哀しみを知る人への詩
からからと 頭の中で音がする
誰かが落とした空き缶を 風が無邪気に転がしてるの?
いいえ それはあなたの風車
あの人の秘密に触れてしまった 哀しい一夜
涙がはらはら頬をつたい
声を殺した慟哭が 厚い壁をもつらぬく一夜
キャンディー色の夢みる隣人は
しのびよる悪夢のかおりに 眉をひそめる
秘密を忘れてあなたをなでる あの人の掌に身をゆだね
あなたはどんな音を聞くのだろうか?
からからから からからから
誰もいない小屋のなかで あなたの影が血を流す
理想と幻想の交わりは秀逸な芸術品
あなたの涙はほんのスパイス
果てることなき孤独の時間は
目覚めぬ日まで あなたを巣食う
からからと音がしたなら 生きていても大丈夫
こころが動く証拠なのだから
あの人のために血を流すことのできる証拠なのだから