表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~  作者: 兎森りんこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

88/107

夕飯のあとに※エイシオ視点

「ごめんねアユム、婚約破棄の話を何度もしようと思ってたんだけど……」


 僕は自室のベッドで、アユムを抱きしめる。

 

 我ながら情けない。

 アユムのおかげで、とても楽しい夕飯だった。


 僕にとって、両親とあんな近くで笑いながら食べるご飯なんて初めてで……。


 子どもの頃から威厳たっぷりの父だった。

 家族での夕飯は成績の話や、政治の話や、武芸の話をして、緊張しながら行儀よく食べて終わり。

 

 それが、みんなで鍋をつついて笑い合うなんて夢のようだった。


 言い訳の理由にはならないけど、あの両親の笑顔を曇らせるような話題ができなかった。


「俺に謝る必要なんてないですよ。部屋でしゃぶしゃぶなんかさせちゃって騒いでしまって俺の方こそすみませんでした」


「ものすごく楽しかったよ。感謝している。本当にありがとう」


 両親との食事に、こんな思い出ができるなんて思っていなかった。


 もう二度と、会わなくてもいいと思っていたのに……。

 僕は人生で失いかけていたものを、アユムに沢山プレゼントしてもらっている。


「明日には必ず、話をするよ」


「無理しないでくださいね」


「あぁ……大丈夫」


「う~~めっちゃ喰った喰った……げっぷげっぷ!」


 アライグマのげっぷ、ニンニクくっさ!


「ザピクロス様! やめてくださいよ! ……あっちのソファで寝てください」


「いやじゃも~ん、転移者殿~ぬくぬく」


 くそっ……またアユムの胸元に居座りやがったぁ……!

 さっさと、テンドルニオン様の神殿に行かないと……。


「明日は採寸なんですよね」

 

「我も、スーツ作って~~え?」


「ふふ、ザピクロス様がスーツ……可愛いですね」


「アライグマ用なんて作れないでしょう……。どうせなら、アユムと僕の結婚式のスーツを作ってほしいものだよ」


「ええっ」


「アユムは純白のスーツ……似合うだろうな」


 我ながらいい考えだ。

 薄いピンクなんかもいいかも。


「いやいや! 白なんて絶対無理ですよ! エイシオさんなら絶対似合うと思うけど」


「明日はアユムも採寸してもらおう。家は関係なく二人で注文しよう」


「ええ~」


「僕からのプレゼントだよ」


 可愛いアユム。

 僕の命を、エイシオ・ロードリアの命を狙ってる者よ。

 僕はもうロードリア家のエイシオではなく、アユムを愛する一人の男で生きていきたいんだ。

 それをわかってほしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ