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1. 親睦会



まだ薄暗い、夜か朝かわからない時間に目を覚ます。

両手を上に突き上げ「んー!」と伸びをすると固まった身体がほぐれる。

赤い屋根の小さな建物。この2階をアイラは借りていた。

王都に来て半年。緑の少ないこの街の風景もだいぶ見慣れたもんだ。

騎士団宿舎が近い方が良いので城の近くを選んだのだが、この部屋はわりと気に入っている。



さぁ、これから一日の始まりだ。



昨夜は自分に備わっていない美的感覚を総動員しても決められず、結局クリームイエローのワンピースに決めた。

まだ春先で朝晩は冷えるからその上に白のジャケットを羽織るスタイルだ。



よく考えたらラキが知らない服は持っていない…。

それに王都にはズボンを穿いている女の子なんていなかったからびっくりだ。

自分の住んでいた所とのギャップに最初は戸惑いも多かった。




アイラの朝は早い。



7時に朝食が開始となるので、それまでに食堂の掃除や食器の用意などやる事はたくさんある。

基本、女性が朝担当・昼担当となっており

男性が昼担当・夜担当となっている。

シェフは別に居るので作る事はしないがする事はたくさんあった。



滅多にないが男性で病欠など急に欠員が出た時には夜担当として手伝いに出る。

そんな時は昼食に来たラキに伝えなければならない(本人なり、伝言なり、必ず伝える約束を取らされている)

すると夜は宿舎前で待ち合わせをして家まで送ってくれるのだ。

大丈夫だと伝えても絶対に駄目だと言って譲らない。

幼い頃から一緒に居るので保護者だと思っているのだろう。



「おはようございます!!」

毎朝顔を合わせる門番に朝の挨拶をすると「今日も元気だね。 今朝はちょっと寒かったかな? 鼻の頭が赤くなっているよ」などと顔をくしゃりとさせて笑顔で答えてくれる。

慌てて鼻を押さえて「ピエフさんも風邪引かないでね」と言って手を振って別れる。



急いで更衣室へと向かった。

黒のワンピースにさっと着替えて白のエプロンを装着する。

食堂へと向かうと野菜を煮込む甘い良い香りが漂ってくる。



本日の朝食メニューは

・芽キャベツと玉ねぎがたっぷり入ったスープ

・目玉焼きと厚切りベーコンのレタス添え

・シェフ特性のジャンボ白パン



ちょっと甘い白パンに目玉焼きとベーコン・レタスを挟んでケチャップをかけて食べる。

最高でしかない!

挨拶を済ませると急いで食堂のテーブルを拭いていく。

朝の冷えたテーブルは途中から手が冷たくなってしまう。

はぁ~っと手を吐く息で温め、次々と綺麗にしていくのだった。






結局、この日は朝も昼もラキが食堂に来ることは無かった。

変わりに彼の部下が取りに来たので休みではないだろう。どうやら忙しくて食事の時間も惜しいらしい。



「本当に今夜来れるのかしら」

アイラは独りごちて、一つ溜息を吐いた。



昼の食器洗いをする為、アイラはハンドクリームをエプロンのポケットから取り出す。

洗う作業で手が荒れると可哀想だ、との理由でラキが手に入りにくいゴムで出来た手袋を買ってくれた。

それと一緒に高級なハンドクリームもセットでプレゼントしてくれたのだ。

先にハンドクリームを塗って手袋をすると肌も荒れない。

身の回りにはラキがくれた物で賄っている物が多い。





仕事を終えて更衣室に戻るとフローラが先に着替えていた。



「ねぇ~、アイラ髪の毛やってあげよっか?」



「良いの? 嬉しいー! お願い」



食堂係りは髪に食べ物の匂いが移ってしまう。

特に油の香りが移りやすいのだ。

それを前に話した事を覚えていてくれたようだ。

纒め上げていた髪をおろすと腰の位置まである。

ブラシで梳くと緩く巻かれたふわりとした髪が広がる。



「アイラの髪は柔らかくていいなぁ〜。羨ましい」

人に頭を弄られるのは気持ちが良いな。

寝不足だからなんだか眠いや。

特に手櫛のマッサージに癒やされる。




「ん〜、有難う。絡まりやすいけどね」

ふわ毛はそれなりに悩みもある。



器用にサイドをひねり上げ、後ろで一本に三つ編みを結んでくれる。

少し三つ編みをほぐして



「はい! 完成」

これで万全の体制が取れたと二人部屋を後にしてお店へと向かった。





小説を書いてから思い出す。

私、口下手でした…(╥﹏╥)

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