森の中リラックスタイム※エイシオ視点
ロードリア領地まで行くのに大変なのは、やはり人里離れた林や森を抜ける間だろうか。
今日は森のなかでキャンプだ。
夜に動くのは危険なので、日が落ちる前にもう寝場所を決めた。
あまりアユムに不自由な思いはさせたくなかったが、アユムは喜んで火を起こしてくれる。
僕は馬を近くの川で水が飲めるように繋いでから、四方を魔物から襲われないために結界石を設置しているところだ。
アユム、遠くから見ても可愛いなぁ。
今日は二人で寝袋に入って眠ろう。
「ザピクロス様の指輪のおかげで火付けも簡単ですね」
「えっへん! はよソーセージを焼いてくれい」
「はい、焼きましょう。あとさっき買ったキノコとナスも」
「野菜はトウモロコシ以外いらん」
「え~ダメですよ」
「我、神だし」
「神様なんですから、好き嫌いはいけません」
「転移者殿のいぢわる!」
「あはは、美味しいんですよ~~キノコもナスも。ねぇ? エイシイさん」
「……うん……」
むむ……相変わらず、アライグマがローチェアに座ったアユムの膝の上に……。
仲良くお話してナデナデされて……気持ちよさそうに……。
くっ……アライグマ……。
羨ましい……!!
パシン! パシン! とつい尻尾を荒々しく振ってしまう。
「エイシオさん? どうしました?」
「えっ」
「お腹空きました? ……何か不満がありますか……?」
えっ!?
何故か……僕の考えがバレちゃった感じ?
アユムは鋭いな。
「いや、大丈夫だよ」
「そうですか。今夕飯用意しますから」
「うん、ありがとう。さぁザピクロス様、アユムが料理してくれるので僕の膝にどうぞ」
「ふむ、致し方ない」
ローチェアをアユムの隣に置いて、僕も座る。
森の良い香り。心地よい風だ。
あ~獣人化してると、自然がまた心地よく感じる。
ザピクロス様も僕が撫でると丸くなって、ちょっと可愛いじゃないか……。
アユムの料理ができるのを待つ。
面倒な旅だと思った時もあったけど……最高に贅沢な時間だ。
「ふふ」
「ん?」
「エイシオさんとザピクロス様、尻尾を巻き付けてリラックスタイムですね」
「えっ……アユムはどうしてそんな事がわかるんだい?」
さっきから、僕の心情を当てられている。
もしかして、アユムは獣人に詳しいのか?
いや、でもアユムの世界にはいなかったはず……。
「あ、あの、そういう本を調べて読んだ事があったんで」
「へぇ! すごい! 獣人の本があったの?」
「いえ、猫ちゃんの気持ちがわかるっていう本で……」
「猫……」
猫……。
僕、猫……。
猫と一緒……。
「あ! ご、ごめんなさい!」
「アユムは猫が好きなんだよね」
「はい! めちゃくちゃ大好きです」
なら猫でいいや~!!




