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第18話 食事と本質 


 そして

「こういう事もできるよぉ!」

 そういうとローラの光の羽が形を変えその小さな背中で渦を巻いて魔法陣を発現させる。


「さぁ!ご一緒に!」

 そういうと、ローラが腰をフリフリ踊り出す。


 ヴィィィィィイイイイン


 彼女の背中の魔法陣が回転し始めるとユウジの背中にもその大きさと同じくらいの魔法陣が発現(はつげん)し光り出す。


「せつぞぉぉく!」

 ローラが片手をあげてクルリ。

 ユウジは嫌な予感しかしない。


 ヴゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウン


「おわっ!ちょっ、なんだ?」

 ユウジの背中の魔法陣がが回転し始める。

 何をする気なんだローラ!


解放(パージ)!」

 ローラの左手が何か空中で掴んで弁を解放している動きをする。

 しかし、その勢いはいきなり全開放の回し方だろっ!

 

 グゴオオオオオォォォォォォ


 ローラが手首を回すごとに魔法陣は危険を感じるほど(うな)りをあげてきている。


 ヴゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン

 

 気儘な妖精(ローラ)は右手をグルングルン回してご機嫌だ。


回転制定(かいてんせいてぇ)ぇ!黒ふたじゅゅう!食事用意良しっ!」  

 ローラが叫ぶ。


 同時に洞窟の光の流れが変化した。洞窟中の波石から光が二人の背中の魔法陣に吸い込まれていく。

 

 緑や青の光、種類があるのか?


 ヴゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン

 魔法陣は絶好調に回転(しごと)する。


 キュィィィィィィィィィィィィィィン

 吸引力は衰え知らず!


「ね、美味(おい)しいでしょ?」

 ユウジのの顔の前でローラがニッコリと笑顔をふりまく。

 あなたは新妻気分(しあわせなの)ですか?とユウジは問いたい!


 いつからおままごとが始まった?とユウジは知らない!

 

 だめだ、これは笑顔の強制力(さぁたべて)だ!

 恋愛経験もないチャンバラ少年に(かわ)せる攻撃ではない。

 犬モドキなんて、子犬だ!あれはお遊びだったのだ! ユウジは涙ぐむ。


 情け容赦なく光の力の渦は背中の回転魔法陣を通して流れ込む。

「だああああああ!おっ美味(おい)しいぃい?」


「これ、私達の主食(ごはん)なのー」

 私達、相容(あいい)れない文化のようですねとユウジは主張したい!


 ヴゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン

 

 新妻気分(かんちがい)女の子(ローラ)は、遠慮なく食べ物とやらを突っ込んでくる。

「あわあわあわあわぁぁぁ!はあっ?」


 あれ、なんだか空腹が収まったような、いや急激に腹が(ふく)れてくる。

 いや、いけない。これは胃袋に直接、風呂おけか何かでお湯を注ぎこまれてる感じだ。


 これがぁ飯だとぉ?ユウジは目が回る思いだ。


 その時、その目の端に仇花(アダバナ)にそそぐあの紫の光の流れも吸収しているのが見えた。


 これは・・・そういうことなのか?ユウジは気がついてしまった。


ヴゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウン


「ぷはぁぁ!食った食ったぁ!」


シュゥゥゥゥゥゥウウウウ


 光る魔法陣は消え羽に戻り、ローラが腹を押さえてゆっくりと降下し始める。


「げぇっぷ!おぇぇえええええ!」

 ユウジは四つん()いになりむせた。

 背中の渦はもうない。

 気力ももうない。

 生きた心地もない。


「あらぁ、刺激が強すぎたかしらぁ?!」


「ご、拷問(ごうもん)に近い・・・」

 息も()()えだ。


「お兄さん、もしかして初めてぇ?」

 キラキラ光る小悪魔な発言に

「ローラ、君のことが少し理解できた気が・・するぞ。」

 ユウジは額の汗とヨダレを袖口(そでぐち)で拭いた。


「それともうひとつ、ローラさん。」

 涙目の旦那役は言っておくべきことがある。


「ご飯は静かに、楽しく食べるものです。」


「私、誰かとご飯食べたことないからぁ・・」


 新妻役(ローラ)の衝撃発言に、旦那役(ユウジ)(しょっ)(ぱな)から間違いを犯したことを即座に悟った。


「お、踊らなければいいよ。あと、もっとゆっくり回してください。」


 でも、最初に言うべきことは穏やかに話合うべき・・・と考えてユウジは自分が取り乱していることに気づいた。


 地面にへたり込みながら、辺りを見回すと光の流れはもとに戻っている。


 あの紫色の仇花(アダバナ)の光もだ。


 確かに見た。


 紫を含むこの洞窟全体の光、力の流れとやらを・・・・。


 食って満腹になった。


 これが、栄養源、活力の源なのだ。


 仇花(アダバナ)の栄養の流れを自らの食事として取り込む。


 つまりは・・・。


 ふと、マチルダとメルの方見る。


 目が合ったメルが静かにうなづいた。



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