気付いた気持ち※エイシオ視点
こんなに幸せな時間ってあるんだろうか。
アユムが僕の髪を洗ってくれた。
初めてだって言うけど、心地良くてとっても上手だ。
アユムの初めてゲット! も嬉しい。
ニヤニヤしてしまう。
そして優しいアユムの指の感触が……。
僕は冷静になるためにアユムとの会話に集中した。
話していないと、こう……アユムを汚すような事を考えてしまいそうになる!
あぁ、僕はいつだって冷静沈着だった。
美人の女性に半裸で抱きつかれようが、優しく肩を抱いて離れさせ……なだめて場を収めてきた。
なのに、今はドキドキが止まらないよ……。
だから頭からお湯をぶっかけてもらった!
滝行のように煩悩よ去れ!
そしたら不意打ちに
「エイシオさんって……すごくかっこいいですよね!」
の言葉。
今日は感謝祭かな……?
言われ慣れてきたはずの言葉だったのに。
こんなに嬉しくて、照れるような恥ずかしさ。
「エ、エイシオさん? すみません俺」
「いや、ち、違うよ。嬉しくて……はは」
僕たちは顔を見合わせ笑った。
「くしゅ」
「あ、アユム。ごめんよ僕の髪を洗わせて冷えたよね。一度お湯に入ろう」
とりあえずはまた二人でお湯に入る。
はぁ……お湯の中だと安心だ。
「タオル、俺が泡立てますね」
「ありがとう……」
世界一優しくて可愛いアユム。
「身体、洗えそうですか……?」
「う、うん……だ、大丈夫」
「お手伝いする事があったら言ってくださいね」
「ありがとう」
身体なんて洗ってもらったら……僕は……僕は……。
あぁ、そうなんだよな。
うん、やっぱり僕は……。
僕は男で、アユムも男。
わかってるけど……僕は……、
アユムに、恋をしているんだ。




