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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
最弱と最強の出会い
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ヘタレじゃないもん



「…………?」



 ……おかしい。



 今日はみんなと、海に行きました。



 今まで人間として生きてきた私は、これまでに海に行った経験もあるし、初めての体験と言うわけではわかったけれど……それでも、このメンバーで行くのは楽しかったら。



 あの女さえいなければ、もっとね。……とまあ、そんな話は置いておいて。



 私が気になったのは、海の帰りの車の中で、隣に座っていたアカリちゃんがどこか心ここにあらずと言った様子だったこと。その時は、海で疲れたのかな、と思っていたんだけど。



 帰ってからはベッドに潜り込み、枕をギュッを抱きかかていた。時折「う~」と唸ったり、ベッドの上をゴロゴロ転がってみたり。



 ……思わず枕になりたいと思ってしまうくらいに動きがかわいすぎた。



 そして確信した。これは海で何かあったな、と。



 ……となると、思いつくのはあれだ。



「あの、アカリちゃん」



「うへへ」とか「ん~」とか声を漏らしているアカリちゃんに、恐る恐る声を掛ける。



「あ、な、何? リーシャ」



 私が話しかけたことにより、今までの姿を見られていたのを理解したのかみるみる顔が赤くなっていく。



 ずっと眺めていても飽きないかわいさだけど……我慢できないため、私は問いかける。



「……ヒロトさんと、何かあった?」



「!! ど、どうしてそれを……わあ!」



 図星だったのか、勢いあまって立ち上がるアカリちゃん。だけど、ベッドの上でいきなり立ち上がるもんだから……



 ゴンッ



「~っつぅ……」



 ベッドから転げ落ち、思い切り顔面から激突する。痛そう……



「あ、アカリちゃん!? 大丈夫!? すごい落ち方したよ!?」



「うぅ、だ、大丈夫……」



「アカリちゃん、鼻血鼻血!」



 大丈夫とはいえ、めちゃくちゃ鼻血が出ている。とりあえず血が止まるまで応急措置をして、再度話を聞くことに。



「で、何かあったんだね?」



「な、ナンノコトダカー」



 話しかけても不自然なくらいに目をそらし、口調が片言である。そもそもさっき、どうしてそれを、って何かあったこと認めてたよね?



「だってアカリちゃん様子おかしいよ。あの時、ヒロトさんとゴミ捨てに行ったときに何かあったでしょ」



「うっ……」



 そう、何かあったとしたらそのときしか考えられない。ヒロトさんと二人きりになったときに、というのは聞くまでもない。



 そのことを問い詰めると、観念したようにアカリちゃんはため息を吐く。



「わかったよ。リーシャに隠し事はできないなあ」



 とは言うものの……それは、アカリちゃんがわかりやすいだけなのでは? まあ、そうは言わないけど。



「えっと……実は、ね。私……」



 赤く染まる頬。もじもじする身体。自然となる上目遣い。何この生き物抱きしめたい!



 それにしてもこの反応……まさかアカリちゃん、ついに告白をしたの!?



「実は……」



「うんうん!」



「……すっごいいいシチュエーションで、ヒロトにおめでとうって言っちゃった!」



「そうなんだ、それはよかっ…………へ?」



 キャー、と頬に手を当てくねくねしている姿はとんでもなくかわいいんだけど……ちょっと待って。



「え、おめでとう? え?」



 そこは告白じゃないの? 激しくそう突っ込みたくなる。



「そう! 夕日の海岸で、周りに人もいなくて二人きりの海岸で!」



 ちょ、それ最高の告白シチュエーションじゃない!?



「そこで……おめでとうなの? 告白じゃなくて?」



「こっ、ここ、こくは……こけあ……」



 告白の単語を聞くだけで、頭から湯気を出してしまう。どれだけ純情なんだよこの子は!



「だって、そのシチュエーションであの反応だから、てっきり告白したのかと」



「そ、それは……ホントは、そのつもりだったんだけど……直前で、恥ずかしくなっちゃって。えへへ……」



 ……あ、そっかあ。ヒロトさんは鈍感だけど、アカリちゃんはヘタレなんだ。



「それにしても……何でおめでとう?」



「だって……ちゃんと、おめでとうって言ってなかったなって……」



 恥ずかしそうに告げるアカリちゃんは、何ともかわいらしい。その姿だけでご飯三杯はイケます!



「そっか。でも、ホントは告白するつもりだったんだ?」



「それは……まあ。でもでも、やっぱり勇気が出ないっていうか何ていうか……」



 想像しただけで赤くなっているアカリちゃんは、ホントにかわいくて困るが……一言言いたい。この……ヘタレめ!



「ヘタレめ……」



「へ、ヘタっ!?」



 あ、声に出てしまっていた……反省。



「と、とにかく! そのつもりがあるなら、後もうひと押しだよ! ちょっぴりの勇気があれば、告白できるって!」



「そ、そうかなあ?」



「そうだよ! 私は、アカリちゃんを応援してるからね!」



 そう、アカリちゃんの幸せは、私の幸せも同じ。だから私は、全力で応援するよ! アカリちゃんの肩を持ち、前後に激しく揺らす。私も興奮してるのかも。



「う、ぅ……わ、わかった。神技冠祭が終わったら……ううん。私、優勝する! それで、優勝して……その……こ、告白する!」



「うん! 頑張れ!」



「私、ヘタレじゃないからね!」



 おっと、ヘタレを根に持っていたようだ。



 告白する気持ちがあるなら、あとは覚悟を決めるだけ!優勝という高い目標はある。でもアカリちゃんの気持ちは本物だ。だからきっと、それは自分の覚悟を表すためのもの。



 ならわたしは、せめて全力で応援しよう。アカリちゃんの想いが、届くように。

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