表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/28

第十三話「避難」

前回の話について補足ですが、ソールくんは既にコールドスリープされていたので除外されてました。


拠点上部の至る所で地響きが鳴り響く中、最深部の執務室で、大柄な人機が腕を組み、目を閉じていた。


すると、正面の重厚な扉が開き、二人の人影がとぼとぼと入ってくる。


「お前たちか。無事で何よりだ、近くに来い」


「ノールとトールはどうした?」


「…………」


「そうか……。」


「もうすぐシンも来る。三人で退避しろ。」


ショウが震える声で問いかける。


「……この襲撃は、ぼくのせいなんでしょうか?」


エドワードは答えず、視線を落とした。


「お前の存在が希望になるか、あるいは――再び絶望を呼ぶか。

それを見極めねばならん。」


そのとき、扉が再び開き、シンが滑り込んでくる。


「すまない、遅れた!」


その瞬間、通信端末が激しく点滅し、アナウンスが響いた。


『――報告。内周のセンサーに反応、未登録機体接近中――』


エドワードの瞳が鋭く光る。

「……来たか。」


シンが即座に構えを取る。

「敵ですか!」


「ああ、“奴”だ。」


エドワードは二人に命じる。

「シン、コール。少年を連れて退避しろ。奥の格納区画に避難経路がある!」


「了解したぜ、工場長!」


「でも、工場長は――!」

シンが叫ぶ。


「いいから行け! ここは私が抑える!」


ショウが声を張り上げた。

「待って! 僕も戦う! 僕だって――!」


エドワードは首を振る。

「戦うことだけが強さじゃない。

生きて、見届けることもまた――戦いだ。」


直後、外から轟音が響き、扉の奥で爆発が起こった。

床が激しく揺れ、赤い警報灯が点滅する。


シンはショウの腕を掴む。


「行こう、ショウ!」


格納区画に繋がる通路を走りながら、ショウは振り返った。

炎と警告灯の光の中、エドワードの姿が遠くなっていく。


――その大きな背に、言葉にできない温もりを感じた。


ショウの胸に、言葉にならない想いが渦巻く。

だが、それを確かめる時間はもうなかった。


次の瞬間、拠点全体を揺るがす大爆発が響き渡った――。



---


「ふぅ……これで、ここから離れるまで足止めできるだろう。」

海賊の大砲のような塊を片手で持ち上げながら、エドワードは静かに呟いた。


ショウたちの向かう道へ繋がる出入口は、完全に崩落していた。


(ウィーーン)

機体の上半身半分が無くなった漆黒の追跡者が、扉からぎこちなく姿を現す。


「随分と遅かったじゃないか、ベレムナイト。この顔の傷の恨み、存分に晴らさせてもらおう。」


「このタイミングで貴様が相手とは……全く困ったものだ。」


(指令だ。アレスの二機は戦線離脱。逃げた生命体達を上空から追え。)

(了解。)


「大事な手駒を二体も離すとは、我々を舐めているようだな。」


「消耗品に手をかけていられるほど、暇ではないんでな。」


エドワードが全体アナウンスを送る。

「全作業員に次ぐ! 消耗品の意地を、奴らに見せてやれ!!」


「行くぞぉ!」

「…………」



---


天井を突き破った巨大な機械の内部から――

(ゴンッ、ゴンッ)と叩く音がする。


(ガコンッ!)

メンテナンス用のハッチが吹き飛び、中からバレーボールほどの頭部に、四脚の足がついた小型機械が顔を出した。


「ヤットデレタゾ!」

「ホントカ?」

「ハヨイケハヨイケ!」

「テキハドコダ?」

「トツゲキー!」

「バカオスナ!」


五つの鉄塊がコロコロと穴から転がり出て、横一列に並んで倒れる。


「グエェ!」

「アバッ!」

「ムベッ!」

「ングッ!」

「ゴガッ!」


「ダカラオスナトイッタダロウ!」

「イッセイニデヨウトシタノガワルカッ!」


すかさず横から何かが迫る。

「グサグサグサッ!」


ダンは横に置いてあった先の鋭い鉄パイプで、それらを串刺しにしてヒョイと捨てた。


「これだけの巨体だ、沢山敵が詰まっているな。」


「はい、隊員数名と残っている拠点の人機で抑え込まなければなりません。」


「まずはこのデカブツを外に出すぞ。」


「え?」


ダンは、天井から生えた円柱の先端に両手を当て、脚を開いた。

足の側面からアウトリガーが展開し、地面に固定される。


腕部、肩部のブースターがゴゴゴッと火を噴く。


「私はオーバーヒートで数秒動けん、横から漏れた敵は任せたぞ!」


その瞬間、爆音が響く。


バコーン!!!!!


煙が晴れると、天井には大きな穴だけが残っていた。


「残党を狩れた者から地上へ向かえ! 内部を破壊しきるぞ!!」



---


(ガキンッ、ギィイインッ)

普段は静寂に包まれている執務室から、金属が激しくぶつかる音が鳴る。


「その状態で、よくもまあ戦えるものだな。」

「………………」

「だがまあ、もう終わりだろう。」


エドワードがゆっくりと構え直す。


ベレムナイトの足パーツが分裂し、四本のアームが腰から生えた形になった。


「お前も私を舐めすぎだ。」


“嘘だろ?”と言わんばかりに目を見開いたエドワードは、一瞬構えを解きそうになるが、迫りくるベレムナイトを見てハッとし、再び構え直す。


防戦一方のエドワードが、華麗な受け流しで攻撃をいなしていく。


「手数が多くて、守ることしかできんだろう?そのままスクラップにしてやる。」


――(バキッ)(バキッ)(バキッ)(バキッ)

攻撃の最中、何かが壊れる音がしていた。


ベレムナイトが不思議に思い周囲を見ると、増やしたはずのアームが地面に転がっていた。


「どうやら元に戻ったようだな。いや、美脚になったか?」


エドワードが強烈な足払いで、ベレムナイトの脚部を破壊する。


「まあ――おぬしに美脚は似合わんがな。」


「ウィルスの分際で……!!」


(グシャッ)


残った半分の頭パーツが、エドワードの右腕と床のプレスでぺしゃんこになり、機能が停止した。


「……残念ながら分体だったようだな」


落ち着いたのも束の間、壁面のコンソールから(カタカタ)と操作音が聞こえる。


そちらを見ると、ベレムナイトの千切れたアームが単体でアクセスし、アンテナを立ててどこかに情報を送信していた。


エドワードはすぐさま近づき、アームを雑巾絞りにして落とす。

コンソールの画面を操作して確認すると――別地区のガラクタ部隊拠点位置情報が抜き取られていた。


「損失としては軽いが……対策は必要だ。連絡を急がなくては……」


エドワードが画面に集中しているその背中に、

――ピタリと、何かが張り付いた。


「……っ!」


背後から低い声が響く。


「私もさっき学習したんだがな? “油断”というのは、使える。」


「ベレムナイトォォオオ!!」


直後、眩い閃光とともに――


(ドゴォォォン!!)


執務室全体を揺るがす大爆発が起こった。



---


一方そのころ、シンたちは避難経路を通って、拠点の外に出ていた。


べレムナイトのしぶとさは、”G”.........?(見た目はかっこいいよ)


ダン隊長に張り付いていた小型GPSマシンは今回のアレで丸焦げの粉々になって消えました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ