弱くて何が悪い
哀れみとも何とも言い切れない複雑そうな瞳を向けてくる先生。隣ではエルシャが声を殺して笑っているし、とても居心地が悪い。
まあ陰口よりも、こうして直接言ってくれたり笑ってくれた方がだいぶマシだ。
「良かったじゃない、学園唯一よ? “落第の弾丸”くん」
と、エルシャから学園唯一を強調されるが……そんな不名誉な唯一、嬉しくも何ともねえよ!
……あと、おいちょっと待て!今聞き捨てならない言葉があったぞ!
「な、何でその呼び方知ってる……」
“落第の弾丸”なんてこれまた不名誉な呼び名、これをエルシャの前で言ったことも、話題にしたこともないはずだ。なのに、なぜこいつはこの呼び名を知っている?
……もしや、学内の誰かが言っていたのを聞いてしまったのか?俺に対する陰口なんか、少なくないわけだし、正直不名誉に有名だからこの名を聞いても不思議じゃないし……
「あぁ、アカリちゃんから聞いたの」
「あんにゃろう!」
真実は、予想よりももっと身近なところにあった。アカリの奴、俺の知らないとこで何やっちゃってくれてんの! 別にそこまで困るものでもないけどさ!
「まあまあ。でも響きだけならカッコいいじゃない。弾丸よ?」
弾丸の部分だけじゃねえかカッコいいの。響きだけなら、なんて素直に喜べねえよ。その意味にはかっこよさが微塵もないってのに。
「はぁ……もしかして、弾丸なんて呼ばれ方してるって理由で先生はこれをくれたんですか?」
ちょっと一旦落ち着こう。軽くため息を吐いて、深呼吸。
そんでもって俺は、まっすぐに手を前へと突き出す。そこには何もなく、当然ながら空気を掴むことはできないため何もない空間に手を伸ばしている形になる。
目を閉じ、んっ……と軽く『出てこい』と念じる。すると、何もない空間から真っ白な拳銃が現れる。それを手を取り、まじまじと見る。当然、弾丸は入っていない。
「二つ名が弾丸だから、これをくれたってわけですかね?」
拳銃をぷらぷらと揺らしながら、問い掛ける。
「せめてものプレゼントだよ。いつも色々手伝ってもらって大変感謝しているんだぞ、私は。
決してキミの二つ名に倣って拳銃をプレゼントしたなんて他意は……ぶっふぉ! ……他意はない」
今、途中で吹き出さなかった? 絶対他意ありますよねそれ! そもそも教師が生徒にプレゼントするものが拳銃っておかしいもの!
嘘くせえなこの人……絶対嫌味だよこれ。第一、弾丸もない拳銃なんてどう扱えばいいんだよ。




