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クロスロード  作者: 高天原
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存在意義5

次の講義も一緒に受け、今日の受講はこれまでという事になった。

この後セイコはツーリングサークルに顔を出し、イズミは下宿の先輩と合流するというので、私は少し離れたところにある、大型ショッピングモールへ行き、食材を買うついでに街を散策し、アルバイト先を探すことにした。

さすがに都市だけあって地元に比べると圧倒的にお店が多い。コンビニ、ファストフード店、ガソリンスタンド、パチンコ屋さん様々なジャンルで求人広告を目にする。そうなるとどうしても欲が出てきて、学校が終わってからの時間で、時給は少しでも高い方が、深夜は嫌だな、あと忙しくない仕事。自分の価値も理解せずにより取り見取りの気分でいた。気を良くしスーパーで食材を買っていると、一人暮らしの生活では一週間は食べていけそうな量を買い込んでいた。もちろん小さな冷蔵庫には入りきらず、半分はダメにしてしまった事は後日猛省した。買い物が帰りに無料のアルバイト情報誌を貰い家に帰った。

初めての大学で疲れはあったものの、新しくできた友達やアルバイトも順調に探せそうなことで、気分はすっかり上機嫌になり、腕まくりをして部屋を片付けることにした。

「その内セイコさんやイズミさんも部屋に来るかもしれない。」

そう思うとこの散乱した段ボールを片端から開け、さっそく片付けに精を出した。

新品の調理器具はキッチンに整然と並べられ、衣類やタオルは収納にキッチリと収められた。

「トイレを見ればその人の生活がわかるっていうものね。」

まだ入居して間もないのにトイレ周りは念入りに、芳香剤やトイレマットなどをチェックし、さらには装飾品で飾ってみた。夢中で片付けをしていると、いつの間にか外は暗くなっており、まだ四月初旬は朝晩の冷え込む為、汗ばんでいたものの一息着くとすぐに寒さを感じるほどであった。

そこでストーブに火を点けカーテンを閉めると、改めて片付いた部屋を見渡し満足していた。落ち着くとお腹がグーっと音を鳴らした。そういえば今日一日ちゃんとしたものを食べていないことに気付き、さっそく今日買ってきた食材で調理に取り掛かった。

まずは自炊初日という事もあり、大好きなクリームシチューを作ると決めていた。冷蔵庫に入りきらなかった野菜を台所下から取り出しジャガイモの皮を剥いていると。

「ゴミ箱1個じゃ足りなかったな。田舎じゃないからゴミの分別も必要なのね。」

まだまだ一人で生活するには必要なものが色々あると考え、後から必要なものはメモしておこうと考えた。とりあえず生ごみは買い物袋に入れておいて、最低でも燃えるゴミや、燃えないゴミ、ペットボトルや缶や瓶のリサイクルゴミは分けないといけない。手際よく野菜をカットすると、ボウルに移し我が家の定番の鶏肉に取り掛かった。一口大に切り分け鍋に油を敷き焼き色がつくまで炒めると、先ほどカットした野菜類を鍋に投入。一通り火が通ったら水を入れ沸騰するまで中火で煮込む。その間に煮汁とルーと小麦粉をフライパンで熱しながら混ぜ合わせ特性のルーを作っておく。そして鍋が沸騰したら火を止め、ルーを丁寧に混ぜ合わせ牛乳を入れると再び弱火で煮込む。お母さん直伝のクリームシチューの完成。

部屋中にシチューの匂いが立ち込めると、口の中は涎が溢れ、お腹の中はもう大騒ぎ状態。熱々のシチューを今や遅しと待ち構えている。ローテーブルに座り待ちわびた夕食。一口すするといつもの我が家のシチューが口いっぱいに広がり、まだ一人暮らしを初めて間もないのに、故郷を懐かしむような気持にさせた。だが鶏肉を口に含んだ瞬間、いつも実家ではもも肉を使っているが、節約し胸肉にしたせいでパサパサの触感になってしまった。やっぱりシチューはもも肉の方がおいしくなると一つ勉強になった。

お腹も満足し、買い物帰りに貰ってきたアルバイト情報誌を開いてみると、多種多様な求人が掲載されており、時給も思っていたよりも良くさすが都会と感心した。その中、駅前の居酒屋で調理場の募集に目がとまった。学生可・短時間でもOK。その割には時給もそんなに悪くない。取り合え得ずキープとし、折り目を付けマジックで目印を付けた。その他にも一通り目を通したが、天候に左右されず通勤できることを考えると、やはり近郊が便利で、何より接客業が苦手と自分自身理解しているので、バックヤードの調理場の募集は救いであった。学校の方が落ち着いたら連絡してみることにして、ひとまずアルバイト情報誌は置いておき、今度は必修ゼミをどれにするか資料を開いた。申込用紙と講義スケジュールを並べ、一年で習得できる単位をなるべく増やしておこうと考えた。目まぐるしく変わる生活に真剣に考えなければならない時ではあるが、考えれば考えるほど思考が鈍くなっていく。最後には申込用紙に一切記入することもなく、その場で眠ってしまった。

気が付くと夜中の2時。ストーブを点けていてもまだまだ夜中は肌寒い。うっかり眠ってしまった事に慌ててストーブの近くに移動したが、体が冷えてしまいもう一度シチューを温めなおした。その間にお風呂にお湯を張って、今日はもう考え事はやめてお風呂に入って寝ることにした。温めなおしたシチューをもう一度食べながら、こんな時間に食べたら太るかもと心配しながらも、やっぱりおいしくてあっという間に一皿食べてしまい。少し自責の念にかられてしまった。その後お風呂から上がると、今日一日の疲れが押し寄せたかのように、一気に眠気が襲ってきた。歯を磨きながらまるで子供のように、瞼が重力に負けそうになる。何とかお米を研ぎ炊飯器をセットし、ベッドに辿り着いた時には気を失うように眠りの世界に落ちていった。

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