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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
最弱と最強の出会い
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ずっと一緒に



 ずっとヒロトは、頑張ってる。授業は真面目に聞いてる。その証拠に、ペーパーテストの成績は上位だ。知識は、あるのだ。だというのに……実力が出てこない。



「おい見ろよ、"落第の弾丸"だぜ」



「弾丸? 何だそりゃ」



「弾丸みたいに、ずっと一直線にこのまま、って意味らしいぜ」



 そんな皮肉めいた呼び名で呼ばれることになったのは、いつからだっただろうか。何で、ヒロトがこんな思いをしないといけないのだろう。



「ひ、ヒロト! 気にすることないよ!」



「はは、大丈夫だって」



 平気だと言っていたヒロトだが、その心に何を思っていたのかはわからない。悔しくない、わけがないのだ。



 ……神力なんか欲しくなかった私がAランクという最高記録を叩きだし、神力を求めるヒロトがEランクという最低記録を叩きだしたのは、何て辛い現実だろうか。



 この学園に、ヒロトの味方はいなかった。



 だから私は、せめて私だけはヒロトの味方でいようと……ヒロトの隣にいようと、そう心に決めた。私が離れなければ、ヒロトが一人になることはない。



「ねえヒロト。私、ずっと側にいるからね」



「え、おう。ってお前それ、何か聞き覚えあるな」



「ふふっ」



 こんなやり取りも、あったっけ。仲良くしてる私達を周りは不思議そうに見ていたけど、そんなのは気にならなかった。逆にヒロトは気にしても、私から気にするなと言ってやった。



 神力を使えようが使えまいが、私は私。ヒロトはヒロトだ。何も変わらない。これまでも、そしてこれからも……私達は、私達のままでいよう。



 けど、実際にヒロトが神力を使えた時は……嬉しかったなぁ。まるで自分のことみたいに。



 神力を打ち消す神力なんて、そりゃあテストには引っ掛からないはずだよね。神力に当てないと、効果がわからないんだもん。



 そんな力聞いたこともないけど……あんなに頑張ってたヒロトに成果が表れたことが、この上なく嬉しかった。



「それでね! ヒロトが神力を使えるようになったんだよ! すごいことだよ!」



『あー……わかったからお姉』



 その日の夜、私は妹に電話をした。私は寮に住んでるから、当然離れ離れだ。だからこうして、度々連絡を取り合っている。



 妹であるユメ。ヒロトとも面識があり、昔はよく三人で遊んだりもしたものだ。



 ヒロトが神力を使えるようになったことを、今話している。まあ今までは使えないっていうか力が弱すぎるって方が正しいんだけど。



『何回同じ話するのさ。というか、神力学園にいる時点で神力を使えなかったことの方が異常だったんだから、むしろこれが普通でしょ』



「むう、それはそうだけどさ……」



『まあでも、気持ちはわかるよ。ずっとヒロ兄のこと見てたもんね、お姉は』



「ま、まあ……」



 ずっと見てたなんて……そんなこと言われると、照れちゃうよお。



『で、いつ告白するの?』



「っ!げほ!げほっ……」



 唐突に放たれた言葉に、何も飲んでないのにむせてしまった。な、いきなりこの子は何を……言い出すのか。



「ゆ、ユメ? 何言って……」



『いや、だって祝福ついでにさ、「おめでとうヒロト!お祝いにこの私をあ、げ、る! きゃぴ!」とか言ったのかなって』



「言いません! あとついでか言わない! それに私をあげるなんてい、意味わかってるの!?」



 ユメったら、そんなこと軽々しく言うんじゃありません! とんでもないこと言おうとしたよこの子!? いつの間にそんな知識持っちゃったの!?



『お姉さあ、純情もいいけどそんなのんびりしてたら取られちゃうよ? どうせヒロ兄以外には気づかれてるんだろうし、お姉がちょっと勇気出せばいいだけじゃん』



「うっ……」



 何だろう、似たようなことを以前言われたような気がする。



『ま、お姉も頑張りなよってこと! じゃね!』



「ちょっ……」



 ツー、ツー、と無慈悲に流れる電話音。いやうん、わかってたよ? ユメが私の気持ちに気づいてることくらいさ。わかってたさ。



「今の、妹さん?」



「うん……リーシャ、私ってそんなに勇気ないのかな」



「?」



 同室のリーシャは、今までの電話からも妹であるユメの存在は知っている。



「ユメちゃんかぁ。会ってみたいなぁ」



「まあ、そのうちね」



 ユメは、ヒロトになついてたり結構人懐っこいから、人見知りとはいえリーシャとも仲良くなれるんじゃないかな。



「今度、紹介してよ。それで、ヒロトさんやオルテリアさんも交えてさ、遊ぼうよ」



 リーシャの提案に、その光景を思い浮かべてみる。……うん、楽しそう。



「そうだね! でもリーシャ、エルシャのこと忘れてるよー?」



「あ、あぁ……あはは、そうだったね……」



 うーん……やっぱり、リーシャはエルシャのこと避けてる節があるよなぁ。



 リーシャは人見知りだけど、それとは違うような気がする。二人の間で何かあったのかな?



 ……あんまり検索しないほうがいいのかもしれない。本人達のことだし。でもやっぱり、ほっとけないよな。



「……よし!」



 ここは私が、掛橋になろうじゃないか! お節介かもしれないけど、決めた!



「うん? どしたの?」



「にひひ、何でもない!」



 今の私はきっと、悪戯っ子みたいな顔をしていることだろう。けど、そんなのは構わない!



 今度みんなで遊ぶときに……いい案、考えとこう!



 -あの頃から……私とヒロトが出会ったあの日から、私達の環境はずいぶん変わった。友達が……ううん、仲間が増えた。



 ヒロトのこともバカにしない、いい子達。



 ルームメートのリーシャ、ライバルのオルテリアちゃん、そして……神様のエルシャ。



 リーシャはおとなしくて小動物みたいな可愛い子。疲れた日も、彼女といることで不思議と癒される。



 オルテリアちゃんはお嬢様っぽくて……というか実際にお嬢様で、負けず嫌いな子。私によく絡んで来るけど、実は私も楽しんでたりする。



 エルシャは、神様。最初は自称神様を名乗ってる痛い子なのかと思ってたけど、実は本物。気が強くて高飛車だけど、でも本当は優しい子。



 とても…大事な仲間達だ。これまでの人生で一番、これまでにないほどに素敵な人達と出会えた。



 だから私は、この絆を大切にしよう。今は学園の付き合いだとしても、この先一生の付き合いになる気がするし。ううん、一生の付き合いにしたい。



 いつも笑って過ごせるみんなと居れると、私は幸せだ。



 こんな素敵な仲間、もう二度と出会えないだろうし……



 この先何があっても、みんなと……ヒロトと一緒に……笑い合っていたいな。

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