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第十四話「追手」


狭い避難経路を抜けて、拠点の裏手に出た三人。

大きな岩をぶった切ったような岩壁と岩壁に挟まれた道を進み、やがて開けた場所に出る。

そこは拠点がまだ地上にあった時の名残がある場所だった。旧式の機械パーツがそこら中に山積みになったゴミ捨て場。

物陰に隠れて進みたいが、ゴミ山は手前で途切れている。


(キラッ)

上空で何かが光った矢先、(ドゴンッ)(ドゴンッ)と広場の真ん中に二体の機械が落ちてきた。


戦闘機械(アレス)!!」

「もう追ってきたのか!?」


敵は静かにこちらを眺めていた。


「完全に俺らを甘く見ているな」

「それなら勝機はあるかもしれない.....」

「どういうこと?」

「とりあえず、ショウはあのゴミ山に隠れてて!」

「考えがあるならやってみろ。俺は左の一体を潰す!」

「ああ、わかった。特訓の成果を見せてやる!!」


二人は一斉に走り出し距離を詰める。

コールはふくらはぎ側面に収納していたククリナイフの二刀流で敵の刀のようなブレードを受け、捌き、反撃しの攻防を繰り返している。


「オラァオラァ!兄貴たちの仇だ死ねぇ!!」


シンは素手で一直線に突き進み、敵の真上からの一刀両断が迫る。


「シンッ!!?」

「大丈夫だよショウ!」


冷静な声のシンは、気づけば敵の背後を取り、回し蹴りで敵を吹き飛ばす。

そしてまた走り出し、よろめきながら振り向いた敵にドロップキックをお見舞いした。

敵は近くのゴミ山の中に埋もれていった。


「よし、いける!」

「おいおい、やるじゃねえか........」コールが戦いながら感心する。


一瞬の隙をついて、ゴミ山から敵が突っ込みシンの胴を薙ぎ払う。

寸でのところで体をひねり、峰打ちが当たる。


「ぐあぁぁー!!」

「シンッ!」


ショウの近くの壁まで吹き飛ばされたシンが、すかさず止める。

「来るんじゃない!!」

「でも.....」

「僕は大丈夫だ。それよりこれを預かってくれ」

シンがショウに何かを投げ渡した。


「これは?」

「ダン隊長から貰った、リペアツールだ!衝撃に弱いから気を付けて!!」

「わかった!」

ショウはそれを強く抱きしめて持っていた。


「隊長、実戦で成功させます!」

シンは覚悟を決めて立ち上がった。


その時、ダンの言葉が頭をよぎった――



---


「君の右アームは”光学ブレード”だ。『ブレード』と言うと、前腕に取り付けられた菱形のパーツが開き、指先の方へ標準で幅十五センチ、長さ一メートルのブレードを展開できる。また『シールド』と言うと、菱形のヒーターシールドに変形する仕様になっている」

「隠し武器.....ですか?」

「敵は君を非戦闘人機だと思っている。これならば戦闘が苦手でもなんとかなるはずだ。足パーツにはホバー移動用のパーツを組み込んである。これで回避をして、接近し、敵の前面、胸部にあるコアを破壊するんだ」


(ブンッ、ブンッ)

敵のブレードが空を切り裂く。

シンのボディに全く攻撃が届かない。

シンはスケートをするように避け、敵のバランスが崩れるのを待っている。

再び背後に回り込み、足をすくい取ってジャイアントスイングで投げ飛ばす。


「ポンコツだってやるときはやるんだよ」

腰に手を当て、自信満々に呟いた。

「す、すごい……!」


(ドドーン)

シンとは反対方向から轟音が響く。

そちらを見ると、片膝をついたコールがいた。


「武器が死んだ……こりゃやべぇな.......」

「(どうしよう....このままじゃコールさんが.......)」


焦りながらショウはふと、自分が大事に抱えている四角い金属の箱を見た。

物陰で少年はその箱を開いてみるのであった。


「なんでだろう.....これの使い方、多分わかる。」


少年は四角い箱から取り出した、太めのサインマーカーペンくらいの円柱を手に取ると、ゴミ山から材料を見つけて作業に取り掛かった。



---


「チクショー!頑丈すぎんだろぉ!!」

敵の攻撃をギリギリで躱し、後ろに下がりながら次の一手を考えるコール。

心の中で「(兄貴たちの仇も取れねぇ、仕舞にゃあいつ等が居ればと考えちまう......情けねぇぜ......。)」


敵が上段の構えで突進する中、横から声が飛ぶ。


「コールさん!これを使ってください!!」


敵より速いスピードで少年が距離を詰め、二つの獲物を渡す。

片方は柄に長い鎖がついた短いスティレット、もう一方は十手だった。


コールは二つを受け取ると、スティレットを右手に持ち、敵の方へ投げる。

しかし敵の右脇を掠ることなく通り過ぎる。

敵の上段切りが炸裂。

左手に持った十手で受けに行きながら、右手を引き寄せる。


そして敵は気付いた――

コールが既に投げたはずのスティレットを、右手に握っていることに。


「これで終わりだぁー!!」


スティレットが胸部のコアを貫き、戦闘機体は沈黙した。


「コールさんっ!大丈夫ですか?」

両手に握られている武器を眺めながら突っ立っているコールに、ショウが駆け寄る。


「こんな丈夫な武器がゴミ山に?ショウ、これどうしたんだ??」

「急ごしらえですけど僕が作ったんです」

「作った、おめぇが.....?いったい何がどうなって.......」


(ガシャーン!!)

すぐ横で衝突音。そこには転がって変なポーズになっている敵。

シンが足を突き出して転ばせたようだった。


「おい、シン、いつまでやってんだよ」

「いや、目の前に距離を詰めるタイミングがわからなくて」

「もうフラフラみたいだし、シンのやりやすいようにやってみたら?」

「僕のやりやすいように......か.......」


少し考えた後、シンは敵の前に立ち、合掌のポーズをとって走り出す。

敵の横なぎを、両足を揃えて仰向けにスライディングしながら避け、指先を天井に向けて肘を伸ばし叫んだ。


「ブレードッ!」


シンの右前腕から青白い光が出て、敵の股下から胸部の下部まで切り裂く。

シンが通り過ぎ、機械は膝から崩れ落ち、停止した。


「よっしゃ!急いでここから離れるぞ!!」

「ちょっと待って!」

「どうしたの?ショウ??」

「ぼくにいい考えがあるんだ!」

「いい考え?」


二人は首を傾げながらも、ショウの考えを聞くことにした。



---


ダンは執務室に来ていた。

コンソールの前に倒れるガタイのいい下半身の人機を眺めながら呟いた。


「まさかお前が逝ってしまうとは.......」

「後は俺たちに任せて、ゆっくり休むといい。そのうちそっちに行くからな。」


ダンは破損したコンソールに目を向け、部下に声をかける。

「データを解析しろ。カメラも確認して何があったか調べておけ。私は”マーカス”を呼んで敵をひきつけながら、少年たちが向かうであろう”フェムニカ”からできるだけ離れる。」

「はっ!」


「どうか無事でいてくれ……我々の最後の希望よ.......」




機械軍アレスの戦闘機体

見た目は空も飛べる二足歩行ロボット、戦闘機にも変形できます。

装備は刀みたいなブレードと小型ミサイル、機関銃、フレア(発光弾)ですが、三人と接敵したときには弾切れでブレードのみ


マーカス

人機軍掃討部隊の大型攻撃ヘリ、見た目は「AC6の惑星封鎖機構大型武装〇リ」

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