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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
最弱と最強の出会い
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気付いた気持ち



 俺の視線に気付き……そして自分の言った台詞に気付いたのだろう。その顔はみるみる赤くなっていく……確実に夕日のせいだけではない。



 どうやら無意識に恥ずかしいことを言ってしまったと思ってるらしい。



「あっ、い、今のはその深い意味はなくて……あ、えーと……ふ、二人だけってのは言葉のあやで……」



 自分の言ったことをごまかそうとしているのか、言葉が支離滅裂だ。とてもごまかしきれてはいない。



 とはいえ……俺も、アカリの台詞を受けてどんな顔をしているのか。顔が熱い。



 次第にアカリも、ごまかすのが無理だと思ったのか無理やり落ち着こうと試みる。深呼吸を繰り返し、こほんと咳払い。



「ま、まあそれは置いといて。……こうして、みんなといっぱい遊んで、いっぱい話して……こんな景色も見れて、来てよかったなって」



 何とか、言いたいことをまとめたって感じだ。その間も、何故か俺の方をちらちらと見ていたのだが。しかし言い終えた後も、どこか落ち着かない様子だ。



 だがそれも次第におとなしくなり、代わりに……



「……ねえ、ヒロト。私ね、その…………ずっと、ヒロトに言いたいことがあって……言っても、いいかな」



 俺を見つめるアカリの瞳が、真剣みを増したように見えた。まるで、何かの覚悟を決めたかのように。そのせいなのか、頬も先程より赤いくらいだ。



「お、おう……」



 思わず、俺も近著してしまう。だってそうだろう、こんな真剣な目を向けられて……しかも、このシチュエーションだ。人のいない海、夕焼け、二人きり……これじゃ、まるで……



 いやいや、それはさすがにないだろう。だってそんな、マンガじゃあるまいし……



「あのね、私……」



 頭の中がプチパニックの俺に気付くことなく、目を閉じ呼吸していたアカリが口を開く。そして……



「あ、わ、私ね…………ヒロトが、す、ぅ……その、し、神力を使えるようになったこと、ちゃんとおめでとうって言ってなかったなって、思って。あはは……」



「へ?」



 口早に、告げる。何だ、そのことか。このシチュエーションだから、俺はてっきり……やっぱり、そんな甘酸っぱい展開あるわけないって。



 当の本人は、何だか「こんなこと言うつもりじゃなかった」みたいな表情をしている気がしなくもないが。



「いや、でも試合が終わった後、おめでとって言ってくれたろ?」



「う、うん……でもあの時のは、ちゃんとしたおめでとうじゃないっていうか………あ、おめでとうの気持ちは本物なんだけど!」



 身振り手振りで、何かを伝えようとしている。しかし頭の中で何かの容量が越えたのか、目をバッテンにしてから、



「だからその……みんながいるとこじゃなくて! 二人きりの時に言いたかったの!」



 もうやけくそだと言わんばかりに、叫ぶ。そのまま肩で息をしながら、語り始める。



「……私さ、ヒロトが今まで頑張ってるの、ずっと見てきた。なのに、神力は使えなくて……何で、ってずっと思ってたよ。私が知ってる中で、ヒロトほど頑張ってる人はいなかったもん」



 ポツポツと告げるアカリ。だんだん感情がこもってきたのか、目元から涙があふれている。何て、綺麗な涙なんだと思えるほどに。



「あか……」



「でも良かった、本当に。今まで神力が使えないってバカにされ続けて……それでも頑張ってたもんね、ヒロト」



 確かに俺は、これまで努力はしてきたつもりだ。でもそれは、あくまで俺自身のため。



 そんな俺を一番近くで応援してくれていたアカリ。そんな彼女がまさか、ここまで俺のことを想ってくれてたなんて正直思わなかった。



「ヒロトもヒロトだよ。何を言われても何も言い返さないし。悔しい思いをしてるのは私だけなのか、ってイライラしたりもした。

 ……そんなわけないのにね。一番悔しいのはヒロトのはずなのに」



 涙を指で拭いながら、はにかんでいる。まるで自分のことのように悲しみ喜んでくれるアカリを見ていると、顔が、胸の奥が熱くなってくる。この気持ちは……



「だから、ヒロトが頑張った結果が表れて嬉しい。ヒロト……改めておめでとう。でも、努力が実ったからって怠けちゃダメだよ? 私は、頑張ってるヒロトが好きなんだから!」



「っ!?」



 直視するのがまぶしいくらいの笑顔で、とんでもないことを言ってのけるアカリ。そんな顔で、そんなこと言われたら……変に勘違いしてしまいそうに、なる。



 当の本人は、自分の言ったことに気付いてないのか平然といている。そう、やはり今のはさっきみたいな言葉のあやってやつだ、うん。



 ……けど……



「アカリ……ありがとう、な」



 顔を直視できないまま、何とかお礼を告げる。ただ恥ずかしいから、ではない。アカリの今の言葉が、言葉のあやだったとしても……俺が、俺自身の気持ちに気付いてしまったから。



「えへへ……さ、戻ろ!」



 照れくさそうに笑い、歩みを進めるアカリを追いかける。これまで俺は、アカリを単なる幼なじみだと思っていた。思っていた、のだが……それは間違いだったと、ついさっき気づいた。



 もしかしたら気づかなかっただけで、ずっと前から俺はアカリのことを……



 ズキッ……



「っつぅ……」



 ふと感じた温かな気持ちが、小さな頭痛によって遮断される。ったく、そんなに痛くないとはいえ、何の前触れなく度々来るから困る。



 だが今は、こんな痛みなんかどうでもよくなるくらい……気づけた幸せの方が上回っていた。俺は、アカリのことを……『好き』だという、気持ちに。



 その後、みんなの下に戻った俺とアカリは身支度を済ませ、帰宅した。自分の中に眠っていたこの気持ちに気付けたことに、密かな幸せを感じながら。

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