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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
最弱と最強の出会い
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"空腹の魔女"vs神力学園生徒会長



 ついに始まった、私と生徒会長の戦い。一見隙ありの棒立ちで立っているように見えるが、だからといって油断はできない。ここはまず、慎重に相手の出方を……



 ……見る必要なんてない! 相手の実力はわかってる。ここは慎重に構えつつ、先に仕掛ける!



「せい!」



「おっ」



 私は手を銃の形にさせ、銃口から弾丸が放たれるイメージを頭に浮かべながら人差し指の先に神力を集中させる。自身の中にある力が、指先に集まっていくのがわかる。



 そして、火の玉を放つ! 一つは小さい力であろうとも、隙を与えないように、連続で。



 例えどんな強者であろうと、頭に衝撃を受ければただでは済まない! 人間ならなおさらだ。



 この会場は、例え致死量を超える傷を負ったとしても大事にならないよう、一定のダメージを無効化する特殊な結界が張られている。



 だから万が一のことはないし、気兼ねなく頭、もしくは顎を狙うことができる。顎が揺れれば脳も揺れる……どちらでもいい、できた隙をつく……



「なっ!?」



 そのはずだったのだが、私が見たのは驚くべき光景だった。



 私の攻撃は、確かに相手の頭、顎を捉えていた。当たれば確実に隙を生むだろうそれらは、しかしヒットすることはなかった。何故なら……



「おぉ、凄い。本当に正確な攻撃……驚いた」



 攻撃がヒットする前に、その全て手で叩き落としていたのだ。あれは……神力で、手だけを強化している? それによって、手の強度を上げて確実に私の攻撃を弾いている。



 いやそれよりも、あれを全て叩き落としていることが問題だ。そこまでの動体視力、そして反射神経は恐ろしいものがある。



 私は辺りを走りながら、様々な角度から攻撃を撃ちこむ。が、そのどれもが弾かれる。狙いが一定だと、もしかしたら防ぐのが簡単なのかもしれない。



 そう思って、頭、顎に絞らず狙っているというのに。



 時間をかけて放った少し強めの攻撃もいとも簡単に打ち負かされてしまう。私の神力じゃ、多少強かろうが弱かろうが関係ないってことか。



 こうなったら、もう一つの可能性……身体強化で挑むしかない。



 私が得意なのは、コントロールの良さだけじゃない。実は身体強化も、ちょっと自信があるのだ。今生徒会長が手だけを強化しているのと同じ要領……それを、全身でやる。



 でもこれは、使った後疲れるという天力と似たようなデメリットがあるけど。この際、気にしてられない!自分の体に、力を集中させる。



「へえ、身体強化か」



 私の体全体に力が集中したからだろう、即座にバレている。でも、バレようが関係ない、要は生徒会長を翻弄することさえできれば、勝機は生まれる!



 逆に私が、少しでも隙を見たらすぐにやられてしまうだろう。だから駆け込むのも、最小限の、そして全力の踏み込みで!



「てやぁ!」



 懐に潜り込む勢いで、助走を乗せた拳を打ち出す。しかしそれは、簡単に受け止められてしまう。押しきろうにも、びくとも動かない。



 身体強化をしているというのに、全然力じゃ敵わない……!だったら、今度は速さで勝負だ!



 打ち込んでいた拳を引っ込め、生徒会長の死角に回り込む。右側に回り込むと見せかけてフェイントをいれ、実際には左側に回り込む。



 人間というのは正面と、ある程度の左右にしか視線を向けることができない。



 だから、顔が傾きかけた逆側に回り込むことで、相手の死角に入り込むことができる。そこに生じた僅かな隙を、私は見逃さない。今度こそ……!



「……っ」



 しかし、打ち出した拳は空を切る。私の拳は完全に生徒会長の顔を捉えていたはずなのだが、顔を少しだけずらされることで、狙いを失った拳はあっけなく空を舞う。



 だけど、そこで呆けているわけにはいかない。避けられたなら、当たるまで追撃するまで!



「たぁあああ!」



 右拳の次に左拳、左拳の次に右拳、そのまた次に左拳……左右の腕を伸ばし、拳を繰り出し、拳の連打を浴びせる。



 身体強化のおかげで打ち込みの速度も上がっており、これならば一撃は当たるはずだ。



「へぇ、すごいすごい。キミがCランクっていうのが、信じられないよ」



「くっ……」



 しかし生徒会長は、涼しい顔でことごとくの拳を避ける。時に受け止められ、時に弾かれ、顔を、体を最小限だけ動かして避けるのだ。決して無駄な動きはない。



 いくら私が拳を打ち込んでも、それらは生徒会長には通じない。まさか、ここまで実力の差があるなんて……!



「ていや!」



「おっ」



 拳の連打も見切られ、このままではジリ貧だ。そう考えた私は、生徒会長の顔めがけて拳を振り抜き……顔に当たる直前で、動きを止める。



 直後に握っていた手を開き、手のひらに神力を集中させていく。



 この近距離なら、当たるはず! 神力をエネルギー弾として集中させ、それを一気に放つ。近距離からの攻撃だったからか、私の攻撃は直撃し激しい音と煙をたてる。



 確かに直撃した。けど油断することなく、一旦距離をとる。これで倒せるとは思わないけど、せめて傷くらいは……



「……いやー、参った参った。やっぱり面白いねキミ」



 しかしその願いむなしく、煙が晴れたそこにあった生徒会長の顔は一切の傷すらなかった。攻撃が当たる寸前に、顔辺りに防壁を張ったのだろうか。



 身体を強化できるように、神力を使えば体の周りに薄い膜のようなものを張って、防御力を上げることもできる。いわゆるバリアってやつだ。



「うん、でも私としては……もっと、キミのことを見せてほしいんだけどな」



「えっ……」



 攻撃が通用しなかったことで次の作戦を考えるが、そこに割り込んでくるように生徒会長の言葉が染み込んでいく。今の、どういう意味だろう?



 それに呆気にとられてしまったせいか……一瞬の隙が生まれる。まばたきをしたほんの僅かな間に、真正面に捉えていたはずの生徒会長の姿が消えたのだ。



 瞬間移動……それとも、とてつもない速さで動いているのか。どちらにせよ、非常にまずい。ここは、全身に気を張りながら警戒するしか……



「ど、どこに……うっ!?」



 油断など、していなかった。気を緩めてすらいなかったのに……気づいた時には、うなじに何らかの衝撃を感じていた。ただそれだけだというのに、体からは力が抜け崩れていく。



 倒れ行く中、振り返り確認すると……理由がわかった。この衝撃は、私の背後にいた生徒会長が手刀を放ったことによるものだ。



 ただうなじを手刀で叩かれただけ……それだけにも関わらず私の意識は遠のいていく。最後の力を振り絞り神力の弾を放つが、それも当然ながら通じることはなく、弾かれる。



「く……そ……」



 地面に倒れた私は、薄れゆく意識の中で生徒会長を見上げていた。手刀……別に神力で強化していたわけでもない、ただの手刀で、私は……



 ……こんな……ことで……



 意識が途切れる直前……生徒会長の口が動いているのが見えた。でも、それを聞き取ることは出来なかった。



「……どうせなら、天使の力を使ったキミと戦ってみたかったよ」



 なにか、私に言って、いるの……だろう、か……



『テルマニン選手、どうやら気絶してしまったようだ! よって試合終了ー! 試合を制したのは、生徒会長アラタ・ナルジヤ選手です!』



 最後に聞こえたのは……試合の勝者を高らかに告げる司会者の声と、割れんばかりの歓声だった。

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