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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
最弱と最強の出会い
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試合の結末





「ふぅ……」



 迫り来る、神力による攻撃をかわしていく。その度に起こる現象、それは嫌でも俺の疑惑を確信に変えていく。



 原理はわからないが……どうやらこの銃に神力を込めて撃ち、それがヒットすると、ヒットした神力を消し去ることができるということ。何を言ってるか俺にもよくわからない。



 消し去る、とはいえいきなり俺の神力が底上げされた、って風でもないんだよな。ただ単に、俺の神力に触れた瞬間、相手の神力が消えたのだ。



 この銃は先生がくれたものだ。ということは先生が何か細工をしたんだろうか……? ……考えてから、すぐに否定する。先生はそんなことはしないだろうと。



 つまり、この不思議な力は俺個人のもの、ということだ。これってまるで俺の神力が、相手の神力を消し去る力を持っているような……



「この、このこの! お前、何かズルしてんじゃないのか! その銃とかに!」



「あいにく、そんなことはしてないよ。何なら調べてくれてもいいぞ」



 そんなことをしても、これは単なる拳銃だという証拠が出るだけだろうけどな。



「なら何なんだこの現象は! 聞いたことがない! こんな……神力が消え去るなんて!」



 初めて見る、いや体験する、意味不明な光景。その対象が自分に向いているのだから、相手からすればたまったものじゃないだろう。



 そりゃそうだ、神力を消し去るなんてチートくさい力を前にしたら。



 だけどそんな能力、聞いたことも見たこともない。俺が知らないだけで存在してるのかもしれないが……アラナシカ先生なら何か知っているだろうか?



「いや、考え事はあとだな」



 疑問点は多い。けどそれと、この試合を乗り切ることとは話が別だ。



 確かに俺の神力は、相手の神力を消し去ることはできているが……俺がまだ相手に傷一つ負わせられていないこともまた事実なんだから。



「わけがわからない……わからないから、一気に潰してやるよ!」



 とにかく、この変な力のおかげで俺はあいつの攻撃を難なくかわすことができる。弾丸の代わりに神力を使っているから、弾数を気にすることもない。



 ……ま、神力にも限りがあるって点では同じだけど。ただでさえ、神力が弱い俺なんだから。



 考えるのをやめたナタ・サルテマは次々とあらゆる攻撃を放ってくる。



 蔦に火、水、雷……ぶっちゃけ何でもありなだけにさすがにレパートリー豊富だが、そのどれをも撃ち消すことができる。



 だが、それに頼ってばかりもいられない。神力が尽きてしまえば、どのみち俺の負けは確定なのだから。



 走ってかわせるものはかわす。神力を使わなくても、全部が全部かわせないわけではない。神力とで使い分け、道を切り開いていく。



「……よしっ」



 そのかいあってか、猛攻の中に一つの道が開かれる。それを見逃すことなく、俺は一気に駆け出していく。ここが、勝負の分かれ目だ!



「!? はやいっ」



「神力使えない落ちこぼれには、体を鍛えるくらいしかやることがなくてな!」



 特訓しても、強くならない制御できない神力。弱々しい神力を鍛えることすらままならない俺は、同時に体を鍛える日々を送っていた。



 せめて何か一つ……一つくらい、何かできないと、と思って。



 それがこの場で役に立つ。予想以上に俺のスピードが速かったらしく、驚いている様子のナタ・サルテマは次々と攻撃を放ってくる。



 だが、人間は冷静さを失うと、正確な判断ができない。それは神力にも同じで、俺を狙っていてもうまく定まっていないようだ。たまに、俺に狙いが合った攻撃が飛んでくるが……



「悪いな……目には、自信があるんだ!」



 走りながら、照準を構える。動く標的に加え自分も動いている。狙いがうまく定まらない。それでも……この意思だけは、ぶれない! 勝つという、この意思だけは。



 パンッ!



 撃ったそれは見事着弾し、撃ち消していく。



「う、嘘……このぉ!!」



 懐までもう少し……そんな距離になったとき、ナタ・サルテマはこれまでにない規模の巨大な雷の玉を作り出す。おいおい、これ当たったら痛いじゃ済まないだろ。



「でけっ」



「これならどうだ! 落ちこぼれぇ!」



 まるで隕石のように、それはまっすぐ俺に向かって落ちてくる。当たったらただじゃ済まないほどの、おそらくあいつの奥の手。



 だが裏を返せば、こいつを凌げばもうあいつに打つ手はなくなる。



 これで消し去れる確証はない。それでも……俺は、自分のためにも、そして俺の勝利を信じてくれるアカリのためにも、負けられない!



「いっけえぇぇぇ!!」



 パンッ



 俺の力と思いを乗せたそれは…雷の玉に直撃し、それを跡形もなく消し飛ばす。これまでとは桁違いの規模のものでも、問題なく。



「そ、そんな……」



 相当自信のある攻撃だったのか、ナタ・サルテマは放心している。その隙を俺は、見逃さない。再び、一気に駆け出して……



「! まっ……」



 ナタ・サルテマが気づいた時には、俺はすでに懐へ後一歩のところまで踏み込んでいた。ここまで来てしまえば、もう邪魔が入ることもない。



 俺は拳を握って、構える。走っていたため姿勢を低くしている、そのため……一歩を踏み出すと同時に、拳を振り上げる形になる。



「うらぁあああ!!」



 ドカッ!



 …………手ごたえは、あった。この拳に確かにある、殴った感触。



 俺の拳はナタ・サルテマの顎に見事に直撃し、吹き飛ばした。その一連の光景がまるで、スローモーションのように見えた。



「……あ」



 ナタ・サルテマが倒れたのを確認して、自然と声が漏れる。もしかして、やったのか? いやまだ、油断はできない。まだ、緊張を解いてはいけない。まだ……



『あ、あのー……サルテマ選手?』



 倒れたナタ・サルテマに司会の人が心配そうに声をかけるが、反応はない。どうやら気絶しているようだ。



 まあ、顔面ヒットだったもんな。自分でも痛いことをしたなと思う。場所が場所だけによわっ、とも言えないし。



『えー、どうやら、気絶してるようですね。

 それではこの試合の勝者、まさかの顔面クリーンヒットを繰り出しナタ・サルテマ選手を一撃ノックアウトした、Eランクヒロト・カルバジナ選手ー!!』



 確認した司会の人が、捲し立てるように声を上げ……片手で、俺のことを指す。司会の声が響き渡るが、ただ実感が湧いてこない。俺が……勝った?



 その時、観客席から拍手が聞こえてきた。その方向を見ると……今にも泣きそうな顔で、アカリが拍手をしている。



 その両隣では、リーシャとエルシャも拍手してくれていて……



 それに呼応するように、まばらながら少しづつ会場から拍手が上がり……俺はようやく、自らの勝利を実感した。



 勝った! 格上の神力使いに……この俺が! 落ちこぼれだって言われ続けてきた、俺が!



「よっしゃあああ!!」



 感極まった俺は、拳を掲げ自分でも恥ずかしいくらいに腹の底から声を上げていた。

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