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異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~  作者: 兎森りんこ


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アライグマの痴話喧嘩※エイシオ視点

 

 素敵な女神テンドロニオン様とアユムとゆっくり食事会をしようとしていた時に、やはりいつものアライグマが現れた。


 おじゃま虫アライグマだ。


 そして女神の拒絶のお言葉……。

 やはりか……。


 痴話喧嘩してるっぽいなと思っていたけど、やっぱりそうだったか。


「えっ……」


 唖然としてるアライグマ。


「え? ってなに?」


「え~~え~~!? 何を言ってるのさぁ~テンドルニオーン、テンドルニオンちゃ~ん~! 我とお前の仲じゃないかぁー恥ずかしがることないからさー別れるなんて~まさかまさかだよぉ~」


 アライグマァ……なんだちっとも反省していないのか。

 こいつ……最低じゃないか!


「私が旅の道中も、転移者殿の指輪から見ていることを知りながら……相変わらずの不貞を……」


 浮気癖もあるアライグマ……。

 どうにも救いようがない。

 最後のソフィア様へのベッタリで見限られたか……。


 馬鹿め……!!


 あぁ神に対して、冷ややかな目で見てしまう……!

 でも仕方ない! これは仕方ないだろう!


「だ、だってさ。相手は人間だしぃ! 気にする必要ないよぉ! 我とテンちゃんは神なんだからさ……神は神しか愛さないでしょ! 人間へは神としての慈愛でしょっ!」


「きっかけは風の神フューマジーネの元に通っている事が発端でしょうっっ!」


「最低なケダモノだな……」


 あ、口に出ていた。


「こらぁ! 勇者!! 男として我の味方をせいよっっ!!」


「申し訳ない。僕は浮気者の気持ちはわかりかねます。アユム以外は目に入らない。アユムだけを愛している。愛する人を悲しませる事をするなど僕にはできないのです……わかりませんね。浮気者の気持ちなど全く理解できないです。僕は心から、アユムだけを愛していますからね」


 僕は頬を染めたアユムを見つめる。

 浮気なんて考えられないさ。


 ケダモノめ……!


「おほほ、さすが我が勇者! 言っちゃって! 言っちゃって~!! わかった? もう、あんたなんかどうでもいいわ。会いに来ても無駄と言ったはずよ」


「ぐぐぅー! テンちゃああん! そんな事言わないでヨォー! 勇者の家での活躍見てたでしょー!? この二人をくっつけたのだって我なんだよぉー!?」


 むぐ……。

 確かにあの雨の日にアユムを探す助けにはなった。


「ふん! あれは腕輪の力を最大限利用した人間の功績だわ。ちっせぇー男」


 しかしテンドルニオン様が一蹴してくれた。

 さすがである。


「ぐぐう~~~……ぐ……う……」


 言葉を失うザピクロス……。

 あ、様もつける気になれなかったよ。


「さぁ、こんなのは、ほっておいて楽しみましょう」


「テンちゃんんん!!」


 空になったグラスに、テンドルニオン様が注いでくれた。

 吹っ切れたような、可憐な姿だ。


 今まで憎いと思っていたアライグマの姿なのに、こうも違うものなのか。

 僕も彼女のグラスに注ぐと、女神は小さな手でグイッと一気に飲み干す。


「テンちゃぁああああん!! 愛よ! 愛よ戻れぇえええ!!」


 まだ騒いでるオッサンアライグマ。

 それを見て、テンドルニオン様が溜息をつく。


「はぁ~……ねぇ……あなたは最近、自分の姿を見たのかしら!?」


「ほえ?」


 壁から這い出て、ちょこんと座るザピクロス様……。

 確かに……。

 なんだろう、旅を出た時から何倍にも膨らんでいないか?

 東の方に伝わる巨大な狸の像のようだ。

 でっぷりと腹が出て……。


「私はもう、そんなあなたになんか興味はないの! これからは勇者と、転移者殿と一緒に私も暮らすのよ」


「がぁーん!」


 ふふ、いい気味だ。

 と、僕のなかの悪魔が笑う。


 ……いや、え? テンドルニオン様、今なんて??


 

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