表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
欠けた翼
309/314

交わる水炎



「! ユメ!」



 その光景に、オルテリアの脳内に最悪の状況が過る。拳を砕かれたことでキレたのか、今の光景は自身のダメージもいとわないもの、いわゆる自爆技のようなものだ。



 あんなものを間近でくらえば、いかにオルテリアの神力でバリアを張っていても関係ない。それどころか、『憤怒』自身ひどい損傷を負うだろう。



 それすらも辞さない強大炎……それを防ぐ術など、今のユメにあるはずもない。ユメの体はあわれ、黒い炭となって崩れて……



「言った……私は、負けない」



 オルテリアの最悪を打ち破るように、少女の声が響く。黒い爆炎から姿を現すのは、ユメだ。その身に纏ったオルテリアの神力が彼女を守ったのか。ユメの体に纏う水は……まるでメラメラと炎が燃えているように見える。



「水が……燃えてる?」



 見たことのない……しかしはっきりとそうだと言える光景が、そこにある。パッと見ると、そこには炎が燃え盛っているようだ。しかしそれは炎ではなく……間違いなく水だ。



 ユメを包んでいた水が、燃えている……こう表現するしかない。何が起こっているのか、オルテリアにはわからない。



 それはおそらくユメも同じだ。だが……



「……感じるよ。オル姉の力……思い。温かい……やっぱり、オル姉はオル姉だよ」



 全身に感じる気持ちが、とても心地よい。それがオルテリアの思いであると、すぐにわかる。この温かい気持ちは、やはり本質は変わっていないのだ。



 ただ、オルテリアの神力を足し算していたまでのさっきとは違う。お互いの力がかけ合わさって、力も上昇している。



「しぶとい奴だ。だがたいした問題ではない!」



 自爆技を防がれたのは予想外。傷一つ負っていない少女に対し、自身は多少なりダメージを受けたというのに。



 だが防がれた程度で取り乱したりはしない。むしろ今度こそ、確実に息の根を止めるために残った拳を振りかぶり、黒炎の拳を振り下ろす……が……



「むっ……!?」



 その燃える水に触れた瞬間、黒炎ごと拳が弾けとんだ。



 何が起こったのか……事実だけを言えば、少女の拳に『憤怒』自身の拳が吹き飛んだということだ。元々溶けかけていた体、断面部からはどろりとしたものが流れ落ちる。



 それが地面に触れると、たちまちジュウーッという音と共に地面を犯し……溶かしていく。触れれば怪我では済まないのは確かだ。



 だがユメはそんなことを気にすることなく距離を詰め、再び……



「せい!」



 拳を放つ。『憤怒』の胴体を抉るそれは胴体に穴を空け、またもそこから液体が流れ落ちる。



「ぐぅ……再生、しない……?」



 どうやら『憤怒』にダメージは通っているようだ。しかも、本来なら拳が飛んでも腹が抉れても再生するはずが……再生しないのだ。



 これも、燃える水の影響だとしたら……とたんに『憤怒』は距離を取る。が、それよりも小柄なユメの方が速い。懐に入ると続けざまにパンチを放つ。



「ふっ、はっ、」



「ごっ、ぶ……!」



 ユメの拳は『憤怒』に再生不可のダメージを与え、反撃しても水に弾かれる。いつの間にか、完全に形成は逆転していた。



 そして……



「ぜぇええええい!」



 燃える水が盛り、『憤怒』を囲う。すでに体のあちこちが欠落している『憤怒』の逃げ道を塞ぎ、動きを封じる。



 いや……動きを封じたのは燃える水だけではない。自分より遥かに弱いはずの、小さな少女の気迫が……



「……っ!」



 『憤怒』の顔面を、打ち抜いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ