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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
最弱と最強の出会い
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ファーストコンタクト



 ……これは、十年前……



「おい見ろよ! あそこに化け物がいるぞ!」



「ほんとだ! 逃げろ逃げろ!」



「やーい、化け物ー!」



 私、アカリ・ヴィールズが幼かった六歳の頃の話。その頃の私は、不幸のどん底にいた。



「う、うぅ……うぇぇ……」



 その理由は、この"神力"という力。物を浮かせたり、小さな火を出せたりといった、普通ではありえない不思議な力……それが、この頃の私に発現していたのだ。



 不思議な力が"神力"だという名前だというのは、お母さんやお父さんに教えてもらった。



 どうやらこの力は誰にでも使えるものではないらしく、これを使えるというのはすごいことだと。お母さんやお父さん、そして学校の先生から、すごいすごいと褒められた。



 それが嬉しかった私は、神力をクラスのみんなに見せびらかした。



 最初はみんな、すごいとか面白いとか言って目を輝かせていた。私の周りには人が集まっていた。



 ……最初のうちは。



「あいつだよ、何か変なことするらしいぜ」



「やだ、気持ち悪い」



 周りと違う、普通ではない……それはすぐに、子供の心にいろんな影響を与える。



 私は普通の子でない。……その事実は次第に、周囲から気味悪がられるようになった。それも、同年代の子達に。



 今にして思えば、神力の知識がある大人と、知識のない子供との違いがあったんだろう。けど、そんなこと当時の私にわかるはずもない。



 子供は純粋だ。だけどそれは、時として残酷だ。



 周りにいた友達は一人、また一人と減っていき……そして私は、独りぼっちになった。



 私を見れば化け物と指差し、逃げるように去っていく。それは、当時六歳の私には耐えられなかった。



 その時も私は、公園でクラスメートの子達にそんなことを言われ、泣いていた。



「うぅ……ぐすっ」



 いくらすごいと言われても、周りから人が離れていくこんな力……私は望んでなんかいなかった。こんな力さえなければ……と何度思ったことか。



 でも、この力が使えることを褒めてくれる人もいる。だからもし使えなくなったら、今度はその人達にも、お母さんやお父さんにも嫌われてしまうかもしれない。



 だから私は、この力を上達させ、せめて褒めてもらえるように……一人公園で、泣きながらも練習していた。



「おぉー、かっけえ!」



 そんなぐちゃぐちゃな思いの中でも、やってやるという気持ちを胸に。砂場で神力を使い、お城を作っていた時だ。突然弾んだような声が聞こえた。



「なあなあ! 何だそれ! 魔法!? 超能力!? かっけえ!」



 さっきからかっけえかっけえと連呼する声の主……駆け寄ってきたのは見たことのない男の子だった。彼は、目をキラキラさせて砂の城を見ていた。



 その勢いに、私は若干引き気味であった。



「何って……神力、だよ……」



 その時の私の声は思ったより冷たかったのを、今でも覚えている。



 どうせこの子も、クラスの子と同じだ。最初のうちはすごいと言いながらも、最後には気味悪がるに決まってる。だってあの子達も、最初はそんな目をしていたもの。



 だから、そうやって冷たく言い放ったのだ。



「しんりょく? 何それ」



 聞いたことのない単語に、男の子は首をかしげる。私も少し前まではその反応だったから、わからないでもないけど。



「まあいいや。魔法みたいなもんだろ!? いいなあ……!」



 自己解決したらしい男の子は、私の能力を羨ましがっている。よそから見れば、羨ましいものなのだろうか?



 だとしても……何も知らないのに勝手なことを言うなと、心の中で怒っていた。



「……いいことなんて、ないよ」



「えー、そっかあ?」



「そうよ」



「でもさ、何か便利そうじゃね!」



「便利じゃないし……たまに力が暴走するときもあるし……」



 たまにあるのだ、自分の意思とは関係なしに力が働くことが。それのせいで、周りに迷惑をかけてしまったこともあるし……



「ぼうそう! 何かかっけえ!」



 またも聞き慣れない単語に目を輝かせる男の子。……あぁわかった。この子頭のおバカな子だ。そうに違いない。



「……」



「あれ、どしたの? どっか行くの?」



「……帰る」



 これ以上ここに居ても時間の無駄だ。そう思った私は、その場から去るために歩き出す。この子といるとバカが移りそうだし……



「えー、もうちょっとくらいいいじゃん! もうちょいそのしんりょくってやつ見せてよ! ちょっとだけ! 先っちょだけでいいから!」



 しつこいなあ……そう思った私は、ちょっとイライラしていたのかもしれない。



「今日はもう疲れたの! だから帰る!」



 すると男の子は押し黙り……



「へえ、じゃあしょうがないな」



 あっさりと受け入れていた。押しが強いかと思ったらあっさりしてたり、何なのこの子。



「なら仕方ないな。よし! なあ、明日もここに来るか?」



「はあ?」



 唐突に何を言い出すのか。思わずすっとんきょうな声を上げてしまう。そりゃ、毎日来るけど……



 ……学校での出来事をお母さん達に話せない私は、いつも学校終わりに遊んでいると話していた。友達がいると、心配させないように。



 でも実際は違う。ただ、公園で時間を潰していただけだ。



 それをこの男の子に話す理由もないし、素直に明日も来ると答えるのも渋っていると……



「明日もおれここに来るからさ! そんときに見せてくれよ!」



 男の子は、笑顔を浮かべてそう言った。



「……わかった」



 どうせ、私をからかってるだけだ。そう思った私は、やはり冷たく言葉を返す。真剣に答える必要なんて、どこにも……



「よっしゃ! じゃ、約束だぞ!」



 そう言って、男の子は去っていく。騒々しい子だったな。



 ……約束、なんて言ってたけど、私をからかって楽しんでいるんだろう。私が明日ここに来て待っているのを陰で見ながら笑いものにするんだろう。



 いや、自分はここに来ずに、そんなみじめな私を思い浮かべて笑うだけか……そんなところだろう。



 だから私は、明日はここには来ない……そう決め、帰宅した。



 私、アカリ・ヴィールズと変な男の子……ヒロト・カルバジナのファーストコンタクトは、私のこんな最悪の印象を与えるものだった。

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