表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/123

第71話 点と縄張り

成馬宮(なるまみや)城に続く道


「さて、どうやってアレに近づくかだが。」

 図体がでかいが、意外に早いのである。いや、でかい分早いのである。

 アリにとっては人間の動きが十分早いように、大ムカデの動きもこちらにとって早い。


「見た感じ、体を起こせば、堀から天守閣と同じぐらいはあるな。」

 チエノスケがギリギリ届くかと槍を投げるマネをする。


「花には矢では少々効果が薄いか。花の首は落とし切らねばならないからな。」

 グンカイは月の荒鷲では分が悪いという。特に遠距離では。


「ムカデの装甲がぶ厚い上に、(まと)があんなにぶれてはな。せめて止まってくれたならな。」


 ユーグは瞬きを忘れたかのように俯瞰図(ふかんず)を見つめている。

「シロちゃんここ!」

 ユーグがそう言うとシロウの目に浮かぶある領域が点滅した。

「ここが、どうしたのじゃ。ユーグ殿。」


「僕、あのムカデ、ここで停まると思う。」


「それは、どういう理屈でか?ユーグ殿。」


「うん、どうやって近づくかも大事なんだけど。なんであの花はムカデと一緒に動けるかを考えていたんだ。根っこがないのに動き回ると活動の源のような何かが尽きるハズなんだ。」


「うむ、なんとなく分る。」

 そう言われればそうだと思うシロウ。


「それに、たっくさんアダケモノを生み出しているよね。それには、ク海からの何らかの力や資源的なものの補充が必要だと仮定すると・・。」

 ユーグは指を一本あごに当てて考え込んでいる。


「待ってくれ、なぜ、そう仮定するのじゃ?」


「シロちゃん、新ちゃんに犬のアダケモノの死んだやつ送ってくれたでしょ。」


「うむ。送らせた。」

 ユウジが滝に落ちた時の話だ。ロクロウめ、そういう仕事はきちんとしていたのだな。


「あれ、僕、新ちゃんとよくのぞいてみたんだぁ。いっぱい種類のあるアダケモノの中で、犬型だけが親の花の外で、新しく咲く花の周りで動き回る。それでね、あのね、お腹を割ってみたらね。他のにはない部位があったんだよ。新ちゃんと僕は、これ、親からもらう力の源を溜めているんじゃないか思ったんだぁ。」


「それと同じものを大ムカデは持っているのか。」

 チエノスケが舌打ちした。

「うん、多分すごく大きいやつ。」


「つまりは、大ムカデは、親の花の縄張りに戻ると?」とマリス。

「うん。」

「力の補充に帰る訳じゃな。」とステラ。

「うん。」

 

 即座に双子龍姫(ステラマリス)探信音(ピン)を打った。


 瞳の中の俯瞰図にムカデが表示される。そして虎成(とらなり)城の位置、成馬宮(なるまみや)城の位置。


「縄張りを描くよ。新ちゃんの調べではこれくらい。」

 ユーグがそういうと虎成(とらなり)城の仇花の縄張りが城を中心に円で示される。その円の中に成馬宮(なるまみや)城は入っていない。つまりは成馬宮(なるまみや)城は直接、虎成(とらなり)城の仇花(アダバナ)の影響下にはないということ。


「それに、さっきまで戦って調べた大ムカデの花の縄張りはこんだけと思う。」

 俯瞰図(ふかんず)の上を歩き回る大ムカデを中心に円が描かれる。この円には成馬宮(なるまみや)城が含まれる。しかし、大ムカデは虎成(とらなり)城の仇花の縄張りの円には入っていない。


「つまりは・・・。」


 大ムカデはその頭の花の円が、成馬宮(なるまみや)城を襲うアダケモノが息をし、攻め続けられるように、成馬宮(なるまみや)城をその円の内に含んだまま、虎成(とらなり)城の花の円の内側に入るように動くはず。


 つまりは、補給もしくは補充をする場所は、虎成(とらなり)城と成馬宮(なるまみや)城を結ぶ直線と虎成(とらなり)城の円が交わる点。目見当だが、この点に大ムカデが来てもその花の縄張り内から成馬宮(なるまみや)城はギリギリ外れない。


 ヤツが停まるならここだ。ここしかない。


「ね。だからここに停まると思ったの。」

 ユーグの最初に指し示した場所はまさにその点だった。


「しかし、いつそこへ行くのじゃ?」ステラが言う。

「我々は良くとも、シロウ達も疲れが・・。」マリスが気遣う。


「もうすぐだと思うよ。だって僕たち、手下をいっぱいやっつけたもの。」

 ユーグが何食わぬ顔で言うと、俯瞰図(ふかんず)の上で、大ムカデの進行方向が件の点に伸び始めた。


 シロウは気づくとユーグを抱きしめていた。


「よし!我らも急ぎそこへ参るぞ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ