決着
ぶつぶつ文句を言いながらも、二人共どこか楽しそうな表情を浮かべている。こういう関係を、良きライバル、とか言うんだろうか。アカリ、嬉しそうだ。
……が、二人が笑い合うのも束の間。次の瞬間にはお互いの攻撃が衝突していた。互いの攻撃が、火が、水が、激しくぶつかり合う。
一歩も引かぬ二人の攻防が続く中、それによって会場を覆う結界が壊れてしまわないか心配になるが……強度は保証されているらしい。
……ちなみにではあるが、エルシャの"神力が効かない体"の効果もこの結界により無効にされているらしい。じゃないと、フェアじゃないどころの騒ぎじゃないしな。
「でやぁ!」
「はぁ!」
両者とも、一歩も引くことはない。これまで、アカリがここまで力をぶつけられる相手はいなかったから、思う存分吐き出している感じだ。それは、オルテリアも同じだろうけど。
「すごいわね……アカリちゃんも、あの子も」
感心したように呟くエルシャは、試合を食い入るように見ている。メルガディスの件を直に見ている彼女なら、アカリがどれだけレベルアップしたのかわかるのだろう。
そして、それに張り合うオルテリアの実力も。
もしまたあんなことがあったとしても、今のアカリならきっと乗り越えられるだろう。無論、起こらないのが一番だけども。
「そこですわ!」
二人の戦いに、会場中が魅了される。威力ではアカリの神力にオルテリアは敵わない。速さではオルテリアの神力にアカリは敵わない。
とはいえ、総合的に見て二人の力に大差はない。
どちらかが一瞬でも気を抜けば、そこを突かれて形勢逆転される極限の中。敵わないところを自分の得意分野でカバーし、補う。それによって、二人は拮抗した試合を続けていた。
その激しさに、その派手さに、その美しさに……時間も忘れて、見入る。
「はあ、はあ……やっぱりやるね、オルテリアちゃん……」
「ぜえ、ぜえ……それはこっちの台詞ですわ、アカリさん……」
試合が始まって、どれくらいの時間が経っただろう。激しかった撃ち合いが、一旦中断する。
これまでの試合でここまで激しく、そして拮抗したものはない。それは二人の様子からも明らかだ。
二人の呼吸は乱れ、服もボロボロ……それが、この戦いがどれだけ激しかったかを物語っている。
先程までの激しさが嘘のように、静まり返る。だがそれも、一瞬のことだろう。示し合わせたわけではないだろうが……二人は、次の一撃で勝負を決めるつもりだ。
それが、わかる。最後の一撃を放つために、集中しているのが。
「……次で、決めるつもりみたいね」
「あぁ」
同じくその空気を感じ取ったエルシャが、ぽつりと呟く。お祭りだなんだと騒いでいた彼女も、この時ばかりは真剣に成り行きを見守っている。
火と水……その力を象徴するかのように、二人の体には変化が表れる。アカリの体には赤いオーラが、オルテリアの体には青いオーラが……それぞれ実際に見て取れた。
それは、幻ではないのだろう。
気のせいか、会場が震えているように思える。
『こ、これは……会場が、いや空気が震えているようです! この一撃で、勝敗が決するのでしょうか!』
この状況でも……いや、この状況だからこそ司会が状況を盛り上げる。その直後だ、にらみ合いの状況に動きが見えた。
「行くよ……オルテリアちゃん!」
「望むところですわ……アカリさん!」
それぞれのオーラを身に纏い、構える。これまで様々な攻防を繰り広げてきたが、最後は直接的な攻撃で……そう意気込む二人の気迫が流れ込んでくる。そして……
「「これで……決める(ますわ)!!」」
ほとんど同時に、二人が踏み込み……その場から弾かれたように動き出す。離れていた二人の距離が一気に縮まり、お互いの拳がぶつかり合う……!
それとほとんど、同時に…………会場の地面が割れ、辺りを一面の爆発が巻き込んだ。




