湖に到着!※アユム視点
エイシオさんとの旅は、とっても楽しく穏やかに過ぎていく。
冒険というか楽しいキャンプ旅行だな。
二頭の馬も穏やかで可愛くて、俺のブラッシングを気に入ってくれている。
門ももうすぐだ!
というところで、キラキラと輝く美しい湖が見えた。
「わぁー! 綺麗な湖だーっ」
水が透き通ってて穏やかな湖面が煌めいている。
大きな湖だなぁ~。
俺の田舎は沼ばっかりで、こんな綺麗な湖は初めて見た~!
心が浄化されるよ。
「うん、この湖は観光名所にもなってるね。湖水浴もできるよ」
「ふぅむ……我は泳ぎたい」
「急いでるんじゃないんですかっ」
エイシオさんのツッコミが入る。
なんだかエイシオさん、ザピクロス様にはよくツッコむんだよね。
意外……神にも物怖じしない勇者魂かな?
「だって、こんな綺麗な湖見ちゃったら、我、トウモロコシ洗いたくなっちゃうし、洗いたいしトウモロコシ」
今回の旅での重要アイテムが、トウモロコシになってる。
俺はさすがに少し飽きてきたけど、ザピクロス様は主食みたいなものだもんね。
「エイシオさん! 俺も泳ぎたいですっ!」
でもここはザピクロス様に賛成だ!
「あぁ! 泳ごう! ロッジも借りて、プライベートビーチにして泳ごう」
「ええっ、そんなキャンプでいいですよ」
「いやいや、せっかくだし。アユムの水着姿は僕だけが……いや、ゴホン」
「変態勇者めっ」
ザピクロス様がベシっとエイシオさんの顔面にひっついた。
ザピクロス様、ムササビのように飛んだり、イモリみたいに手のひらでくっついたりするんだよなぁ。
「違いますよっ! 喋るアライグマなんかいたら騒ぎになっちゃうからですよ! ゴホンゴホン」
顔からそのまま頭の上に乗っかるザピクロス様。
俺もいつもされるけど、そんなに重くない。
「おなごには我、大人気になっちゃうんだぞ」
ハッハッハッとザピクロス様が誇らしげに笑って、俺はそれもそうだろうな……と思った。
そうしたら俺のゴツい指輪……テンドルニオン様の指輪からビリッと静電気のような感覚が。
「ぎゃ!」「うわぁあ!」
ザピクロス様に雷が落ちた。
……頭に乗っかられていたエイシオさんも一緒に感電した!!
「わぁーー!? す、すみません!!」
ど、どうして!?
「お怪我は!?」
「だ……大丈夫だよ」「大丈夫じゃ……ごふ」
ザピクロス様、ちょっと焦げてるけど……。
「転移者殿のせいでは……ないんじゃ……なんでもないんじゃあ……」
「は、はい」
涙目になってるアライグマは初めて見た。
「お……ドキッ! 男オンリー湖水浴! ……楽しもうじゃないかの……」
言い方がなんか嫌だ。




