永遠の夢は見ない(百合? 友情? 片想い?)
いつまでも、手を繋いで。
ずっと仲良く。
お友だちでいましょうね。
「……説得力ねぇな~~~」
私は、ペンタブを投げ出した。
画面の中では、二人の老女が薔薇園で手を取り合い、微笑み合っている。その奥には、彼女たちの少女時代の姿。
リクエストは、『百合一歩手前の友情が永遠のものであると匂わせる光景』。
お耽美風で。
「こんなの、あるわけねぇじゃん」
私は呟いて、ふとベッドサイドに飾ってあるロザリオを見た。
往年の名作に影響を受けて、あの子と揃いで買ったロザリオ。
光沢のある真っ白な石。小ぶりの十字架。
私の通っていた学校は、カトリックの幼小中高短大一貫の女子校だったから、当然のようにロザリオは購買部で買えた。
『約束しよう。ずっとずっと、私たち、友だちでいようね』
そう笑っていた彼女からのメッセージが途切れがちになったのは、高校を卒業してすぐだった。
私はどうすることも出来ず、ただ、疎遠になっていくのを黙って受け入れた。
仕方ない。これが、現実。当たり前のこと。
寂しくない。哀しくない。別に、他の友だちも、新しい友だちも、いるし。
こんなこと、よくあることだ。
そんな風に、受け入れているけれど。
「……じゃあ何で、私は百合を描いてるんだろうね」
お絵かき系SNSに私がアップするのは、百合漫画ばかり。
それも、少女たちの。けっして、彼女たちは大人にならない。未来予想図は描かない。
想像出来ないから。
想像したら、寂しくなるから。
「はー……」
自分のままならない心に、私は特大のため息を吐いた。
END.