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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
最弱と最強の出会い
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天使と人間



 とある天使と、親友と呼べる関係だという先生。その発言に、さっきまで先頭に立って質問責めしていたエルシャは固まっていた。



 まさか天使とそのような関係にあるなど、思いもしなかったのだろう。



 さらにその発言に、リーシャも微かに反応したように見えた。彼女も、ハーフであるとはいえ天使だから何か思うところはあるのだろうか。



「天使と、関わりを……?」



「あぁ。聞くところによると、天界の者が人間と関わりを持つことは、重罪らしいな。それがバレれば、天使側は相応の罰を受ける。それを承知で彼女は……クラディスは、私と関係を続けてくれた」



 その名を聞いた瞬間、エルシャは立ち上がった。いきなりどうしたのかと思ったが、おそらく知り合いの天使なのだろうか。それよりも気にかかったのが……



「っはぁ……は……っ」



 まるで過呼吸になってしまったように、呼吸を激しくしているリーシャだ。



 タイミング的に、その名前を聞いた瞬間……だろうか。見るからに心配になってしまうほどの反応を見せている。



 思わずぎょっとしてしまうが、本人の額からは汗も吹き出しており、尋常でないのが一目瞭然だ。



 そんなリーシャに、アカリは焦ったように、そして心配そうに聞いた。



「ど、どうしたのリーシャ? 具合悪い?」



「…………だい……はぁ、じょう、ぶ……」



 心配するアカリに対して、大丈夫だと答えているが……どう見ても、大丈夫ではない。そう感じたのはアカリも同じだったようで。



「もしかして、さっきの戦いでどこか怪我してたの? 先生、リーシャを保健室に……」



「大丈夫……だから」



 リーシャの正体を知らないアカリは、単純に先ほどの戦いで何かしらあったのではないかと不安そうだ。リーシャは一人目の届かない所に飛ばされていたから、心配も当然だろう。



 再び心配の言葉を投げかける……が、リーシャの答えは変わらない。むしろさっきよりも、言葉に力強さがあるように感じられた。



 その言葉に、その力強い瞳に……さすがのアカリも言葉を詰まらせる。リーシャのこんな姿、初めて見る……そんな戸惑いが見えた気がした。



「く、クラディスって……二大天使の一角が、どうして!?」



 今度はエルシャが取り乱しつつ、問いかける。二大天使、とは初めて聞く単語が出てきたが……その単語やエルシャの取り乱し様から、かなり重要な地位にいる天使、ということだろうか。



 そんな俺の疑問を汲み取ったかのように、先生が二大天使についての説明をしてくれた。



「二大天使……神を支えるという、天界の中でもトップクラスの地位にいる天使だな。その名の通り、二人の天使がその地位を担っている。私が知り合ったのは、そのうちの一人だ」



 初めて聞く俺にもわかるような説明。天界とやらの事情を知っているエルシャと知らない俺達に平等にわかるように、一から説明してくれている。



「……十数年前になるか。研究のため、私はとある森に訪れていた。これでも私は研究者としても通っていてね、その頃は研究熱心で……おっと、話が脱線したな」



 まるで今は研究熱心ではないみたいな言い方だが、そこは気にしないでおこう。先生も、こほん、と咳ばらいして話を持ち直す。



「その森で、彼女と出会った。彼女は心底驚いていたよ……天力で結界を張ったのに何故人間に見つかったのか、と。

 そこには二つの問題があったんだ。一つは地上で天力を使えばそれを悟られる可能性があること。それを警戒してか、可能な限り力を抑えていた。

 もう一つは、彼女が体力を消耗していたこと」



 天使との出会いを思い出すようにして、先生は語り始める。さらに、話に合わせるように人差し指、中指と二本の指を立てて話を続けていく。



「体力を? 天使が……それも二大天使ともあろう者が、結界を張る程度の力も出せないほど体力を消耗してたっていうの?」



 ここで驚きを見せたのが、エルシャだ。やはりその内容がいまいちピンとこないが、とりあえず大変なことが起こっていたのだろうということはわかった。



「あぁ、普通ならあり得ないことだ。だが彼女は……消耗していた。何故か? それは女性なら、おそらく人間でも天使でも悪魔でも変わらない痛みを、そして喜びを味わったからだ。

 彼女は……出産した直後だった」



 先生の口から放たれる言葉に、エルシャは衝撃を受けているようだ。俺はというと、天使も出産するのか、とかそんなことを考えていたのだが、問題はもっと別の所らしい。



 ……それに、リーシャは表情には出していないが……スカートを握るその手は震えている。まるで、何かを耐えているかのように。



「しゅっ、さん?」



「そう、出産した直後だったことにより、体力を著しく消耗していた。それが加わったことで、抑えていた結界の力は更に弱まり、人間である私に見つかることになった。

 まあ私なら、例え万全であろうと結界の存在には気づけただろうが……」



「ちょ、ちょっと待ってよ!」



 捲し立てるような先生の言葉を、エルシャが無理矢理に中断させる。片手で頭を抱えており、片手の手の平を先生に向けて、ストップのジェスチャーをしている。



「あ、はは……おかしなことを言うのね……出産? ……そう、それはわかったわ。クラディスには娘もいるし不思議じゃない。……でも、それなら何で人間界に降りる必要があるのよ。

 ……人間界で、赤ん坊を育てようと、するなんて……まるで……」



 整理するかのように、一つ一つ頭の中で考えているらしいエルシャ。そこで何かに思い至ったらしく、表情が驚きに包まれていく。



「今キミが考えてる通りだよ。クラディスが出産し、産まれた子供は、人間……いや、人間と天使のハーフだったんだ」



 そんなエルシャに畳みかけるように、言葉が紡がれた。それは、天使と人間のハーフという存在を示すものだった。

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