表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~  作者: 兎森りんこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/107

いたたまれない気持ち※アユム視点


「急に、こんなお願いして……ごめんねアユム」


「いえ……」


 悪気なんて全く無いのは、理解できる。


「人には役目というものがあると思うの」


「……そうですね」


「アユムだって、まさかあそこでずっと暮らしていくつもりじゃないわよね?」


 ラミリアさんの綺麗な青い瞳が、俺を見つめる。


「えっ」


「何か夢や目標があるでしょ? ないの?」


 う……グサっと刺さる。


「……特には……」


「じゃあ……あそこで何もない毎日をずっと暮らしていくの? 毎日何か刺激でもあるのかしら」


「刺激は、ないです……」


「エイシオも内心はつまらない毎日だと思ってるはずなのよ。きっと意地になってるんだわ」


 そっか……俺は自分が穏やかで平凡な毎日がただ、幸せだった。

 夕飯は何にしよう、とか。

 野菜の成長を見たり、とか。

 エイシオさん喜んでもらえるかな。

 とか、そんな毎日が楽しくて……。

 食後の会話も本を読んでもらうのも楽しかったけど……

 エイシオさんは自分の目で足で、世界を冒険できる人なんだもんな……。


 本なんか、きっとつまらなかったよな……。


「あの……アユム? ごめんなさいね。貴方には貴方のペースがあるし……でも良かったらお仕事の紹介やお友達なんかも紹介できるわよ」


「あ……はい、はは……そうですね」


 ラミリアさんから見たら、俺が居候しててエイシオさんに面倒みさせてるように思うよな。

 あぁ……落ち込んできた。


「貴方とってもセクシーなんだから、自分にもっと自信をもって! さぁ飲みましょう!」


 俺がセクシーとか……有り得ない。


「はい……」


 そこからは、ラミリアさんとエイシオさんの冒険譚を聞いたりした。

 その話を途中から聞きたがる人も出てきて、俺達のテーブルはすみっこだったのに人が群がってくる。

 たまに『兄ちゃんはどんな強者なんだい?』と聞かれたりしていたたまれない。

 家事手伝いです……。


 エイシオさん……来ないな。

 こんなに人がいるのに、俺一人ぼっちだ。


 ラミリアさんの冒険譚に、皆が拍手をして俺のジョッキにまで酒が注がれた。


「ごめんね! もう此処だと居心地悪いから次の店に行きましょう!」


「次!? いや、俺はもうそろそろ……」


「駄目よ~! 何言ってるの」


 うう……もう22時くらいかな。

 エイシオさんはまだ何かやってるのかな。

 此処を移動したら、エイシオさんが迷う……と言ったら店主に伝言を頼んだと言われてしまった。

 支払いも済ませてもらっちゃって……落ち込むばかりだよ。


「行くわよ行くわよ~~~~~!!」


「あ……は、はい……」


 ラミリアさんは酔って忘れちゃったのか、俺の腕に絡まりながら歩く。

 いや、俺が半分引きずられている……。

 

「此処ら辺の店だと、静かに飲めるでしょ?」


「はい……って此処は」


 薄暗い飲み屋街。

 色街ほど酷くはないけど、いわゆるスナック街みたいな……。


「ラ、ラミリアさん、女性なのに」


「え~、綺麗な女の子やママと飲むのって女でも案外楽しいものなのよ? 久々に来たから会いたい子もいるの~! 行きましょ行きましょ!」


 ひー!

 なんだか災難になってきた。

 でもエイシオさんの従姉妹さんだ。

 失礼な拒絶はできない……。


 はぁ……辛いなぁ

 でも俺のせいかな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ