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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
最弱と最強の出会い
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戦いの火蓋



『Bランク、ロコ・ナルシャ選手。Cランク、エルシャ選手。一時間後A会場にて』



 発表されたのは、この二人であった。一人は知らない生徒だが……へえ、いきなりエルシャか。しかも、ランクが上の相手とだ。



 まあ、エルシャのはアラナシカ先生が暫定的に設定したものだろうけどな。



「ふうん、早速私ってわけね! ワクワクしてきたわ!」



 当の本人は、目を輝かせながら画面を見ている。どこかの戦闘民族かよお前は。



「なあ、緊張とか……してないよなお前は」



「緊張? 何それおいしいの?」



 本気でそう思っているのだろう、きょとんとした顔を浮かべている。心配するだけ無駄、というやつだろう。それに……



「この私が、人間相手に緊張するわけないじゃない? 何言ってんの? 頭おかしいの?」



 ちょっと心配しただけでこの始末だ。あぁそうだな。こいつはこういうやつだったよ。イライラするのも馬鹿らしくなるほどにあっさりとした性格。



 やれやれ……ため息が出そうになるのを何とか抑える。ま、こんなこと言われはしたが、一応応援に行ってやるか。



 当の本人は、応援とかは必要としてなさそうだけど。けどその戦いぶりを見てみたいのは俺の本心だから行こう。



『さて、続いての組み合わせは……』



 続いて、B会場、C会場と対戦の組み合わせが発表される。そのどちらともに知り合いの名前はなかった。ふむふむ、これならエルシャの試合に行けそうだな。



 さて、一時間後とはいえ、いろいろと準備していたら時間なんてあっという間だ。アカリも来てくれるだろうし、とりあえず合流して話し合いを……



『Cランク、ナタ・サルテマ選手。Eランク、ヒロト・カルバジナ選手。一時間後D会場にて』



 ……なん、だとっ!?



「あらら……ヒロト君も試合みたいね」



 その言葉に、はっと我に帰る。今いやーな言葉が聞こえた気がしたのだが……お、俺の聞き間違いじゃなかったのか。



 そりゃ、これだけの生徒がいるとはいえ第一回戦に選ばれない保障はない。そう、か、覚悟はしていたはすだ。



 それでもやっぱり、何て言うか……心臓を掴まれた気分だ。しかも、相手はいきなりCランク。



 それぞれの対戦相手と会場が発表され、盛り上がる生徒達。時間まで各自解散になり、息が詰まりそうだった会場内から外へと出る。



 すると、まるで計ったように電話がかかってくる。着信の相手は、アカリだ。



「もしもし、アカリ?」



『ヒロト!? 対戦相手見た!?』



「あ、あぁ」



 向こうから聞こえてきたのは、少しヒステリックにさえ思えるアカリの声だった。予想は、まあしていなかったわけじゃないけど。



『大丈夫!? いきなりCランクだよ!? 後一時間しかないよ!?』



 し、心配してくれるのはわかるけど……うるせえ。耳が破裂してしまいそうだ。



「あぁ……驚いたけど、やれることをやるだけだよ」



『その意気だよ! 相手のサルテマって生徒は、CランクだけどBランクに近い実力の持ち主らしいから、油断は禁物だよ!』



 ……と、アカリからのありがたいお言葉。



 アカリから告げられた情報に、困惑する。Bランクに近いCランク、か……マジかよ。その情報、嬉しいような、余計なような。もちろん、情報としてはありがたいものなんだけど。



 合流地点を決め、とりあえず電話を切る。軽くため息。



「大丈夫? さすがにビビってる?」



「そりゃあ、な……何か時間が経つごとに緊張してってるみたいだよ」



 正直、発表されてもあまり実感がなかったのだが……だんだん、心臓の鼓動が大きくなっているのを感じる。時間が経つごとに、避けられない現実を受け入れてきたのだろう。



 その後、ひとまずアカリやリーシャと落ち合い……励ましの言葉を貰う。



 そして早くも、試合の開始時刻へと近づいていった。



「ほ、ほらヒロト……そ、そろそろ、時間が……ま、まずは落ち着くところから……」



「アカリちゃん、落ち着いて……」



 何でか俺以上に緊張しているように見えるアカリ。そりゃそうだろうけど、そこまで心配かなぁ? 過保護……とは違うのかもしれないが、そんな感じだ。



「落ち着けってアカリ……何で俺より緊張してんの」



「だ、だってぇ……」



「心配性ねぇ……ま、私もそろそろ行くわね」



 呆れているのか、肩をすくめている。最後に俺の肩をポンッ、と叩いてから、自分が出場することになる会場へと足を進めていくエルシャ。その背中に、アカリが声をかける。



「あ、エルシャ、頑張ってね!」



「はいはい。あんたは愛しのヒロト君の応援に集中してなって」



「なっ……!」



 アカリとリーシャは、どうやら俺の応援に来てくれるらしく……リーシャの所には、行けない。



 まあ、会場が違っても他の会場の試合の様子は放送されるみたいだから、結果はわかるらしいが……それでも、生で見るのとは全然違うだろう。



「ん? アカリのやつ固まってどうしたんだ?」



「……今の会話を聞いても気づかないんですねヒロトさん」



 今度はリーシャが呆れた様子。呆れたといっても、エルシャとは別の理由っぽいがな。しかし気づかないとは、何に?



「っ~! あー、もう! ほら、ヒロトも時間よ時間!」



「お、おい?」



 ど、どうしたんだよ急に? さっきまであんな心配してくれてたのに今度は怒ってるみたいに真っ赤になっている。アカリはたまに、情緒不安定みたいになるからなぁ……



「わ、わかったから押すなって!」



「……頑張ってね」



 とん、と最後に軽く背中を押されるが、同時に言葉をかけられる。小さな声だったが、何を言っているかはちゃんと届いた。



 その言葉だけで、今まで感じていく不安が消し飛んでいくように感じた。



 ったく……俺、単純だなぁ。



「……おう」



 そして俺は、一歩を踏み出す。己の力の、限界へと挑むために。

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