェンスで囲われた滑走路。

 その奥には三階建ての廃墟、さらに遠くには、寂れて人の気配を感じないビル群が立ち並んでいた。


「フェンスで囲われた、かつての軍事施設。その地下にあるのが《レッドローズ》だ。

 そしてその奥、ビルが並ぶ廃墟――あの地下が《フェムニカ》だ。」


「フェムニカ」は feminine(女性的) と mechanica(機械)を合わせた造語です。


クリムゾン・ウィドウ

人機軍拠点《赤薔薇レッドローズ》所属の防衛部隊

見た目は全員〇PEXのアッシュをもっと可愛くした感じ

それぞれを間違えないように装飾が若干違っている。


マーシャ

赤薔薇レッドローズ》で副官を務めている、礼儀正しい人物、武器はなんでも使えるがブレードが一番好き、装飾は左上腕に腕章をしている。


シェルン

赤薔薇レッドローズ》の隊員、明るく気さくな性格、得意武器は両腰にあるリボルバーと鞭

装飾はテンガロンハットを被っている。

鞭は映画○ングスマンの二作目にいたカウボーイの人が使うやつと同じような仕様


エリナ

赤薔薇レッドローズ》の隊員、無口だけどちょっと目立ちたがりな性格、得意武器はショットガン

装飾はマフラーをしている。


メルダ

赤薔薇レッドローズ》の隊員、ガサツで大雑把な性格、得意武器はガンハンマー

装飾は額にバンダナとガンハンマー用の弾丸を肩から掛けている。(ショットシェルベルト的な、でも弾はグレネードランチャー弾くらいの大きさ)

ガンハンマー、確か○ンハン2Gとかにこんな武器あったな


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