俺と彼との関係※アユム視点
森の中の山小屋。
春の木漏れ日、爽やかな朝。
鳥のさえずりを聞きながら、俺は朝食の準備をする。
昨日焼いたパンに、卵を二個使ったオムレツ。
キノコのスープ。
コーヒー。
この世界の食べ物は、ほとんど前にいた日本と同じものだ。
俺は半年前に、気付いたらこの世界にいた。
異世界の森の中で、魔物に襲われかけた俺は一人の美青年に救われたんだ。
「おはよう」
「おはようございます」
長めの金髪に、サファイアのような碧眼。
鼻筋は通って、彫りの深い、でも濃すぎない。
日本人受け間違い無しのイケメン。
何度見ても『かっこいい』しか言えなくなる。
正統派主人公! まるで勇者様! それが俺を救ってくれたエイシオさんだ。
「今日も朝食をありがとう」
「そんな! 住まわせてもらって食べさせてもらって、こんな事しかできないのに」
「お互いに支え合う関係じゃないか。僕は家事全般苦手だし、こんな綺麗な家に住めて美味しいご飯が食べれて幸せだよ」
あぁ、めちゃくちゃ爽やかな微笑みだ。
頬が赤くなってしまうのを気付かれないように、俺はスプーンを取りに行くふりをした。
二人での朝食時間。幸せな時間だ。
「昨日も、遅かったんですね」
「少しダンジョンが難航していてね」
彼はダンジョン攻略者だ。
この世界に出現するダンジョンに潜って探検し宝をGETしたり依頼で魔物を倒して報酬を得る。
ずっとさすらいの旅冒険者だったらしいが少しこの土地に留まろうと、この山小屋を買ったんだそうだ。
パーティーを組んでダンジョンに入るらしいが、それでも帰宅が遅いと俺は不安になる。
先に寝てなさい、と何度か言われてからは寝たふりをしながらも待っていてしまう。
「昨日の夕飯もありがとう。美味しかったよ」
「夜中だと、少し胃に重くありませんでしたか」
「ダンジョンで干し肉をかじっただけだったから、とても助かったよ」
夕飯は温めずに食べられる厚切りハムのサンドイッチを用意しておいた。
でもやっぱり次からは夜中でも起きてスープを温めよう。
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