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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
最弱と最強の出会い
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神力学園へようこそ



 ついに確信に触れる。何者か……当然といえば当然の疑問。言っても信じてもらえるとは思えないが……素直に神様だと言うつもりか?



 エルシャは、ここにきてもなお余裕の態度を崩さない。その余裕はどこからくるんだ。



「うーん……あまり公にはしたくないんだけどなぁ」



「安心してくれ、ここには我々四人しかいない。外から聞き耳をたてている輩もいないし、我々が口を割らない限り外部に漏れることはない」



「……みたいね。問題はあなた達の口が軽いかどうかなんだけど」



 この場にいるのは四人。当の本人と、ある程度の事情を知っている俺を除けば二人だ。



 外から聞き耳を立てている者はいない……と、気配察知能力でもあるのか他に誰もいないことを確認したようだ。続いて信用に値するのかと俺達に疑念をぶつけてくるが……



「……って言っても、不本意ながらこんなこと普通、言われただけじゃ信じられないもんね。そこのヒロト君みたいに」



 その内容が信じられないものであることを話してから、俺を見てくる。



 今こそそれなりに信じてはいるが、俺だってあんなことがなければ、本人から言われても信じてなかった。本人から言われてこうなのだ。



 ……仮に今日初めて会った奴が、私実は神様なんだ、と言ってきたたとしよう。普通信じるだろうか? 何言ってんだこいつ、頭おかしいんじゃないか……そう思って終わるのがオチだろう。



 こいつ、不本意とは言いながらも自分が神様だと信じてもらえない自覚あるんじゃないか。それなのによくもまあ、俺に口頭だけで信じさせようとしたものだ。ある意味感心するよ。



 そんなことを考えていると、エルシャは咳払いを一つして息を吸っているのが見えた。どうやら何をどう説明するのか、それを決めたようだ。



 何を言うのか俺も注目して、視線を一身に集めるエルシャは笑顔のままに口を開く。



「こほん。えー……私は、神様です」



 ……まさかの、ドストレートだった。だが俺は、口出ししない。めんどくさいから。……唖然としながらも口を挟まないアカリと先生を見て、それからエルシャの説明が始まった。



 チンピラに追われていたこと、そこで偶然俺と会ったこと、そして俺に与えた力により裏山の一部が消失するような状況に陥ったこと……



 自分が神様であると大方俺にしたのと同じような説明に加え、そこから俺と出会い、最終的にアカリに発見されるまでの過程。



 それを終えた後……エルシャは軽くため息をついた。これで説明は終わりと言わんばかりだ。



「……と、言うわけで私はここにいるってわけ。わかった?」



 腰に手を当て、わかったかと聞きながらもわかって当然、といった顔をしている。



 さっきから何かふてぶてしいと思っていたが、こいつは自分が神様だからそういう態度でいたらしい。力を失ったというくせに。



「え……神様? え……何言ってんの?」



 案の定、アカリは混乱しているようだ。それはそうだろう、いきなりこんなことを言われては……な。



 最初に口を挟まなかったのも、もしかしたら挟まなかったんじゃなくて挟めなかったのかもしれない。あまりに現実離れした話に。



 おまけにアカリは、俺とは真反対に神様ってやつを信じていた。まあこの世界じゃ信じてない俺が異常なんだろうけど……



 まあそういうわけで、信じていた神様が目の前に現れた、というのは嘘か本当か別にしても俺とは違う意味合いで衝撃を受けていることだろう。



 対して先生は、驚きは見せつつもそんなに動揺していないようだ。落ち着いて見えるさすがは大人って感じだな。



「先生、驚かないんですか?」



「いや、驚いてるさ……だがつじつまが合うというのも事実でな。それに……」



 驚いてはいるようだ。だからといって、つじつまが合うという理由でその程度の驚きで済むのすごいな。エルシャに視線を向けながら、先生は続ける。



「彼女には何の力も感じない。元々何の力も持っていない……とう考えも出来るには出来るが、どうもそうは感じない。力を失ったというのが本当なら……その話もうなずける。」



 とても驚いているようには見えない、冷静な口調。そう告げる先生には、実は相手がどの程度の力量を持っているか測ることができるのだ。



 洞察力が高いのか、そういう力を持ってるのか深くは知らないけど、それも、先生が神力テストの教官を任されている理由の一つだ。



「けど、そんな滅茶苦茶な話……」



「カルバジナとキスしたことで自分の力を渡し、発動させた……確かに滅茶苦茶だが筋は通っている」



「キッ……」



 そんで冷静な先生とは対称的に、アカリはさっきからどうしたんだ。驚いたと思ったら赤くなり、今度は青ざめている。まったく、喜怒哀楽の激しいことだ。



 そこがアカリのいいところなんだけども。



「ま、とりあえず状況はわかったよ。他にも聞きたいことはあるが……今は状況の整理が優先だ。聞くのはまたの機会にしよう」



 とにもかくにも、今は状況の整理が最優先ということもあり、これ以上の詮索はひとまずしないことになった。



 とりあえず今は頭の中が滅茶苦茶だ。聞いたアカリ達もそうだろうが、実は当事者の俺がまだあまり理解できていないのだ。



「さて……話は戻るが、裏山の件だ。理由はわかったが、だからといってはいそうですかというわけにもいかん。学園の備品をあんなにしたんだ……それなりの要求はのんでもらうぞ?」



 話は切り替わり、原因の追求から、結果の落とし前についてだ。やはりまだ全てを信じたわけではないのだろうか、もしくは信じていてるからこそなのか。



 理由に正当なものがあり、正当防衛という形であるとはいえ……やはり無罪放免というわけにはいかなさそうだ。



 そうなると、俺にも何らかの処罰が待っていたりするのだろうか。まああの場で死んでいたかもしれないことに比べれば、どんな処罰でも受け入れるつもりではあるが……果たして何なのだろう。



「はぁ……わかったわよ」



 不服そうな顔をしながらも、エルシャはうなずく。やっぱり偉そうだよなこいつ。とりあえず了解したエルシャの様子を見た先生はにっこりと笑顔を浮かべながら、こう続けた。



「エルシャ……キミには、この神力学園に籍をおいてもらう。校長には私から話をつける」



「……はぁ!?」



 唐突な先生からの提案……というかほぼ強制的に思える発言。……まあそうなるだろうとは思っていた。だがそれがまさか落とし前という形で利用されるとは思わなかった。



 そしてその用件にすっとんきょうな声を上げたのは、他ならぬエルシャ本人だった。



「ななな、何ですって……」



「聞こえなかったか? キミにはこの神力学園に……」



「聞こえてたわよ!」



 聞こえなかった、というお約束のはパターンではないらしい。だがそんなに不思議な話だろうか?エルシャの今の立場なら、どこかに保護してもらったほうが安全だろうに。



 気づいているのかいないのか、信じられないといった表情を浮かべながら、エルシャは続ける。



「か、神であるこの私に、人間と同じ学園に通えって言うの…て?神であるこの私に! 神であるこのわ……」



「神の力を無くしたんだろ? なら今は人間と言って差し支えないじゃないか」



 無駄に神を主張してくるエルシャだが、それは先生には通用しない。それがわかってか、さっきまで余裕そうな表情を浮かべていたエルシャはどこへやら、ぐぬぬ……と悔しそうな表情になっている。



 何だろう、見ていてとても爽快だ。



 対して先生は得意気だ。正直俺は、エルシャでも先生に口論で勝てるとは思っていない。なぜなら先生は、そういう人だから。



 口が達者で、うまく丸め込まれたことも一度や二度じゃない。……いや、決して俺がチョロいからじゃないからな?他の奴らもそうだからな?



「今の話だとキミは狙われてるんだろう? それに対し今のキミは何の力もない……ぶっちゃけ、そこの変態よりも役に立たない」



「そこで俺出すなよ!」



「ならそんな無力なキミを保護観察下におくのが、一番理想的だと思うが?」



 俺への風評被害はともかく置いとくとしても、ぐうの音も出ないとはこのことだろう。何せ全て正論なのだから。これに反論する材料をエルシャは持っていないだろう。



 それでも人間と同じ学園に通うのが嫌なのか、エルシャも食い下がる。



「けど、ここは“聖なる力”……あなた達は“神力”と呼んでいるみたいだけど、そんなとこに何の力もない私が通っていいのかしら?」



 ……そんなに人間と同じ学園に通うのが嫌かよ、エルシャさんよ……



「問題ない。“神力”が発現する予兆がある、とでも言っておけばいいさ。実際生まれつき使えるものから成長途中で使えるようになった者と数多く存在するからな。特に私はその手の目利きが利く。私の口添えがあれば問題ないだろう」



 正論に次ぐ正論、それを聞いたエルシャは、再び押し黙ってしまう。もう諦めてしまえばいいのな。先生と口論して勝てるはずがないぞ。



「……わかった。通ってやろうじゃないの……この学園に」



「おや、こちらが保護してやろうというのにその言い方か?」



 悪魔だ、悪魔がここにいるぞ。自分で提案しておきながら、それでわざわざ頼ませるのかよ、ドSだなこの人。別にいいんだけどさ。



 逆に、俺としてはエルシャの偉そうな態度が崩れて見れて、ラッキーのなんの。



「……こ、の学園……」



「神力学園な」



「……神力、学園に、通わせて……く、くだ……さい……」



 屈辱。口に出しているわけではないが、実際にそう顔に書いてあるかのようだ。その上、苦虫を噛みつぶしたかのように顔を歪めている。あー、こりゃプライドバッキバキですね。



「もちろん、歓迎しよう」



 言わせたことについて何も思ってないのか、最初から用意していたはずの返事をエルシャに返す。これで、エルシャもこの神力学園に通うことが決定したわけだ。

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