苦しむあなたのそばにいたい
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「うぁ、ああアアァああアア!!?」
「!?」
メルガディスとの激戦が続き、一進一退の攻防が続く。数分か、数十分か、もうどれほど戦っていたかわからない。それでも体力が、神力が消耗していっているのは確かだ。
その時聞こえた、聞いたことのない叫び声。聞いたことないものだったけど、誰のものかはわかる……ヒロトだ。ヒロトの声だ、間違いない。
「ヒロト!?」
まるで獣みたいなそれは……一体、何が起きているのか。わからないけど、いい予感がするはずもない。悪い予感だけが募っていく。
「ふは、始まったようですね。……隙あり!」
「……」
ヒロトの叫び声に気を取られていたためか……何か強い衝撃が、私の体を打ち付ける。それがメルガディスの攻撃によるものであると……そんなこと気づかないくらいに、放心していた。
「私との戦いの最中によそ見をするとは……随分余裕ですねぇ」
辺りを煙が包み込む。まともに食らえばひとたまりもない……そんな一撃。並みの人間がもろにくらえば、体がバラバラになってしまうであろうそれを、私はまともに受けてしまった。
……けど……
「……!? ……驚いた……まさか今のを耐えきるとは。いや、それどころか……」
私は、倒れなかった。メルガディスの驚きは、私が生きていることに対して、立っていることに対してのものだ。痛みはあったと思う。血もたくさん出てたと思う。
それでも……不思議と私は立っていた。
「……はは、いいですよ。そのタフさ……それでこそ殺しがいがあるというもので……」
「邪魔!!」
……気付けば、私は走っていた。ヒロトが……好きな人が苦痛の叫びを上げるその場所へ向かって。あの声を聞いて、ここに留まることなんて私にはできない!
痛みとか、そんなもの忘れていた。それくらい、必死だったんだと思う。体に鞭打って……いや、無意識に体が動いていたのだ。
目の前のメルガディスが邪魔だったから、無我夢中で突撃した。不意をついたのだろうか、突撃した瞬間に奴を吹き飛ばしたけど……その際、一気に残る力を使ってしまった。
力の調整ができないくらいに、頭が真っ白になっていたから。
加えて、たった今メルガディスから受けた、本来なら瀕死になるであろうダメージがある……すでに体力は著しく減り、体もボロボロだ。
もう大した力は残ってない……走る力さえも。
それでも、走った。全力で……残っている力を振り絞り……いや力を引き出してでも。
ヒロトが苦しんでいる。理由はそれだけで充分だ。
「……ヒロト……ヒロト!!」
お願い、ヒロト……無事でいて……!




