何を考えているんだ?※エイシオ視点
従姉妹のヒーラーのラミリアが来た。
まだ一日、アユムに甘えられるかと思っていたので正直迷惑だった。
いや、この考えは邪悪すぎる自覚はある。
それにしても、僕はこの従姉妹が苦手なのだ。
容姿端麗。
頭脳明晰。
富豪の娘で、お姫様のように暮らしていればよいのに、わざわざヒーラーになって皆を助ける聖女。
悪いところなど、一つもない。
それでも、僕は彼女が苦手だった。
彼女に非はないのかもしれない。
一緒に旅をした事もあった。
でも、自分の対として、ペアとして、当然のようにいる。
合わせ鏡のような存在が僕にはしんどかった。
その彼女が……!
僕の(片想いしている)アユムを夕飯に誘った……!?
「この街に来るのも久しぶりだし~アユム君、バル・エルハードには食べに行った事ある?」
「あ、俺……外食はあんまり」
「あら? 苦手」
「いえ、そういうことではないです」
う……僕がアユムの料理が好き過ぎて、確かに外食はあまりしていない。
「エルハードの肉料理すごく美味しいのよ! せっかくだから付き合ってほしいわ。二人で行きましょう!」
「ぼ、僕は……?」
何故、僕抜きなんだ?
「あら? 予定が詰まってるって言ってたし~怪我も治ったから、ギルドの用事が沢山なのかと思ってたわ」
う……!
咄嗟の嘘が、まさかこんな事に!
「いや……それは」
「リーダーのおじいさんとも、今後を話し合ったらいいかもね」
「エイシオさん、そうだったんですね。夕飯はどうしますか?」
うっアユム、そんな予定ないんだけど……。
「使用人じゃないんだから、別にそこまで気を遣うことないじゃなーい。貴方も用事が終わったら合流すればいいわ?」
……確かに、だ。
久しぶりに会った友人と、夕飯を一緒に食べることはおかしくない。
むしろこちらから、御礼もかねて誘うべきだったんだろう。
アユムが好きすぎて、正常な判断ができなくなっていた。
今日の夜もどう一緒に過ごすかそればかり考えてしまっていた……。
恋の病……。
とか言ってる場合じゃない。
「エルハードのステーキソースが絶品なの! アユム君、お肉好き?」
「はい! ステーキも大好きです」
「本当~! 付け合わせのねキャベツの酢漬けがすごく合ってて、あのレシピが気になるわ~」
「ラミリアさん、料理するんですか?」
「ふふ、冒険の時は料理も担当するのよ」
「えー意外です」
「もう意外ってなーに」
「あ、いや、すみません」
「ふふ、いいのよアユム。よく言われるの」
盛り上がってる……
盛り上がってる……
僕を抜きにして二人が……。
アユムも嬉しそう。
ラミリアも、いつの間にか呼び捨てにしているし……。
もしかして、僕は邪魔者になってる?
「エイシオさん、夕飯は……」
「気にせずに行ってくるといいよ」
あーっ!!
だってこう言うしかないじゃないか!!




