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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
最弱と最強の出会い
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目覚めの波長



---



「っ、つつ……」



 リーシャとゴディルズの戦いの余波に巻き込まれ、俺とエルシャ、オルテリアは吹き飛ばされてしまった。だが俺は、軽い打撲だけで事なきを得る。他二人は……



「二人とも! 大丈夫か!?」



「え、えぇ……」



「けほっ。大丈夫ですわ!」



 姿は見えない二人へと呼び掛けると、それぞれが応えて安否を確認。二人とも大したことはないようだ、良かった。



 辺りでは、激しい戦闘が繰り広げられたままだ。数に対して力で推しきる……それしか方法はない。たが、確実に差が開きはじめている。……みんな、神力の力が弱くなってきている。



 本来神力には、限りがある。力を無限大に使うことはできないし、それでは精神力も持たない。走り続ければ体力を消耗するように、使い続ければ消耗するものだ。



 だからこそアカリやオルテリアといったAランクと評される人物は、他ランクと一線を越えている。力の大きさはもちろん、力の持続力も並みのものではない。



 器が大きい、とでも言えばいいのだろうか。もちろん訓練次第で変わるが、AランクとDランクとじゃそもそもの器の大きさが違う。



 よって神力を使い続けると、使える残りの量が減ってくる。どんな力でも限りあるように……



 だから、いくら高ランクといえど、こうも休みもなしに神力を使い続ければいずれは力尽きる。



 このまま戦況が長引くのは、非常にまずい!溢れ出てくる悪魔は数を増す一方で、数もどんどん差が開いてきてしまっている。



 弱まっているのは神力だけではない。リーシャの天力だって、限定的なものだと言っていた。



 悪魔四神と渡り合える程の力であるが、その力が出せなくなれば……簡単にやられてしまうだろう。



 だが短期決戦が望めるほど、奴らを簡単に倒せるなんてことは出来ない。それが出来るとしてもティファルダ先生くらいだろうが、それにしても数が多すぎる。



 ……とにかく、何もかもが足りない!



「……くそ!」



 俺は、先生から貰った拳銃を見つめる。人間相手なら充分武器になるだろうこれも、悪魔相手にはまるで意味がない。それに、弾丸すらないのだ。



 本来武器であるこれだって、俺の神力をより使いやすくするためのものだ。神力を打ち消す神力……神力使いには強力な武器となるこれも、悪魔相手にはまるで意味がない。



 現状、俺は何の役にも立たないのだ。何も出来ない。神力が使えるようになったからって調子に乗って、にも関わらずの役立たず……!



 結局、俺がここにいる意味は……



「意味なんか、ないのかよ……!」



 この状況を打破できる何かが俺に……なんて都合のいいものは求めない。けどせめて、俺だって誰かの役に、意味のある存在になりたい……!



「……意味なら、ありますよ」



 慰めなんていらない……そう言って振り払おうとした声は、しかしここにはないはずの声だった。項垂れる俺に届くのは、知っている人間の……ここに、いないはずの人間のものだ。



 顔を、上げる。そこにいたのは……



「……き……」



「キルデ!? 貴方、何故ここに……!?」



 この学園にはいない人間。行動を共にすることこそあったが、ここにいるはずのない人間。オルテリアの幼なじみである男、キルデ・オスロがそこにいた。



 オルテリアも、その人物を見て驚いている。彼女も、キルデがここにいる理由がわからないらしい。



「何で……ここに……?」



「と、とにかくキルデ、危ないので私の側へ……」



 何でここにいるのか……その答えを聞く前に、まずは安全を確保しなければと駆け寄るオルテリア。困惑と焦りと他にも、複雑なものが絡み合った表情だ。



 そんな彼女にキルデからも近づき……オルテリアの胸元を、キルデはトンと指で突いた。



「! かっ……!?」



 瞬間、オルテリアはまるで力が抜けたように膝から崩れ落ちる。本人も、何が起こったのかわかっていない表情だ。



「……え?」



「力が……はいらなっ……」



 そのままうつぶせに倒れ、体を動かそうとしているオルテリアであるが……力を入れても、体は動かないらしい。キルデが、オルテリアを……?



「安心してください、喋れるようにはしてありますから」



「キルデ……貴方、何を……何で?」



「この状況……あんた、何なの!」



 苦しそうなオルテリアであるが、命に別状はないと話す。その状況に尋常ならざるものを感じたエルシャが食って掛かるが、平然とした様子でキルデはエルシャを見つめる。



「まあまあ、落ち着いてくださいよ。神様」



「なっ……」



「あぁすみません、元、神様でしたね」



 何でもないように、あっさりとエルシャの正体を看破する。なぜキルデがそのことを知っているのか……オルテリアにさえ、話していないことなのに。



 何が……何が起こって……?



「まあ今は、貴女に用はないんですよ。用があるのは……貴方だ、ヒロト・カルバジナ」



「……俺?」



 ……どういう、ことだろう。キルデはエルシャの正体を知っていて、けれど用があるのは俺だと言う。



 意味が、わからない。同時に、胸の奥が苦しくなってくる。何だ、この感覚……



「はぁ、はぁっ……!」



「さあ、思い出してください」



 まばたきをした一瞬の間に、背後にいたキルデはそっと、俺に耳元で囁く。俺はいつの間にか背後にいたことへの驚きよりも先に、疑問が浮かぶ。



「思い……出す? なに、を……」



「何を……わかってるでしょう?」



 何だ……何も、わからない。こいつは何を言っているんだ。俺なんかに、一体何の用があるってんだ。



「……貴方は一体……何者なんでしょうね?」



「俺は……」



 何者か、だって? 俺は俺だ……ヒロト。ヒロト・カルバジナが俺の名前だ。それ以外の何者でも……ない……



「っつ……」



 ズキッと頭痛がする。たまに訪れる、変則的な頭痛。またか……こんな時にまで、何で……



「その頭痛がただの頭痛だと、本気でお思いで? 己の過去に関することを思い出そうとすると起きるそれが、本当に単なる頭痛だと?」



 囁かれるその言葉に、ドキッとした。頭痛のこともそうだが……心当たりが、あるからだ。



 確かに、昔のことを……もっと言うと母さんとか、そういった過去に関することを思い出そうとする度にこの頭痛は訪れる。なのに、過去のことは一切思い出せない。



 いたはずの、母親の顔さえも。



「何だか知らないけど、やめなさい!」



「黙って見ていてください」



「っ、う……!」



 遠目に、エルシャがキルデに掴みかかり……振り払われるのが見える。だが手で払うなんて生易しいものではなく、岩に叩きつけるような強めの力で。



 その間にも、頭痛がやむことはない。何かを見ることさえ、考えることさえやめたくなる。



「うっ……!」



 どんどん頭痛が激しくなる。頭が……割れそうだ……!今まで軽い頭痛なら何度かあったが、こんなの、初めてだ……!



「当然ですよ。ないはずの記憶を思い出す、なんてことはできないんですから」



 ない、はず……? 何を、言って……んだ? 状況が把握できないし、頭痛はひどくなる一方だし、体は熱い! もう、ぐちゃぐちゃだ……!



「さあ、もう夢の時間は終わりです。お目覚めください。……

……

……“魔王様”」

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