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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
最弱と最強の出会い
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会長と副会長



---



「うりゃあああ!」



 スピードを活かし、色んな角度から攻撃を仕掛けていく。だけどそれらは全部弾かれてしまい、ヒットしても致命傷へは至らない。



 会長の身体能力も当然高いのだが……問題は、あの剣だ。



 魔剣だか何だかわかんないけど……時折、まるで自分の意志で動いてるんじゃないかって動きをするし、読めない。



 こっちの攻撃は当たらないのに、向こうのは少しずつ当たっている。それも、刃なのだから油断すればさっきみたいに脚を斬られかねない。



「しつこいですよ、ネコ」



 何度攻撃を防がれても向かって来る私にイラッとしたのか、会長の目が鋭くなる。けれど、怯むわけにはいかない。



 イライラしているということは、それだけ思考が鈍りやすいということ。ならばそれを利用させてもらう。



 こうして動き回っていれば、どこかで隙を見つけることが出来るはず! 何たってこの速さは、私が会長に勝てる数少ない要素……それを活かさない理由はない。



 疲れなんて、気にするな! とりあえずあの魔剣を弾き飛ばすことでもできれば、防戦一方のこの状況を変えることができるはず……



「……って、へ!?」



 決して油断していたわけではない……が、目の前の光景の動揺が、一瞬のアダになる。魔剣の切っ先……刃のはずのそれは、動き回る私を正確に追尾してくる。



 それは刃などではなく、まるで触手……自在に動く鉄だ。



 それは私の体を縛り、拘束する。体の自由を奪われたのだ。



「くっ……どうなって……?」



「驚きました? この魔剣、形状も硬さも自在なんですよ。こうしてキミを縛っているのも、鉄の硬度ならばすでに体は粉々だ」



 私の中の疑問に答えるように、近づいてくる会長が語る。確かに、刃に拘束されればその時点で私の体は……つまり、私がいま生きているのは、会長の采配次第ということだ。



「もはや……剣じゃないっ……」



「言ったでしょう、魔剣ですよ」



 くっ……常識なんて、通用しない、ってことか……!そもそも悪魔なんてのが常識外だ、何が起きても不思議じゃない……か。



 抜け出すために体をひねるが、拘束が強いため全然抜け出せない。そんな私の様子をあざ笑うように、会長が私をじっと見つめている。足掻いても、何の意味もないと言わんばかりに。



「あのまま殺しても良かったんですが……ネコ、貴女とは長い付き合いだ。どうです、こんなくだらない世界なんか捨てて、一緒に来ませんか?」



 私を生かしたままなのは、私に対する慈悲……それに近いような、遠いようなそんな理由だった。



 会長に、着いていく……それは一見、今までと同じだ。生徒会の副会長として、会長の隣を歩けるように着いていく。



 ……けれど……そんなのは、明らかに違う! この世界を……捨てろと言うのだ。



「……お断り、です」



 会長のことは尊敬している。それに、それだけじゃなくて…………でも、私が大切なのは会長だけじゃない。この世界全部捨てて会長と一緒に……とは思うことは出来ない。



 捨てられないよ。



 そんなんじゃ……会長のことを『好き』とは本当の意味で言えないのかもしれない。でも、自分の気持ちに嘘はつけない……会長は好きでも、私はこの世界も大好きなんだ!



 私の返答に、会長は軽くため息を漏らす。



「そうですか、残念です……ならこのまま、魔剣デスピアの血肉と……」



「私が生徒会に入ったとき……会長はまだ副会長で、私は雑用だったよね」



「……何ですいきなり」



 会長の気分一つで、私を拘束する触手は鉄の凶器となって私の命を簡単に絶つ。私の言葉が、どれだけ会長に届くかはわからないけど……それでも私は、語る。会長との思い出を。



「最初の頃は、ミスばかりで……よく、会長に怒られたよね。それでも、私は会長に憧れてたから……会長みたいに、周りから必要とされる人間になりたくて」



「遺言ですか? それとも、思い出を語れば僕の気持ちが揺らぐとでも?」



 今まで見たことのない、冷たい瞳。会長の言う通りだ、こんなこと言ったって、会長の気持ちを変えることなんてできない。



 それは、今まで会長を見てきた私だからこそわかることだ。



 ……だから、変えてやる!



「うぅう……うにゃあああぁあ!」



 今の独り言にも近い台詞、その一番の理由は……少しでも、時間稼ぎをすること。消耗した力を、少しでも回復するための。



 その目論みは成功した。だから私は、自分自身の体に思い切り電撃を流す。



「っ!? ぐぅっ……ちょこざいな!」



「ぐっ……ふぅ……!」



 私の体に流れる電撃は、私を縛り付ける触手を伝って会長へと届く。この行為は、私自身にもダメージを負わせるが……これしか方法が、ない。



 軽い電撃では意味がない。強めの電撃で……体が悲鳴をあげるが、そのおかげで会長が拘束を解く。体が自由にさえなれば、こっちのものだ!



「おりゃああ!」



 その勢いに乗せ、体を包んでいた電撃をエネルギー波に変換し、放つ。痺れていた会長は避ける、反撃の手が打てず、咄嗟に魔剣で切り裂くが……剣を伝わり、感電する。



「っず……! ネコ……!」



 恨めしげに私を見る会長の目は、優しかった頃の会長のものではない。いや、もしかしたらあれすらも演技だったのかもしれない。けど……



 ……そんなの、認めたくないよ。



「会長は私達のこと、見下してたのかもしれない。……でも……会長のあの優しい顔も、声も、全部が嘘なんてそんなこと言わせない!」



 あの生活の全てが嘘だったなんて、私には思えない。思いたくない。会長は優しくて、思いやりがあって……それも全部含めて、会長なんだから!



「戯れ言をぐだぐだと……諦めなさい。今お前を殺そうとしている、これが僕の本性だ」



 どこまでいっても、平行線……ならば話す権利があるのは、勝者だけだ!



 また元に戻るのは無理かもしれない。それでも……私は諦めないよ、会長。

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