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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
最弱と最強の出会い
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祭事に浮足立つのは仕方ないよね



 神技冠祭を控え、学園の中が少しいつもと違った緊張感に包まれている。



 ある者は自分の力を試せることを意気込み、ある者は自分が有名になることを目指し、ある者は優勝を掲げ……



 少し前までの俺なら、こんなイベント鬱以外の何者でもなかった。……が、今は優勝を狙っている。そして一年間の保証を手に入れる!



 だが一応武器を貰ったとはいえ……こんなもの、神力には遠く及ばないだろう。戦車に拳銃一丁で挑むようなものだ。可能性はまあ、低いと言わざるを得ない。



 だがせっかくヤル気になったのにやる前から諦めててもどうしようもない。だからポジティブにいこうと思ったのだが……



「おい、“落第の弾丸”……あいつも、神技冠祭に出んのか?」



「冗談だろ、落第生だぜ?」



「それに出てもすぐにやられるって」



「でも強制参加なんでしょ? 無様な姿を晒さなきゃいけないなんて可哀想」



 周りの声が、嫌でも聞こえてくる。聞こえるように言ってるんだろうが……



 正直慣れた、といえば慣れたけど。……それでも、やはりあまりいい気はしない。かといって、わざわざ言い返しててもキリがないだろうしな。



「ヒロト~!」



 周りに対して少しムスッとしていたがそこへ、向かい側からアカリが駆け寄ってくる。アカリに気づいてからか、周りの声も小さくなる。わかりやすすぎる連中だな。



「よ、アカリ」



「もうすぐ神技冠祭だね、楽しみだなぁ……頑張ろうね!」



 と、どうやらアカリは楽しみらしい。アカリは、こういうお祭りみたいなイベントは昔から好きだったからな。それに、実力も申し分ないだろうし。



「そうだな、できる限り努力はするよ」



「ふふ。あ、でもヒロトと戦うことになっても、私は手加減しないからね?」



「幼なじみのよしみで情けくらいかけてくれよ」



「やだよーだ」



 そんな軽口を叩いていると、何だか気分が落ち着いてくる。アカリは別に俺を気遣っているわけでも、ましてや同情してるわけでもない。



 その笑顔は、紛れもなく本物で……やっぱり、アカリと話してると安心するというか、和むなあ。



「おい、Aランクの“閃光の輝き”だぜ」



「何で落第生なんかといるの?」



「さあ? 弱味でも握られてるんじゃない?」



 今度は、俺だけでなくアカリに対しても周りの奴らが騒ぎ始めた。その時だった、アカリがそいつらを振り返り睨み付けたのは。



「ヤベッ」



 睨みつけられた連中は、虫を散らすようにそそくさとその場から去っていく。せめて顔は覚えられまいと思っているのだろうか。



「落第生落第生って、勝手なことばかり……ヒロトがどれだけ頑張ってるかもしらないくせに」



 そう言ってくれるアカリは何ていい子なんだろう。 何だか泣けてきちゃいそう。



「アカリ、俺のことはいいから……」



 俺といると、アカリまでいろいろ言われてしまう。そう思って、気遣かったつもりの台詞だったのだが……



「よくない! ヒロトが誰よりも努力してるの、私は知ってる! そんなヒロトが、あんな風に悪く言われるのは我慢できない」



「アカリこそ、俺といると色々言われちゃうかもよ?」



「そんなの関係ない。私は私の意志でヒロトといるの。周りの奴らがどう言っても、私はヒロトの味方だし……その、私は何があってもヒロトが、す……す……」



 俺を真っ直ぐ見つめ、こう返してくれた。やばいな、本格的に泣きそうだ。



 しかし後半にいくと声が小さくなり、聞き取れなかった。



「え、味方だし……何だって?」



「えっ!? な、何でもないけど!? と、とにかく私は、ヒロトが頑張ってるの知ってるから!」



 そう言うアカリの顔は赤くなっており、どこか慌てているようだ。



 不思議に思いながらも、今の俺にはアカリの言葉が嬉しくて。



「ありがとな、アカリ。アカリが知ってくれてるだけで、俺には充分だから」



 安っぽいかもしれないけど、お礼を告げる。それから笑みを浮かべてみる。それを受けたアカリは赤い顔のまま、少し顔をそらした。



「そ、そう……なんだ」



「おう!」



 するとアカリも、にこりと笑う。この笑顔を見てると、心が温かくなるような……守りたくなるような、そんな気持ちになる。



 アカリよりまだまだ弱い俺が、何言ってんだって話だけどな。



「アカリは、神技冠祭に向けて特訓してんのか?」



「もちろん! やるからには勝つ! 優勝あるのみだからね!」



 ただでさえAランクなのに、その上に特訓してるのか……こりゃ本当に、アカリと戦うことになったら手加減頼めねえかなー。



 ま、冗談だけど。アカリはそんな奴じゃないし、何より俺自身がそれを許せないだろう。俺は弱いしそんなこと言える立場じゃないが、手加減されて勝っても嬉しくも何ともない。



「それに……今度はちゃんと、私がみんなを守れるようにならないと」



 アカリの瞳からは、強い決意がうかがえた。きっとあの時の、悪魔に敵わなかったことを思い出しているんだろう。男の俺からしたら情けない話っすけどねホントに。



「オルテリアちゃんとたまに手合わせしたりしてるし、リーシャも頑張ってるみたいなんだ!」



 アカリと並ぶ力の持ち主オルテリア。あの性格から、彼女もこういうイベントは大好きそうだ。



 それにリーシャ……彼女とは、やっぱり一度話しておいた方がいいかもしれない。エルシャに対して誤解があるようなら、解いておきたいしな。

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