会社を辞めた理由とSEというお仕事について
私が会社を辞めた理由としては単純に、「この先、自分の能力ではこの会社でやっていけないと思ったから」です。
別に、人間関係が嫌だとか、仕事の内容が苦痛だったとか、給料が安いとか、そういった事はありませんでした。
その時点で、「そこに問題が無いのに辞めるなんて贅沢な!」と、思われるかもしれません。
ただ、私は入社してすぐに、先輩達の姿を見て「30前半までは保つけど、それ以降は身体を壊すな」と感じました。その予感は年を重ねていく毎に確信に近づいていきました。
さて、そもそもSEってなに? と思われる方。多いと思います。
かくいう自分も入社前は「プログラムを組むんでしょ?」とか思ってました。えぇ。就職先だというのにこの認識。アホでしたね。プログラムを組むのはプログラマーでした。
では、SEとは何をするのか。
イメージとしては、プログラムの設計図を考えるお仕事です。
私のいた会社では、「お客様の業務の流れを把握・問題点を洗い出す・システム導入で解決する」というITコンサルのようなことをしておりました。
例えば私が2年目の時に担当したプロジェクト。「ペーパーレス化」。
お客様の業務内容は、「工場での製品の不良品チェックの結果を紙に書き、内容を整理してパソコンに打ち込む」というもの。
これ、無駄ですよね? パソコンに打ち込むなら、なんでわざわざ紙に書くのかと。
そこで、i-padから不良品のチェックを入力出来るシステムを導入しました。ただ、入力がめんどくさいと仕事になりませんよね? お客様から「余計な事すんな!」って怒られてしまいます。
ですので、タップだけで合格の印が付けれたり、その場で集計結果を確認出来るようにしたりと、様々な機能を追加しました
こういった、何を、どのようにするのか。を考えるのがSEのお仕事です。
それではどうしてこの仕事を辞めたのか。
ADHDは得意な事、苦手な事がハッキリと分かれます。苦手な事については、努力で解決出来ない事も多いです。※うっかりミスを無くすなど。
ただ、幸い私はプログラムを組んだり、設計したりは楽しいと思っていました。新人だったので、人にチェックをお願いしたり、お客様にも随時確認いただくことで、うっかりミスも許されるレベルにまで減らせていました。
ただ、私のいた会社。それほど大きくない会社でした。そのため、小さなプロジェクトを一人ですることが多かったのです。それ自体は良いのです。自分のペースで仕事を進められますからね。
問題は、仕事の内容があまりにも多岐にわたったことです。
①お客様のしている業務の理解。
私のいた部署は、流通、製造担当の部門でしたが、そもそもお客様の会社はどんな会社なのか。担当業務は販売なのか営業なのか。そして問題点の洗いだし方法と、現状把握。それだけでも相当量の知識が必要になります。
②何の問題点を、どのように解決するのか。
rubyやJAVA、VBといったプログラムを用いるのか。それともPentahoなどのツールを導入するのか。
③開発
基本的に一人なので、自分で書いた仕様書に従って、自分でプログラムを組んでいきます。
④セットアップ
状況によってはパソコンやサーバの導入も含まれます。この為、WindowsのセットアップやCentOSのセットアップなども行います。
⑥納品したシステムの保守
これは会社を辞めるまで基本、自分が持ちます。仕方ないです。設計、開発をしたのは自分だけなんだから、他の人が見たって何をどうしているのかわかりませんからね。
こうして、どの業種のどんな業務に何を使ってどのように納品し、どう保守をしていくのか。を全て一人で管理します。
今見ても半端ないですね。
自分の友人もエンジニアをしていたので、何をしているかを聞いたところ「Windowsのセットアップのみ」だそうです。そうですよね。こんなに色々なんでもしませんよね。
因みに同僚にその話をしたら、「マニュアルのある仕事? いいなあ。パソコンのセットアップなんてウチは営業や新人すらするじゃん」と言ってました。闇を感じます。
勿論、その分お給料は高いです。残業代もしっかり出るので、田舎の中小でありながら地元の他の企業に比べても圧倒的に高かったです。だからこうして短期間でもニート出来る訳ですしね。
それに、なんでも一人でやるのでとにかく勉強になります。たった1年違うだけで知識量が全然変わります。3年目の自分を4年目の自分は鼻で笑えます。
話を戻して、これ程の知識量。当然、1人前になるのに最低でも10年はかかると言われていました。定年退職して、再雇用になっていた60代の方がいましたが、その方は最早生き字引のようになっていました。
入社してすぐに、その方に聞かれました。
「将来、どんなSEになりたいか」
新人だった私は当時、SEの事は良く知りませんでしたが答えました。
「現場で必要とされているものを見極めて、導入できるSEになりたいです」と。
しかし、そんな私に返ってきたのは次のような言葉でした。
「それ、40代くらいで達成出来ちゃわないか?」
意味がわかりませんでした。仕事人としてのスキルって、20~30で積み上げて、40で会社の主力。50、60まではそれを維持する。それで良いんじゃないのかと。
しかし、彼は「出来る事が同じならば60代より40代に任せるだろ? だから、40代より50代。50代より60代の方が仕事が出来なくてはならない」と続けました。
そして、確かにその会社では、40代は50代に50代は60代に質問をしていました。当然、年齢が上がるほど質問のレベルも上がって。です。
まぁ、無理だと思いましたね。
ただでさえ、「覚える」という事は自分の苦手な分野。更に色んな事を複数行うのはADHDの自分には難しい。加えて、20代の頃はやる気さえあれば、うっかりミスをしてもフォローをお願い出来る。けれど、年を取ってくると、どんどん求められるハードルは上がる。更に言えば、他の部署はもっと激務だったりしてました。
そういった事もあって、前の会社を辞めました。次の就職先をどうするかは未定ですが、多分同じSEで、もう少し仕事の範囲が狭い会社に行くんじゃないかと思います。