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Rebecca Transferred/レベッカ異世界アドベンチャー  作者: 桃太郎V
Power Gem Quest
9/13

#9 Ruins/勇者の遺跡

 ここはユウシャ遺跡。これもまた前途の通り、有名な観光地だ。この遺跡に到着したレベッカ達は、ぶらぶらと歩いていた。


「ここに来たはいいが、なんか退屈。」

「お主、この前のように神殿を探してはどうか?」

「といってもね、神殿らしきものは見当たらないよ。」

「こんな話を知ってるか?この遺跡のどこかに勇者の剣が刺さっているという話だ。根気よく探せばいい経験になる。楽しいぞ?」


それを聞いたパメラはふと、異世界レベッカを思い出した。


「...うっ......。」

「おや、パメラ。どうしたの?」

「レベッカを思い出したの...。」

「わっ?そのレベッカとは私の事...いや、もう一人の私の事だよね?例のクエストで消息を絶ったあの私。」

「お主と黒いレベッカの他にもう一人のレベッカがいたのか?それは初耳だ。」

「そろそろ話すときが来ただろう。隠す必要はあるまい。」

「......。」

「そういやパメラ、ギガグリズリーの件で涙を流していたが。もう一人のレベッカの事だろう?その理由をわしらに説明してくれぬか?」

「......。」


これまでの経験からして、もう隠す必要はなかろうが、パメラは口を割らない。さては王様に口止めされてるのだろうか?


「信じられないかもしれないが、例のクエストとはつまりあれじゃん?マトリクス集め。」


それを聞いたパメラは動揺を隠せない。


「王様は何を企んでいるのかは知らないが、マトリクスを全て集め、王都に行ったきり戻ってこなかった。違うか?」


隠し通せる術がなくなったパメラの反応はこれとはいかに。


「...王様に口止めされた...。レベッカはマトリクスエネルギーの事故で行方知らずになった...。」

「なるほど。事故で...か。まぁ、案ずることはない。今回のクエストはもう一人の私のようにはいかないからね。」

「この事実が本当なら、王様は召喚魔法が扱えるわしの彼女をさらったことに説明がつく。行方知らずだったもう一人のレベッカを救出するためなのか。」

「ほら元気出して。もう一人の私はいずれまた会える。このクエストが片付く時にきっとね。」

「...うん。」


例のクエストの真実を全て話し、事が終わるまで頑張ると決めたパメラであった。本題に戻ろう。遺跡のどこかに勇者の剣が刺さっているという話に乗り、周辺で根気よく探し続けていた。しかし、1時間経過してまで探しても見つからなかった。


「見つからないなんて...。カイルよ、その話本当か?」

「全体まで探しても見つからないとは、おかしい。わしの記憶違いではないはずだが...。」

「1時間探し続けて損した。もしかすると、その噂に釣られて来た誰かに先越されちゃったり?」


何も得ることなく損したレベッカはもうひとつの可能性を考えた。


「その剣を手にした者を探さねば。」

「ふぇ?そうとは限らないよ。あくまでも、もうひとつの可能性っていう話だよ。」

「低かろうその可能性に賭けるという勇者の醍醐味だ。」

「おやおや、どうしたのカイル?今回の君はヘンだよ。」

「カイルは勇者に憧れて、楽しんでいる。そうしておいて。」


違和感なのか、それともただの勇者好きなのか、カイルは勇者の剣を持つ者を探しに動いたのであった。

 遺跡の隣のパブ「フシギガメ/Fushigigame」で情報収集を行った。まずはリーゼントのおっさんに声をかけた。


「勇者の剣を持つ者を知ってるか?」


すると、おっさんはあの口調で会話した。


「知っても教えないよ。」


少し奇妙な言動でカイルとパメラは唖然する一方、レベッカはこの言動からしてあの人物を連想させた。


「...マーシーか?」

「はい。」


そっくりさんかどうか確認を取るレベッカ。


「マーシークエストを知ってるか?魔王を倒してジ・エンドという小さな冒険の事。」

「俺が主人公だよ。マーシークエストの。」

「じゃあ私の事を知ってる?昔、演劇で一緒にやったじゃない。」

「やった。」


どうやらマーシーはレベッカとは面識があるらしい。


「お主、こやつを知ってるのか?」

「知ってるも何も、この人はマーシーだよ。え?知らないの?」


マーシーはレベッカと同じく異世界に召喚されたのかもしれない。


「わしはこやつを召喚した覚えはない。何故だ?」


召喚してないのに戸惑うカイル。


「じゃあマーシー、君はなぜここに来たの?目的はどんな?」


レベッカの問いにマーシーはそう答えた。


「ぶらぶらしてる間に、光を包まれた。気がついたら、城下町にいた。お城にいって、王様を会った。王様の命令を聞いた。その命令は、ユウシャ遺跡を剣を置くじゃなく、隣村を剣をここで、置く。王様のお望みを叶えるのは、こちら。」


理解不能な言動に困惑するカイルとパメラ。


「どうも理解できんな。言語に難があるのか、こやつ。」

「意味がわからない。誰か訳して。」


レベッカはそんなことを気にせずに続けた。


「まあ落ち着いてよ。彼は我田引水なんてことはない。存在意義のある方だよ。それより、勇者の剣を持ってる?」

「はい。」


どうやらマーシーに先越されたらしい。


「その剣をどの地に置くのか教えてよ。この前と同じく神殿への道が開く手がかりになるので。」


「お主までも?...マトリクスを手にするためなら、このおっさんと協力するほかならないな。」


そうと決まれば、レベッカ達はマーシーに身を委ね、ここからは彼の行動に従うことにした。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ここは遺跡の隣村「Shemoan(シィモン)」。ユウシャ遺跡からかなり離れ、パブから少し離れた位置にある。住民は、わりと少ない。


「さて、剣を置く台座らしきものはどこかな?」


マーシーが案内してくれるので問題ない。口より行動で示した方がわかりやすい。歩いて、噴水前に立った。これもマーシーが導いた答えだった。


「なるほど、噴水前に立って、そこに剣を置くという寸法かな?」


マーシーは噴水前に勇者の剣を置いた。すると、噴水の手前に隠し通路が開かれた。方角はユウシャ遺跡に向けているということは、その遺跡の地下神殿の入り口というべきか。


「いくぞ。」


 マーシーを先頭にレベッカ達は、エントランスへと進んだ。内部は遺跡らしい雰囲気の構造だ。壁画とか刻印とか勇者の名前とかが彫ってある。名の通りかもしれない。


「待てよ?マーシーがいるということは、小さな探検として進むことになる。わりとすぐに終わるのはもったいないな。」

「そうなのか?」

「え、知らないの?マーシークエストには4つのナンバリングがあってね。1はただ、魔王を倒すだけ。その道のりは短いよ。2は、勇者と第二の魔王メガキョーンを倒すだけじゃなく、魔神ユニクォーンを倒し、謎の家のテレビを調べて終わり。3は、本格的ロボRPG?みたいで、王道に復活したメガキョーンを倒す、ただそれだけさ。4は、彼とネコ3匹で魔王二世を倒しに出る小さな物語さ。」

「お主のそのくだらないこやつの話、実に興味深いな。ぜひ、見てみたいものだ。」

「レベッカはいたの?」

「いやー、当時の私はまだ出演してなかったからね。すまないな、パメラ。」


 ここは歴代の勇者のフロア。そこには異世界レベッカと思わしきものの名と経歴が書かれてあった。パメラは以前のクエストを思い出した。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「私達の望む平和を実現するために、各地クエストを解決していこう。」


 異世界レベッカの功績、それは彼女にとって望んでいるであろう平和を実現するためであった。シィモンの住民達は彼女を勇者として称えるかのように、地下神殿の石板に記録した。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「どうしたの?じっと見ていて。」

「レベッカを思い出しただけ。」

「マーシーに置いてかれるよ。彼はまっすぐに進むタイプなんでね。」


 迷路っぽいフロア。壁に馬と魔物が描かれてある。それはわかる人にはわかる、アレだ。


「1に出てきたあのダンジョンだな。魔物を避けるアレだ。案外短いよ?」


マーシーはただただ、目的地に進むだけ。真剣に魔物を避けつつ、魔王を模した魔物に話しかけず進み、その奥にヒメのそっくりさんがいた。ヒメとはレベッカの友人の一人であり、スラヴとラテンのピアニストだ。レベッカの目の前のヒメは似ているが別人だ。チャレンジャーを待っていたヒメは1とは台詞が違うものの、こう言った。


「お待ちしておりました。ここまで辿り着いたあなた方を最後の試練までご案内します。」


 そのそっくりさんはレベッカ達を次の部屋に案内した。その次の部屋、その最後の試練の正体はボス部屋であった。


「こちらです。」


そこには、2に登場した魔神ユニクォーンそっくりの巨大モンスターが立っていた。


「まんまじゃない。」

「これは...ユニコーンのツノが二つの魔物!」


カイルは少々驚いたようだ。


「ヒメよ、これは一体?」

「こちらは奥の部屋のマトリクスを守っている守護神・ユニクォーン様です。」

「2と同じ名のまんまじゃない。どうする?」


レベッカはユニクォーンを相手にどう戦うのか、皆に問いかけた。


「どうするも何も、ツノをなんとかせんと突破は難しいぞ。」


カイルはあのツノを対処しない限り突破は難しいと述べる一方、マーシーは作戦を考えずガーディアンに向かって大声で叫んだ。


「うるせぇぇぇぇぇぇばっかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


あまりの威力、凄まじい衝撃波でガーディアンは撃破された。


「相変わらずのチートだね。」


マーシーには最強級の魔法が備わっている一方、肉体的な攻撃面および防御面では最弱である。倒れたガーディアンの先にマトリクスが置いてあるのドアがあり、次の部屋に移動した。黄色のマトリクスを手にした後、マーシーはなりふり構わず神殿から出ようとした。


「おっさん、そう急かすことはないだろう?」

「マーシーはそういう人なんだよ。目的を達成した、ここに用はないって。」

「...おっさんを旅のお供にしてつまらん。」


マーシーによる、強そうなガーディアンを、興味深い地下神殿を簡単に倒せて、終わって急かそうって、つまらなかったカイルであった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 地下神殿から出たレベッカ達だが...。


「もういい、おっさんはわしらのパーティから出てけ。」

「ちょ...カイル。」

「やだ。俺がまだ続く。」

「大概にしてくれ。おっさんの壊滅的な言語、わしには理解不能だ。」


そこで、まずいタイミングで、マトリクスを手にやって来たネメシスが現れた。ネメシスは実は拒絶するほど痴が嫌いらしく、すぐさまにマーシーに剣を向けた。


「黒いお主...このおっさんとは何なのか知ってるのか?」

「知らないのか?こいつは出来損ないバカだ。」


無論、異世界に痴は存在しない。この世界の人間にとってマーシーはイレギュラーの存在。事が起きる前に彼を始末しようとするネメシスだが...。


「そんなことしなくてもいいじゃない?」

「自我の薄い、知性はなく、親の利益のための道具に何の可能性がある?」

「仮に彼は我田引水でも役立つこともある。それでも嫌というなら、送り返せばいいじゃない?」


軽い揉め事。


「だが、わしには別世界に送り返す魔法なぞ使えん。使えるのは召喚魔法すなわち呼び寄せる魔法のみだ。」

「参ったな...元の世界に帰れるまでの間、我慢するほかないな。」

「...なら仕方ない。当分の間、おっさんに対しても我慢も遠慮もしない。その代わりにおっさんも私を知ってもらう必要があるからな。」


マーシーはネメシスの回答を聞いて


「これでいいのだ。」


とほっとした。最後のマトリクスを回収するために、ガオ火山へ向かうレベッカ達であった。

―――――――――――――――――――――――――――――To be continued

*ログブック更新*


〇現在のパーティー

1.レベッカ

2.カイル

3.パメラ

4.マーシー

5.ネメシス


〇マトリクス

赤:まだ

緑:GET

青:GET

黄:GET

シアン:王様の手に

パープル:GET

白:GET

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