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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
最弱と最強の出会い
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天使の秘め事



 話は少し、さかのぼる。



 悪魔の襲撃を受けた、あの日のことだ。いつもと同じように、アカリちゃんやヒロトさんと過ごしていた。



 そこにあの神様が含まれているのが、どうしようもなく我慢できなかったけど。



 襲撃された際に、私はアカリちゃん達と分断された。私は天使の力を解放して事なきを得たけど……心配なのは、アカリちゃん達の方だ。



 いかにアカリちゃんが強いとはいっても、相手は悪魔。不安は尽きない。



 結果的にアカリちゃん達は、ティファルダ・アラナシカ先生に助けられたという。そして先生からいろいろな話を聞かせられて……



 これはその後、そのまま部屋に残った私、リーシャ・テルマニンと先生の話。



「……それで、話っていうのは、何ですか?」



 胸の高鳴りが収まらない。今しがたあんな話を聞いたからだろう。渇いた唇を舌で舐めて、言葉を出す。先生が私を呼び止めた理由を。



「話があるのは、キミもなのだろう?」



「……先生、気づいてますよね。私の、その……正体」



 この人には、私の正体も何も話していない。でもこの人にはバレている……そんな気がした。さっきの話は、まるで私の生まれを話しているように感じた。



「ん? あぁ……キミが天使と人間のハーフ……つまり、さっき話した時に出てきた赤ん坊だということをか? もちろん気づいている」



 あっさりと、先生は白状する。やっぱり、という気持ちが私の中に生まれた。私も、その赤ん坊が自分だという確証はほぼあった。



 何せ、先生の話の中に出てきた名前は私の知ったものだったのだから。



「クラディス……先生の親友だというその天使は、確かに母の名前です」



「……そうか」



 疑問が確証に変わっていく。母の名を、先生は親友だといって語った。その名前を聞いた瞬間、私の心臓は跳ねたのだ。



 先生は、深いため息を吐く。その事実を噛み締めるように、深呼吸しているようにも見える。



「何かの間違いかと思ったよ。あの時の赤ん坊が、まさかこの学園に入学してくるなんてな。私はてっきり、あの時殺されたものと思っていた」



「……先生は、いつから私のことを?」



「正直、初めて見た時から妙な感じはしていたんだ。だがさっきの戦い……そして会話で確信したよ」



 いつから私の正体に勘づいていたのか。驚くことに、それは入学当初からだという。だけど直接確かめるわけにもいかず、遠くから見守っていたのだと。



 神様の力を大幅に失ったっていうエルシャには気付かれなかったけど、先生には隠せなかったらしい。



 さっきの戦いでは、私だけ分断されて、その上で私が無事だった。それに疑惑は強まり、ついさっきのあの会話で確証を得たのだと。



 そこでふと、先生が笑みをこぼしているのに気づいた。笑みといっても満面のではなく、不敵な、といったほうが正しいかもしれない。



「いやしかし、良かったよ。彼女の子供である、キミが生きていてくれて」



 それはお母さんの……親友の子供である私が生きていることに対する心からの言葉だった。こんな先生、初めて見る。



 それほどまでに私を……いやお母さんのことを、大切に思っていたのだろう。



「……あの、お母さん……どんな天使だったんですか? 私直接は会ったことないから……」



 ふと、湧き上がってきた気持ちが自然と声になって口から漏れる。直接会ったことのない、お母さんがどんな人物……いや天使だったのかを。



「言ったろ、私も一回しか会ったことがないんだって」



 あぁ、そういえばそうだったっけ。おかしそうに笑う先生に、釣られるようにして私も笑みをこぼす。



「だがそうだな……キミのことを、とても大切に想っていたよ。あの状態で、片時も離さなかった」



「……そう、ですか」



 大切に、か。私にはその時の記憶なんてないけど……けど、それを聞いただけで胸の中が温かくなるような気がした。嬉しいような、気恥ずかしいような。



 ……でも。



「……お母さんは、行方不明、なんですよね」



 そのお母さんは、例の件から音沙汰がない。消息が分からなり、行方不明とのことらしい。あまり実感のないこととはいえ、そのことを考えると胸が痛くなる。



「あぁ……ま、神を支える二大天使とやららしいし、彼女のことなら心配いらないだろうさ」



 そんな私を慰めるためか、それとも自分に言い聞かせているのか……きっと、お母さんは大丈夫であると話している。私も、そうであると信じたい。



 ふと、ポンポンと肩が叩かれる。そこには先生がいて、どこか優しい笑みを浮かべていて。



「私には、親友の娘としてキミを守り抜く義務がある。困ったら、遠慮なく言ってくれ」



「……はい、ありがとうございます」



 その言葉は……純粋に、嬉しかった。お母さんを想ってくれる人がいることが……



 そして、少し羨ましくもあった。お母さんに会ったことのある、先生のことが。

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