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家政婦の試験

〇面接室


「マミ何でいるの?」

驚いた顔で聞くヒナタ。


「あ~ん。会いたかったよ。ヒナタ」

ヒナタに抱きつくマミ。


「ちょ、ちょと。どいていよ。もうー」

抱きついたマミを強引に引き離した。


「どうしたの? いつもの事でしょ?」

キョトンとするマミ。


「マミ。もう忘れたの? 太郎の事よ」

物凄い形相で()みつけた。


「ああ。太郎が話したのね。

 そう。私結婚するの。結婚式には来てね」

ウィンクをした。


「はぁ?それだけ?親友の私に悪いと思わない訳?」

「全く。ウチがどんな性格か

 ヒナタが1番知ってるでしょ?」

悪びれた様子もなく淡々と話した。


(マミは昔からこうゆう性格。

 美人で仕事が出来て皆の人気者だけど、

 人の男や物を直ぐに奪ってしまう癖がある)

 

「ええ。知ってる。

 でも、親友の私から太郎を奪うなんて酷すぎる」

「だって、ヒナタが自慢の彼って言うから

 気になって仕方なかったから、

 二人の愛を確かめたくてちょっと誘ったら

 直ぐに食いつたわよ。フフフ」

満面の笑みを浮かべる。


「やって良い事と悪い事があるでしょ」

「だって。欲しい物は欲しいんだも~ん」

「はぁ~~~~~~~」

深いため息をついた。


(昔からそう。

 説教しても全く意味がなかった。

 ( ̄3 ̄)ふぅ~)


「もう。マミとは絶交よ。話しかけないで」

「え~~。そんな事言わずにさぁ~。

 ね~ったら~」

ヒナタの服を掴んで言った。


「ウルサイ」

マミの手を振り払った。


「そんな事よりさ~。この世界凄いよね~。

 魔法や剣を使えるゲームの世界で楽しいよね~

 それからさ~・・・・・・・・・」

マミは話を変えて話出した。


(昔からそう。

 人の話を聞かないで自分の感心のある事を優先して話す)

 

「ウルサイ。黙れ」

怒ったヒナタが言った。

するとドアが開いた。


「何を騒いでいるんだ?」

「ウルサイ。

 今取り込み中だから黙ってろ・・・・・」

後ろを振り向くヒナタは、

ここの主人のベレー帽に左目の所に赤い眼帯をつけて迷彩の軍服を着た威厳のあるウルフ族のアルフに、思わず暴言を言ってしまった。

          ・・

「あの~。知り合いと少し口論になりまして、

 すいません。すいません」

平謝りした。


「あ~。ヒナタ。減点だね」

嬉しそうに話した。


「ウルサイ」

後ろを振り返って()みつけた。


「まぁいい。イスに座りなさい」

「あ、ありがとうございます」

敬礼して座った。


(ふぅ~。何とかセーフ。

 でも、マイナスの印象だから、

 ここから巻き返さないと)

焦るヒナタと涼しい顔のマミだった。


「さて、面接を始めようか」

肘掛(ひじかけ)の所にあるボタンを押した。


すると、イスから植物の根がマミとヒナタの両太ももと胸を()った。


「な、何をするんですか?」

ヒナタは驚いた表情で言った。


「心配はいらん。身辺調査を行うだけだ」

「だったら、別に()らなくても」

「逃げられたら困るだろ?」

「も、もし、ダメだったらどうなるんです?」


観葉植物が飾っていた木の葉が一枚、上からヒラヒラ落ちて、ヒナタの隣にあるイスに落ちた。

すると、イスから電流が走り葉っぱが燃えてしまった。


「あの様になるだけだ」

落ちついた表情で言うアルフ。


イスに()れているヒナタだけ緊張が走った。


「では、犯罪歴が無いか調べる」

「どうやって調べるんですか?」

マミが聞いた。


「君達が水晶に触れて、ここにやって来ただろ?

 その時に触れた指紋と照合する」

「なるほど」

感心するマミ。


(まずい。まずい。まず~~~~い。

 国外追放の事がバレたらヤバイ。

 死んでしまう。どうしよう。どうしよう)

顔から汗が滝の様に流れるヒナタ。


『サーチ 魔界 犯罪歴』

アルフが魔法を唱えると目の前に画面が表情されて、

犯罪歴のデータと照合していた。


「ピポン」

と音が鳴った。


「マミ君だったね。

 君、魔界神様のお供え物を盗んだね」

「ハイ。食べました。美味しかったです」

嬉しそうに言うマミ。


(えーーーーー∑(〇_〇;)。

 マミ、なに正直に答えているのよ。

 ここは知らんぷりでしょ)

マミの回答に焦るヒナタ。


「正直でよろしい。

 ワシも昔、お腹が空いた時に食べた物だ。

 盗みは男の勲章(くんしょう)みたいなもんだから大した事ない。

 よって、マミ君はセーフだ」


(はい~? 

 盗みはダメに決まってるでしょ( ̄д ̄)ペシペシ

 

 それにしてもマミは昔から運が良いよね~。

 そして、だいたい、

 運が悪い事が起こるのが私なのよね。

 

 でも今回はこれで終わりだから大丈夫そうね)

ほっとするヒナタ。


「もう検査は終わったんですよね?

 外してくれませんか?」

「いや、今度は国外の犯罪履歴を調べる」

「その~。さっきと同じように国外追放も

 男の勲章(くんしょう)みたいなもんですよね?」

引きつった笑いで聞くヒナタ。


「何を言ってるだ。

 そんな危ない奴は即刻処刑に決まっているだろ」

「・・・ですよね。アハハ、アハハ」

ぎこちない笑いをする。


(まずい。まずい。まずい。まずい。まずい。

 どうする?

 正直に言う?

 いやいや言っても許してくれなそうだし、

 何か無いかな・・・・そうだ( ̄〇 ̄)!!

 他の話を振って話題を変えよう)


「そ、そんな事より。お金欲しくないですか?」

「それは欲しいが」

「実は私に秘策があるんです。

 知りたくありませんか?」

「何だそれは」」

興味津々のアルフ。


(しめしめ。食いついた( ̄▽ ̄)ニヤリ。


 後は説明して、私が必要な人材と思わせれば、

 命までは取らないはず。

 私って天才( ̄▽ ̄)!! ホホホホホ)


「身の潔白を証明したいので早く調べて下さい」

「おお。そうっだな。忘れていた」

アルフは調べ始めた。


(マミーー!! 余計な事を言ってのよ~( ̄△ ̄)!!

 せっかく話をそらしたにーーーーーー!!)

ギロリとマミの方を向いて()睨んだ。

マミは何でヒナタが()んでいるのか解らず首を傾げた。

 

「ピポン」

と音が鳴った。


(国外追放がバレちゃう。

 どうしよう。どうしよう)

尋常じゃない汗が顔から出ていた。


「結果だが、マミ君は無し。

 そして、ヒナタ君は」

アルフが結果を言おうとした時。


「すいません。すいません。命だけは助けて下さい」

ヒナタが観念して命乞いをした。


「・・・・何を言ってるんだ?」

「え? 犯罪履歴に私の名前があったんじゃ」

「いや。無い」

「えーーーーーー∑(〇д〇;)」

(国外追放になったはずなのに何で?)

ひどく驚くヒナタ。


「ん? 君は他国で犯罪を犯したのかね?」

「え? イヤイヤ全く無いです。

 一瞬、犯罪履歴があると聞こえたので」

「君はそそっかしいんだね」

「あ、はい。よく言われます。アハハハ」

笑って誤魔化す。


「それではこれを解こう」

アルフが肘掛の所にあるボタンを押した。

すると、二人を縛っていた植物の根が消えてしまった。


「では、次の質問をする」


(セーーーーフ。助かって良かったーーー。

 でも、何でだろ? 

 国外追放されたはずなんだけど)

首を傾げるヒナタだった。



〇サウル国の雑用係


「おい。いつまで時間が掛かってるんだ。

 お前のせいで仕事が大幅に遅れてるだろ?」

「すいません。慣れない物で」

平謝りするヒナタに仕えていた嫌いな上司にそっくりなハゲ爺だった。


「全く使えない奴だ。新入りこれもやっとけよ」

「へい。わかりやした。直ぐやっときます」

愛想良く返事をするハゲ爺の机の上に

書類がどっさりと置かれて部屋から出て行った。


「け、偉そうにしやがってよ。

 何でこの年でワシが下っ端の作業をやらんといかんのだ」

そして、一枚の書類を見た。


「それもこれも全部、悪役令嬢のヒナタが悪い。

 最後の最後で負けるとは夢にも思わなかった。

 ヒナタの方に付いたばかりにこの有様だ

 け、ついてない。

 

 こうなったら、王様である太郎様にゴマをすって

 出世するしかないな」

空中に浮かぶ画面に人差し指でタッチして、

『サウルス・ヒナタ 国外追放』

と国外犯罪者リストに入力して完了ボタンを押した。


「よし。これで、ヒナタは国外追放者だな。

 ふぅ~。疲れた。これもやっておけ」

空中に浮いてるメガネを掛けた使い魔であるタコが、

山済みされた書類を見ながら8本の触手で、

画面にタッチをしてヒゲ爺の10倍の速さで入力していた。


「おい。聞いているのか? このタコ!!」

「!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「テメェー何しやがる」

タコは高速で作業をしながら顔だけ向けて、

「うるさい」と言わんばかりに

ヒゲ爺に向ってスミを吹きかけた。


「くそー。使い魔までワシを愚弄(ぐろう)しおって、

 絶対にヒナタ許さんからなー」

ヒゲ爺はスミまみれの顔になって、復讐を誓った。



〇汚い部屋


「最後の試験として、部屋を綺麗(きれい)にして貰う。

 では、スタート」

アルフが言った。


部屋を実際に綺麗(きれい)にするテストをするために、

ヒナタとマミは分かれて汚い部屋を掃除する事になった。


「さて、お掃除をしますか」

フキンを被りマスクを付けた状態で袖をまくって掃除をし始めた。


「ゴホ。ゴホ。ゴホ。ホント汚い部屋ね」

ホコリ取りを使って掃除しながら呟いた。


「でも、私の勝ちは確定ね。

 だってマミは家事が大の苦手でゴミ屋敷なのよね

 だから、定期的に私が掃除してあげてたんだ。

 フフフ。この勝負貰った~( ̄▽ ̄)!!」

不敵な笑みを浮かべながら掃除をするヒナタだった。


・・・・・1時間後


「ふぅ~。どうよ。綺麗(きれい)になったでしょ」

見違える様に部屋が綺麗(きれい)になった。


「これで勝ったわね。

 ただ、気になる物があったんだよな~」

ヒナタが気になる物の所に近づいた。


「見た事が無い、使い魔の卵」

紫のクッションに置いてあった黒くて水色の斑点(はんてん)があり、ドッチボールくらいの卵を両手で持って見ていた。


「いいな~。

 私の使い魔はどこか行ったから欲しい。

 珍しいタイプだから、

 きっと超レアな使い魔がいるんだろうな~

 いいな~」

卵を持って見ていると、ヒナタがはめていたドロク指輪の目が赤く光った。


すると、卵の精気の様な青い煙を吸っていた。

全部吸い終わると驚く事に、

ドクロから可愛らしいウサギに変化した。


そして、大きく開いた口の所に

【残り時間12分】と表示された。

卵は亀裂が生じていた。


ヒナタは卵に夢中になっていたので、

指輪が変化した事、卵に亀裂が生じていた事に気づかなかった。


「よし。報告に行こう」

スキップをしながら扉を開いた。


「!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


「何これ∑(〇_〇;)」

立ち止まって目を大きくしてビックリした。

         ・・

今まで汚かった家が全部、ピカピカの綺麗な状態に変化していた。

しかも、居間にあった大きなテーブルに豪華な料理が並べられており、アルフが美味しそうに食べていた。


「もしかして、マミがやったの?」

「ええ。そうよ」

「でも、家事や料理が大の苦手じゃなかったけ?」

「うん。だから、私の使い魔にお・ね・が・い

 したの」

イタズラっぽい笑みを浮かべたマミが、調理場の方に指を差していった。

調理場では尻尾が3つありコックの帽子を被ったキツネが、フライパンで料理を作っていた。


「そ、それって反則じゃない。

 自分の手で掃除してないじゃん」

「だって、あの子が私の使い魔だから問題ない。

 それに、使ってはダメってルールはないのよ」

「そうだけど・・・・・」


(悔しい~~~。このままだと負けてしまう。

 マミに彼氏を取られ面接でも負けるなんて

 絶対絶対絶対に嫌。何か突破口があるはず。

 そうだ。思いついた( ̄▽ ̄)!!)

アルフの元へ急いで行った。


「はぁはぁはぁ。あの。実はお話が」

「なんだね」

鶏の丸焼きをホークとナイフを使って上品に食べながら言った。


「お金欲しくないですか?」

「欲しいに決まってる」

「私にお店を投資しくて

 下さればお金を増やす事が出来ますよ」

「どんなお店を作るんだ?」

「それは・・・・」

耳元でヒソヒソ話をするヒナタ。

最初は厳しい表情だったアルフだったが、

次第にうなづく回数が増えた。


「どうです?」

「おお!! 素晴らしい。是非やってくれ」

「と言う事は合格ですか?」

「ああ。合格だ」

「やったーーー勝った!!。マミに勝った!!」

その場でジャンプして喜ぶヒナタだった。


すると、家の中に黒い翼で髪は銀色、

イケメンなウルフ族の男が一人入って来た。


「帰って来たか」

冷たい感じでアルフが言った。


「・・・・・・・・・」

父親のアルフを無視する様に翼を使って2階の自分の部屋へ行った。


「あの~。カッコイ男の人は?」

興味深々のヒナタ。


「出来損ないのダルクだ。全く天竜寺家の恥じだ。

 弟のセイルはどんどん出世していのるに

 ダルクと遊んでばかり。

 双子のくせにダメな所は全部ダルクの方に行って、

 良い事は全部セイルに行ってしまったな」

嘆くアルフ。


「え~っと。大変すいませんが無かった事にして

 貰えませんか?」

「何を言うんだ」

動揺するアルフ。


「すいません。マミがいるので大丈夫ですよね。

 失礼します」

一礼してから急いで玄関の扉を開いた。


すると、ヒナタは消えたて家の外に出た。


「ふぅ~。危ない。危ない。

         ・・・・・・・・・・・

 まさかあの有名な死亡フラグが立っている

 双子の家だったとは知らなかった~。

 

 ここの家とは関わらない方が良いわね。

 とにかく。ここから離れよう」


「おい。待て」

急いでその場から離れようとするヒナタにダルクが怖い形相で呼び止めた。


「な、なんでしょう」

オドオドして答えた。


「お前この使い魔の卵に触ったか?」

ダルクが部屋に置いてあった黒くて水色の斑点(はんてん)がある卵を見せた。


「え? さ、触っていませんよ」

目が泳いで顔を背けて口笛を吹いていた。


「じゃ~何で。亀裂が入ってるんだ?」

「え? おかしい。

 私が触った時は何も無かったはずなんだけど」

「あ!! やっぱり、お前が触ったんだな~」

ダルクに指摘されて、

しまったと言う顔をして両手で口を押えるヒナタ。


「し、知りません」

「さっき触ったって言っただろうが」

「そうでしたけ? 記憶に無いな~」

ヒナタはとぼけて、顔から大量の汗が流れていた。


「解った。

 とにかく返せ。俺の超貴重なSSランクの使い魔を」

「うん?何を言ってるんでか?」

「まだ、しらばっくれるきか。

 ほら見てみろ。卵の中に何も入ってないだろ」

卵を空けて見せると何もなかった。


「私は盗んでないですよ」

「お前しかないだろ。

 俺の部屋に入ったのはお前だけ。

 しかも家政婦の面接に来たんだろ?

 

 と言う事はお金が無い状態。

 だから、俺の使い魔を盗んで売り払おうとしたんだろ?」


「違います。確かに珍しいので卵に触って見てただけ。

 絶対に盗んでない」

「嫌。お前以外に考えられない。盗人が」

「何ですって!! 

 言って良い事が悪い事があるでしょ」


「どうでもいい。早く返せ」

「無いって言ってでしょ」

ヒナタとダルクが口論していると、ヒナタが手にはめている可愛いウサギの指輪の口が点滅しながらカウントダウンし始めた。


【残り5秒】

【残り4秒】

【残り3秒】

【残り2秒】

【残り1秒】


そして、ピカッと指輪が光った。


『え? 何これ?∑(〇_〇;) 』

二人は思わず声をそろえて驚いた。


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